本記事では, 置換積分(定積分に限る)を視覚的に解説します. 証明はしません.
$$
f は連続関数であり, g は C^1 級(微分可能で導関数も連続)であるとする. t = g(x) とおくと,$$
$$
\int_{c}^{d}f(t)dt = \int_{a}^{b}(f∘g)(x)g'(x)dx.
$$
以下は $[c, d]$ 上のグラフ $f: [c, d] → R$ です.
[c, d] 上の関数 f
このグラフを [a, b] 上に描くことを考えます.
まず, $[c, d] = g([a, b])$であることに注意しましょう. $t_0\in[c, d]$に対し,$y_0 = g(t_0)$と置きます. $x_0 ∈ [a, b]$ が$t_0$に対応しているとすると, $x_0$の$[a, b]$上の関数での値はもちろん$y_0$であって欲しいです. $x_0$を$y_0$に対応させるには, $f∘g$で送ればよいですね. よって [a, b] 上でのグラフは$f∘g$です.
[c, d] 上の関数 f と [a, b] 上の関数 f∘g
表にすると以下のようになります. 当たり前のことをやっているだけですね.
[a, b] | [c, d] | R | ||
---|---|---|---|---|
x | → | g(x) | → | (f∘g)(x) |
ここで注意しておきたいのですが, $(f∘g)([a, b]) = g([c, d])$ です. 上の図は値域が一致している場合を描いているのではありません. これは一般に言えることです.(当たり前ですが.)
さて, 図2の2つのグラフの積分を考えましょう. もちろん
$$\int_{c}^{d}f(t)dt = \int_{a}^{b}(f∘g)(x)dx.$$
ではありません. 図からも明らかですが値域が同じでも幅が違いますよね. しかし, 逆に言えば幅さえ調整すればこの等式(に近いもの)は正しいのです.
以下の図3のように, グラフ$f$のリーマン和を考えたとき, 1つ1つの短冊の横幅はグラフ$f∘g$の短冊の$g'($$\varDelta$t)倍です. よって, グラフ$f∘g$の短冊の高さを$g'($$\varDelta$t)倍すれば, この2つの積分は等しくなります!!! よって,
$$\int_{c}^{d}f(t)dt = \int_{a}^{b}(f∘g)(x)g'(x)dx.$$
が言えます.
f のリーマン和と f∘g のリーマン和
最後まで読んでいただきありがとうございました. 置換積分のイメージがなんとなくでもついていただければ嬉しいです.
また, 間違いなどがあれば指摘していただけるとありがたいです!