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大学数学基礎解説
文献あり

I-進位相の性質

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誤って削除してしまったため、再掲
$R$$I$進位相の性質を見てみる。
以下、環を$R$、環$R$の非自明なイデアルを$I$と表記し、環は可換とし$0\neq1$を含むとする。また、$\mathbb{N}=\{1,2,3,...\}$とする。

$I$進位相
  • $a\in R$に対し、$a+I:=\{a+k|k\in I\}$と表記する。

  • $R$の部分集合$U$$a\in R$の開近傍であるとは、ある自然数$n\geq 1$が存在して、 $U\supset a+I^n$ を満たすときである。

  • $R$の部分集合族$\mathcal{U}_a$を次のように定める:
    $$\mathcal{U}_a:=\{U\subset R|U はa\in Rの開近傍\}$$とすると$\mathcal{U}_a$ は基本開近傍系をなし、これにより$R$に位相を定め、この位相を$I$進位相と呼ぶ。

$R$は第一可算空間である。

任意の$x\in R$をとる。$\mathcal{V}=\{x+I^n|n\in \mathbb{N}\}$は可算個な$x$の基本開近傍系である。

任意の列 $(x_n)_{n \in \mathbb{N}}\subset I$は集積点を持つ。

$\displaystyle V_n :=\bigcup^{\infty}_{m=1} (x_m+I^n)$と置く。すると自然数$i\geq j$に対して$V_i\subset V_j$を満たす。なので定め方より$\displaystyle \bigcap^{\infty}_{n=1} V_n\neq \varnothing$である。今、$\displaystyle x\in \bigcap^{\infty}_{n=1} V_n$をとる。$x$の任意の開近傍$U$と任意の$n \in \mathbb{N}$に対し、$U\cap V_n \neq \varnothing$である。 なぜなら、$x$の定め方より任意の$k\in \mathbb{N}$に対し、$(x+I^k)\cap(x_m+I^n)\neq \varnothing$となる$m\in \mathbb{N}$が存在するため。以上より、$x$$(x_n)_{n \in \mathbb{N}}$の集積点である。

$(x_n)_{n \in \mathbb{N}}$の集積点$x$$I$に属していることは簡単に分かる。

任意の列 $(x_n)_{n \in \mathbb{N}}\subset I$は収束する部分$(x_{n_k})_{k \in \mathbb{N}}$が存在する。

定理2より$(x_n)_{n \in \mathbb{N}}$の集積点$x$が存在する。$x$の開近傍$\mathcal{V}=\{x+I^n|n\in \mathbb{N}\}$をとると、$(x_n)_{n \in \mathbb{N}}$の部分列$(x_{n_k})_{k \in \mathbb{N}}$で、任意の$k\in \mathbb{N}$に対し$x_{n_k}\in x+I^k$となるようにとれて、その部分列は$x$に収束する。

定理3より、 以下のことが直ちに従う。

有限個の$a_\lambda \in R , (\lambda =1,2,...,m)$$N\in \mathbb{N}$をとる。任意の列$\displaystyle (x_n)_{n \in \mathbb{N}} \subset\bigcup^{m}_{\lambda=1} (a_\lambda+I^N)$ は収束する部分列$(x_{n_k})_{k \in \mathbb{N}}$が存在する。

参考文献

投稿日:2023618

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