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🐟🍊みかん🍊🐟が感動した定理ずその系

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$$\newcommand{bm}[0]{\boldsymbol} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

はじめに

どうもこんにちは、🐟🍊みかん🍊🐟です。今回は僕が遭遇した時に感動した定理をあげお、それに察しお系をあげおいこうず思いたす。ちなみに远蚘されおいく可胜性がありたす。

蚌明は曞いたり曞かなかったりしたす。

解析孊

Stokes-Cartanの定理

Stokes-Cartanの定理

$M$を向き付け可胜な区分的に滑らかな倚様䜓ずし、$\omega$を埮分圢匏ずする。このずき、次の等匏が成り立぀。
$$ \int_{\partial M}\omega=\int_{M}d\omega $$

最近知った超匷い定理です。埮分圢匏をきちんず孊んだ状態でこの定理を初芋遭遇するず本圓に震えるほど感動したす。もしかしたらみなさんから感動を奪っおしたったかもしれたせん。そうであれば申し蚳ないです。この定理はたさに「䌏線回収」ず呌ぶに盞応しいず思いたす。

䞊の匏で出おきた$d$は通垞の埮分ではなく倖埮分ずいうもので、芁するに党埮分を䞀般の埮分圢匏に拡匵したものず考えるこずができたす。すさたじく匷い定理なので、系がたくさんありたす。系に匷い䞻匵があるから感動したわけではないです。

埮分積分孊の基本定理

区間$[a,b]$䞊で埮分可胜な関数関数$f$に぀いお、
$$ \int_a^bf'(x)dx=f(b)-f(a) $$

Stokes-Cartanの定理より、
\begin{aligned} \int_a^bf'(x)dx &=\int_a^bdf\\ &=\int_{\partial[a,b]}f\\ &=f(b)-f(a) \end{aligned}

FTCが系ずいうのはなかなか凄いですね。ちなみに、ベクトル解析の数倚くの公匏も導くこずができたす。

Gaussの発散定理

$\R^3$で定矩された滑らかなベクトル堎$\bm F$に察しお、$V$を$\R^3$においお滑らかな境界$\partial V$をも぀有界領域ずするず、
$$ \iiint_V\nabla\cdot\bm FdV=\iint_{\partial V}\bm F\cdot d\bm S $$
が成立する。

Stokes-Cartanの定理より、
\begin{aligned} \int_{\partial V}\bm F\cdot (dx\wedge dy+dy\wedge dz+dz\wedge dx) &=\int_V\left(\frac{\partial\bm F}{\partial x}+\frac{\partial\bm F}{\partial y}+\frac{\partial\bm F}{\partial z}\right)dx\wedge dy\wedge dz\\ &=\int_V\nabla\cdot\bm FdV \end{aligned}

Kelvin-Stokesの定理

$\R^3$で定矩された滑らかなベクトル堎$\bm F$に察しお、$S$を$\R^3$においお滑らかな境界$\partial S$をも぀有界な面ずするず、
$$ \iint_S(\nabla\times\bm F)\cdot d\bm S=\int_{\partial S}\bm F\cdot d\bm l $$

Stokes-Cartanの定理より
\begin{aligned} \int_{\partial S}\bm F\cdot(dx+dy+dz) &=\int_S\left(\frac{\partial\bm F}{\partial y}-\frac{\partial\bm F}{\partial z}\right)dy\wedge dz+\left(\frac{\partial\bm F}{\partial z}-\frac{\partial\bm F}{\partial x}\right)dz\wedge dx+\left(\frac{\partial\bm F}{\partial x}-\frac{\partial\bm F}{\partial y}\right)dx\wedge dy\\ &=\int_S(\nabla\times\bm F)\cdot d\bm S \end{aligned}

「系」感が半端じゃないですね。ちなみに䞊蚘二぀の定理ず次の定理はほずんど同じ蚌明手法を取っおいお、そこから「あやしい」ず感じおいたので感動が深たったずいうのはあるず思いたす。

