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解説大学数学以上
文献あり

一様収束性・単調収束定理・ルベーグの収束定理以外の項別積分可能性

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題名の三つは, 関数列の極限の積分が関数列の積分の極限になることの十分条件としてよく知られているが, 他にノルムの連続性を使う手がある.

ノルム空間

線型空間$X$について写像$\|\cdot\|:X\to [0, \infty)$が存在して
(1) $\|u\|=0 \Rightarrow u=0$
(2)スカラー$a$に対して$\|au\|=|a|\|u\|$
(3)$\|u+v\|\le\|u\|+\|v\|$
を満たす時, 写像$\|\cdot\|$をノルムという. ノルムが定義された線型空間$X$をノルム空間という.

例(1) $K$を或る位相空間のコンパクト部分集合, $X$$K$上の連続関数全体の成す線型空間とする. $\|u\|=\sup_{x\in K}|u(x)|$とするとこれは$X$のノルムである.

例(2)
$\mathbb{R}^N$上の複素数値可測関数$u$について
$\|u\|=\left(\int |u(x)|^2 dx\right)^{1/2}$
としてこれが有限な$u$全体の成す線型空間を$X$とすると, $X$は量子力学で重要なノルム空間である.

ノルム空間$X$について, 要素の差のノルム$\|u-v\|$$X$の要素$u, v$$u, v$の距離を定める.

ノルムは連続

点列$u_n$$u$$\|u_n-u\|\to 0$の意味で収束しているとする. このとき極限$u$は一意に定まり,
$\lim_{n\to\infty}\|u_n\|=\|u\|.$
すなわち, 点列のノルムの極限が点列の極限のノルムに等しい.

ノルムが満たす三角不等式(3)と斉次性(2)より
$\|u_n\|\le \|u_n-u\|+\|u\|,$ かつ
$\|u\|\le\|u-u_n\|+\|u_n\|=\|u_n-u\|+\|u_n\|.$
従って
$|\|u_n\|-\|u\||\le\|u_n-u\|.$

例(1)のノルムによる収束は一様収束である.

例(2)のノルムで関数列が収束するとき, ノルムの連続性より積分の極限は極限の積分である.

ソボレフ空間における議論でノルムの連続性を用いて ナビエ-ストークス方程式の研究 $\mathfrak{p}$の存在についての議論を改訂した. よろしければまたご覧いただきたい.

参考文献

投稿日:11日前
更新日:11日前

投稿者

収入が少ないので, Mathlogのお金を支払う機能で支援してくだされば幸いです. 研究の記事の他に, 発見シリーズ, 行間シリーズ, 超入門シリーズも書いています. 北田均『数理解析学概論』新訂版序文の「ほぼ独学と思われる熱心な読者」, 結城浩『数学ガールの秘密ノート/行列が描くもの』あとがきの「類太郎」. 指摘を受けたり自分で誤りに気付いて, 後から訂正することも多々ある. 寛容な目で温かい目で見て頂きたい. 何かあればご連絡を頂きたい. 悪意のあるきつい言い方をされたことも多々あったが, それさえしなければ指摘には真摯に対応したい. 数式, 特に偏微分方程式が好き. 多変数複素解析のヘルマンダーの方法:複素多様体における外微分 d を d=∂′+∂′′ とするとき‚ 既知微分形式 f と未知微分形式 u について ∂′′u=f (ディーバー方程式)の可解性で諸問題を考える方法, 複素多様体における微分幾何として複素モンジュ-アンペール方程式の解の存在, 代数解析の偏微分方程式への応用でも何かを遺したい.

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