N'Tree です。春から数学系の大学院生になるので、それに合わせて数学について発信する活動を始めようと思いました。Twitter も始めたのでフォローお待ちしております。( @NaturalTreeMath )
自己紹介と記事作成のテストを兼ねて、好きな分野について書いていきたいと思います。好きな分野 (あるいは興味を持っている分野) は次の通りです。
もう少し詳しく書くと、群論の中でも特に単純群、リー代数の中でも特にカッツ・ムーディ代数が好きです。
群論の好きな定理はやはり、有限単純群の分類定理です。
有限単純群は以下のいずれかの群と同型である。
この定理は 2004 年に証明が完了し、証明は 15000 ページ以上あると言われています。まさに人類の偉業ですね。
リー代数ではこの定理が特別好きというのはないかもしれません。どちらかというと理論全体が好きです。有限次元半単純リー代数の理論がこんなにも綺麗に無限次元に受け継がれていくのか、というところがカッツ・ムーディ代数の魅力だと思います (一方で虚ルートのように無限次元特有の事象もあるのが面白いです)。
表現論で好きなのは、指標で表現が決まってしまうところです。簡単に解説してみます。
$G$を有限群、$V$を複素ベクトル空間とする。準同型$\rho:G\to GL(V)$のことを表現という。
表現$\rho:G\to GL(V)$に対して、$\chi_{\rho}(g)=\text{Tr}(\rho(g))$により定まる写像$\chi_{\rho}:G\to\mathbb{C}$を指標という。
つまり、もともと行列を考えていたところを、行列の対角成分の和だけ考えるようにするということです。これではもともとあった情報が失われてしまう、と思うかもしれませんが、実はそうではありません。それを表すのが次の定理です。
$\varphi,\rho$が同値な表現であるための必要十分条件は、$\chi_{\varphi}=\chi_{\rho}$となることである。
この定理から、指標が表現論において非常に重要であることがわかります。例えば、モンスター群の 196883 次元の表現も、指標を考えればたった 194 個の複素数になってしまいます。
最後までお読みいただきありがとうございました。今後どのような記事を書くかはまだ決めていませんが、これからも Mathlog で記事を書こうと思います。よろしくお願いします。