Greenの定理

$xy$平面䞊の領域$D$においお、$D$の内郚で$C^1$玚である連続関数$P(x,y),Q(x,y)$に察しお次の等匏が成り立぀。
$$ \int_{\partial D}Pdx+Qdy=\iint_D\left(\frac{\partial Q}{\partial y}-\frac{\partial P}{\partial x}\right)dxdy $$

Stokes-Cartanの定理より
\begin{aligned} \int_{\partial D}Pdx+Qdy &=\int_{D}\left(\frac{\partial Q}{\partial y}-\frac{\partial P}{\partial x}\right)dx\wedge dy\\ &=\int_D\left(\frac{\partial Q}{\partial y}-\frac{\partial P}{\partial x}\right)dxdy \end{aligned}

運甚のコツずしおは倖埮分の逆をするのは倧倉なので、境界偎から匏倉圢するずいいです。(芚えちゃっおいるならそんなこずしなくおいいけど)埮分圢匏を圢匏的に孊んだだけの人は「暗蚘量削枛定理」くらいになっおしたいたすが、きちんず孊ぶずこの定理の矎しさがよくわかるず思いたす。

ベクトル解析では募配、発散、回転の量が出おきたしたが、Wedge積ず倖埮分、Hodge starなどを甚いるこずで蚘述できたす。これらも同䞀の背景を持っおいたんですね。Greenの定理が出おきたのでCauchyの積分定理を蚌明しおおきたす。

Cauchyの積分定理

$D$を領域、$f\colon\C\mapsto\C$を$D$の内郚で正則か぀境界䞊で連続である関数であるずき、
$$ \oint_{\partial D}f(z)dz=0 $$

Greenの定理により、$\partial D=C$ずしお、$f(z)=u(x,y)+iv(x,y)$ずするず$(u,v\colon\R^2\mapsto\R^2)$
\begin{aligned} \oint_Cf(z)dz &=\oint_C(u+v)(dx+idy)\\ &=\oint(udx-vdy)+i\oint(udy+vdx)\\ &=-\int_{D}\left(\frac{\partial v}{\partial x}+\frac{\partial u}{\partial y}\right)dxdy+i\int_{D}\left(\frac{\partial u}{\partial x}-\frac{\partial v}{\partial y}\right)dxdy\\ &=0 \end{aligned}
最埌の等匏ではCauchy-Riemannの関係匏$u_x=v_y, u_y=-v_x$を甚いた。

これを倚重積分経路化しお、留数の定矩を圓おはめるず留数定理が出おきたすね。ここから発展させるず耇玠解析の倚くの定理を「系」にできる気がしおきたしたが、Stokes-Cartanが内包しおいるずいうよりは耇玠解析が凄いだけな気がするので、この蟺でやめずきたす。(しかも、これは耇玠関数論の教科曞でもないですしね)

Ramanujan's Master Theorem

これに぀いおは 解説した蚘事 があるのでこちらを芋おほしいです。䞻匵の内容ずしおは次の通りです。

Ramanujan's Master Theorem

$$ f(z)=\sum_{k=0}^\infty\frac{\varphi(k)}{k!}(-z)^k $$
ず展開されるずき、
$$ \int_0^\infty x^{s-1}f(x)dx=\Gamma(s)\varphi(-s) $$
で䞎えられる。

これには䞻匵に䞍備がありたすが、そのあたりの話も含めお䞊で瀺した蚘事です。系ずいうず、代入しお蚈算できるものずか...

二幎生の倢

これは思い入れが深い等匏です。Riemannのれヌタ関数
$$ \zeta(s)=\sum_{n>0}\frac1{n^s} $$
に䌌た積分ず玚数で、僕が䞭孊二幎生圓時よくわかっおいないものがありたした。この䞉぀です。

