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閉写像定理を証明しよう()

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はじめに

閉写像定理とは以下のような主張です。

閉写像定理

$C$をコンパクト空間$,H$をハウスドルフ空間とする。
連続写像$f:C\to H$は固有写像である。

今回はこの定理の意味とその証明を行っていきましょう。

この記事はエンタメであり、実際の定義とは異なること一部循環論法である事に注意してください。

定義を見よう

閉写像

連続写像

$f$が連続写像とは、位相空間の圏$\mathrm{Top}$の射であること

シェルピンスキー空間

2射のプルバックを$\mathrm{Pull}(\_,\_)$と表現する。対象$\mathbb S$と射$o,c:1\to\mathbb S$の組$\langle\mathbb S,o,c\rangle$がシェルピンスキー空間とは以下の条件を満たす空間である。
$\bullet|\mathrm{Hom}(\mathbb S,1\sqcup1)|=2$
$\bullet$任意の対象$X$と射の属$(f_ λ:X→\mathbb S)$に対してある射$f:X→\mathbb S$があって $\mathrm{Pull}(f,c)≅\mathrm{lim(Pull}(f_λ,c)→X)$
$\bullet\langle A,a_o,a_c\rangle$が上二つの性質を満たすなら、ある$u:\mathbb S\to A$が一意に存在して$o=a_o\circ u,c=a_c\circ u$

以降$\mathrm{Pull}(f,g)→\mathrm{dom} f$の射を$(f,g)_f$と書き、
$X→1,c:1→\mathbb S$の合成を単に$c:X→\mathbb S$とし$X→1,o:1→\mathbb S$の合成を$o:X→\mathbb S$と表記する

閉写像

以下を満たすとき連続写像$f:X\to Y$を閉写像という
任意の$t:X\to\mathbb S$に対して、ある$s:Y\to\mathbb S$があって以下を満たす。
$\bullet c=s\circ f\circ (c,t)_t$

$$\xymatrix{ \mathrm{Pull}(c,t)\ar[r]^{f\circ(c,t)_t}\ar[d]_c&Y\ar@{.>}[dl]^s \\\mathbb S }$$

$\bullet$プルバックとその普遍性によって得られる下図の射$u_s$がエピ射
$$\xymatrix{ 1\ar[d]_c&1\times_{\mathbb S}X\ar@{.>}[r]_{u_s}\ar[d]^{}\ar[l]&1\times_{\mathbb S}Y\ar[r]^{}\ar[d]^{}&1\ar[d]^{c} \\\mathbb S&X\ar[l]_ t\ar[r]^{f}&Y\ar[r]^{s}&\mathbb S }$$

閉写像に関する定理

$(1)f:X\to Y,g:Y\to Z$が閉写像なら$g\circ f$も閉写像
$(2)f:X\to Y$が同型射なら閉写像

$(1)$
$t:X\to\mathbb S$を連続写像とする。$f$は閉写像よりある$s_1:Y\to\mathbb S$が存在して
$c=s_1\circ f\circ (c,t)_t$かつ誘導される$u_{s_1}:1\times_\mathbb SX\to1\times_\mathbb SY$はエピ
同様に$g$は閉写像よりある$s_2:Z\to \mathbb S$が存在して$c=s_2\ \circ g\circ(c,s_1)_{s_1}$かつ
誘導される$u_{s_2}:1\times_\mathbb SY\to1\times_\mathbb SZ$はエピ
よって$c=s_2\circ g\circ f\circ(c,t)_t$であり、誘導される射$u:1\times_\mathbb SX\to1\times_\mathbb SZ$は一意的より
$u=u_{s_2}\circ u_{s_1}$つまり全射である
$(2)$
$t:X\to \mathbb S$を同型射とする。$s=f^{-1}\circ t$とすれば、$t=f\circ s$
また$X\simeq Y$より$1\times_\mathbb SX\simeq1\times_\mathbb SY$であるので
誘導される射の一意性から$u_s$は同型写像、特にエピ

空間

コンパクト空間

$\mathrm {Top}$の対象$C$がコンパクト空間とは、$\mathrm {Top}$の任意の対象$X$に対して$\mathrm{Pr}_X:X\times C\to X$が閉写像となることである。

ハウスドルフ空間

$\mathrm {Top}$の対象$H$がコンパクト空間とは、任意の連続写像$f:X\to H$に対して$\langle \mathrm{id},f\rangle:X\to X\times H$が閉写像となることである。

固有写像

連続写像$f:X\to Y$が固有写像とは、任意の$\mathrm{Top}$の対象$Z$に対して$f\times\mathrm{id}_Z:X\times Z\to Y\times Z$が閉写像

閉写像定理

閉写像定理

$C$をコンパクト空間$,H$をハウスドルフ空間とする。
連続写像$f:C\to H$は固有写像である。

$X$を対象とする。$H$はハウスドルフより$\langle\mathrm{id}_{C\times X},(f\circ \mathrm{Pr}_C)\rangle:C\times X\to(C\times X)\times H$は閉写像。
$$\xymatrix{ C\times X\ar[rr]^{\langle\mathrm{id}_{C\times X},(f\circ \mathrm{Pr}_C)\rangle}&&(C\times X)\times H }$$
同型射は閉写像より
$\eta:(C\times X)\times H\to(H\times X)\times C$は閉写像

$$\xymatrix{ (C\times X)\times H\ar[rr]^\eta&&(H\times X)\times C }$$
$C$はコンパクトより
$\mathrm{Pr}_{H\times X}:(H\times X)\times C\to H\times X$は閉写像
$$\xymatrix{ (H\times X)\times C\ar[rr]^{\mathrm{Pr}_{H\times X}}&&H\times X }$$
閉写像の合成は閉写像より
$\mathrm{Pr}_{H\times X}\circ\eta\ \circ\langle\mathrm{id}_{C\times X},(f\circ \mathrm{Pr}_C)\rangle:C\times X\to H\times X$は閉写像
$$\xymatrix{ C\times X\ar[rrr]^{\mathrm{Pr}_{H\times X}\circ\eta\ \circ\langle\mathrm{id}_{C\times X},(f\circ \mathrm{Pr}_C)\rangle}&&&H\times X }$$
$\mathrm{Pr}_{H\times X}\circ\eta\ \circ\langle\mathrm{id}_{C\times X},(f\circ \mathrm{Pr}_C)\rangle=f\times\mathrm{id}_Z$より$f$は固有写像

投稿日:93
更新日:94
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投稿者

大学2年生になってしまいました。解析的整数論とホモロジー代数に興味があります。抜けが多い性格なので、誤植,計算ミスが多いです💦よろしくお願いします。

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