この記事はmathlogの アドベントカレンダー の12月12日の分として執筆しています。
今回はこちらの形の級数を扱いますが、kの値によって項数が2k−1のペースで増えていくので、k=1,2,3のときの値を求めます。
∑0<n(2nn)nk22n
そしてこちらが今回大変お世話になる置換です。崇め奉りましょう。
x↦1−x2
これから先では反復積分を扱いますが、反復積分の表記については この記事 を参照してください。
(−1)n(−12n)=2−2n(2nn)
(−1)n(−12n)=(−1)n(−12)⋯(−2n−12)n!=(2n−1)!!2nn!=(2n)!2nn!(2n)!!=2−2n(2n)!(n!)2=2−2n(2nn)
∫01(1−t)−1/2−1tdt=∑0<n(−1)nn(−1/2n)
∫0x(1−t)−1/2−1tdt=∫0xdtt(−1+∑n=0∞(−1/2n)(−t)n)=∫0x∑0<n(−1/2n)(−1)ntn−1dt=∑0<n(−1/2n)(−1)n∫0xtn−1dt=∑0<n(−1/2n)(−1)nxnnここでx→1とすれば定理の主張を得る。
以下、c=(1−t)−1/2−1tdtとおく。
∫01ak−1c=∑0<n(−1)nnk(−1/2n)
∫0xak−1c=∫0xak−1∫0t(1−u)−1/2−1udu=∫0xak−1∑0<n(−1)ntnn(−1/2n)=∫0xak−2∫0tduu∑0<n(−1)nunn(−1/2n)=∫0xak−2∑0<n(−1)nn(−1/2n)∫0tun−1du=∫0xak−2∑0<n(−1)ntnn2(−1/2n)=⋯=∫0xdtt∑0<n(−1)ntnnk−1(−1/2n)=∑0<n(−1)nxnnk(−1/2n)となるのでx→1として補題の主張を得る。
いくつか具体値を求めていきます。
∫01c=∫01(1−t)−1/2−1tdt=−2∫10u−1−11−u2udu(t↦1−u2)=2∫01du1+u=−2∫01z1,1=−2ζ(1―)=2ln2
よって、∑0<n(2nn)n22n=2ln2です。
∫01ac=∫01dtt∫0tc=∫01dt1t1∫0t1(1−t2)−1/2−1t2dt2=2∫01dt1t1∫1−t111−t21−t22dt2(t2↦1−t22)=2∫012t11−t12dt1∫t11dt21+t2(t1↦1−t12)=2∫0<t1<t2<1(11−t1+1−1−t1)11+t2dt1dt2=2(∫01dt21+t2∫0t2dt11−t1+∫01dt21+t2∫0t2dt1−1−t1)=−2(∫01z1,1z1,1+1+z1,1z1,1+0)=−2(ζ(1―,1―)+ζ(1,1―))=−2(12ζ(1―)2+ζ(2―)+12ζ(1―)2)=ζ(2)−2ζ(1―)2=π26−2ln22
よって∑0<n(2nn)n222n=π26−2ln22です。
∫01a2c=−2∫01(b0+b1)2b1=−2(ζ(1―,1―,1―)+ζ(1―,1,1―)+ζ(1,1―,1―)+ζ(1,1,1―))=−2(−23ln32+π26ln2−ζ(3))=43ln32−π23ln2+2ζ(3)
よって∑0<n(2nn)n322n=43ln32−π23ln2+2ζ(3)です。
∑0<n(2nn)n22n=2ln2∑0<n(2nn)n222n=π26−2ln22∑0<n(2nn)n322n=43ln32−π23ln2+2ζ(3)
これ、一般のkについてはAMZVを用いて∑0<n(2nn)nk22n=−2∑i1,⋯,ik−1∈{1,1―}ζ(i1,⋯,ik−1,1―)と表現できるんですが、冒頭でも言った通り項数がO(2k)で増えていくので計算がどんどん面倒くさくなっていくんですよね。誰かk=4の場合とか計算してくれないかな。
次は12月19日にこの級数の発展形の記事を出します。
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