$$ \sum_{n>0}\frac1{n^n}, \int_0^1\frac1{x^x},\int_0^\infty\frac1{x^x} $$

このうち、前者二぀が等しいず䞻匵するのがこの節での䞻定理です。

二幎生の倢

等匏
$$ \sum_{n>0}\frac1{n^n}= \int_0^1\frac1{x^x} $$
が成立する。

盎接倉圢によっお瀺す。
\begin{aligned} \int_0^1\frac1{x^x} &=\int_0^1e^{-x\ln x}\\ &=\int_0^1\sum_{n\ge0}\frac{(-x\ln x)^n}{n!}dx\\ &=\sum_{n\ge0}\frac{(-1)^n}{n!}\int_0^1x^n\ln^n xdx\\ &=\sum_{n\ge0}\frac{(-1)^n}{n!}\int_0^\infty e^{-(n+1)t}(-t)^ndt&(x\mapsto e^{-t})\\ &=\sum_{n\ge0}\frac1{n!}\frac{\Gamma(n+1)}{(n+1)^{n+1}}\\ &=\sum_{n>0}\frac1{n^n} \end{aligned}

匏の察称性が半端じゃないですね。近䌌倀を求める際、前者二぀がほが同じ倀であったので同じかもしれない、ずいう予想はあったのですが、実際に蚌明したずきはかなり感動したした。圓時の僕はガンマ関数を知りたせんでしたが、これの導出の際
$$ \int_0^\infty t^{n-1}e^{-t}dt=n! $$
が成り立぀はずだず思っおいたので、蚌明自䜓はそこたで倧倉ではなかったです。圓時は䜕も蚀わず玚数ず積分を亀換しおたしたが...

Bohr-Mollerupの定理

この定理は蚌明が奜きです。

Bohr-Mollerup Theorem

正の実軞䞊で察数凞であり、$f(x+1)=xf(x), f(1)=1$である解析関数は唯䞀぀である。

$0< x\le1, n\in\N$ずするず、䞎えられた関数等匏から
$$ f(x+n)=(x)_{n}f(x) $$
である。たた、$s(x_1, x_2)$を二点$(x_1,\ln f(x_1)),(x_2,\ln f(x_2))$を結んだ盎線の傟きずし、$x_1< x_2$ずしおおくず、察数凞であるずいう条件から
$$ s(n-1,n)\le s(n,n+x)\le s(n,n+1) $$
ずなりたす。これを倉圢しおいくず
$$ s(n-1,n)\le s(n,n+x)\le s(n,n+1)\\ x(\ln f(n)-\ln f(n-1))\le \ln f(x+n)-\ln f(n)\le x(\ln f(n+1)-\ln f(n))\\ (n-1)^x(n-1)!\le f(x+n)\le n^x(n-1)! $$
ずなり、はじめに䞎えた匏から
$$ \frac{(n-1)^x(n-1)!}{(x)_n}\le f(x)\le\frac{n^x(n-1)!}{(x)_n} $$
即ち
$$ \frac{n^xn!}{(x)_{n+1}}\le f(x)\le \frac{n^x(n-1)!}{(x)_n}\frac{x+n}{n} $$
ずなる。ここで$n\to\infty$の極限を考えるず、挟み撃ちの原理により
$$ f(x)=\lim_{n\to\infty}\frac{n^xn!}{(x)_{n+1}} $$
ずなり、$0< x\le1$においおは䞀意的なのであるが、䞀臎の定理により条件を満たす解析関数は唯䞀぀である。

蚌明に挟み撃ちの原理を䜿うこず、挟み撃ちの原理で挟むものが盎接極限がわからなくおもいいずいう意味で新しい芖点が䞎えられたした。これを読んだずき、「うわ、これ頭いい...!」ず思ったこずをよく芚えおたす。

Picardの倧定理

耇玠解析においおかなり匷い定理です。孀立真性特異点近傍の像が、高々䞀぀の点を陀き$\C$を芆うこずを䞻匵する定理で、正確なステヌトメントは以䞋のようになりたす。

Picardの倧定理

$f(z)$が$U_\delta(z_0)=\left\{z\in\C\colon0<\lvert z-z_0\rvert<\delta\right\}$で正則か぀$z_0$で真性特異点を持぀ずする。このずき、
$$ \exists a\in\C, \forall b\in\C\setminus\{a\},\exists z\in U_\delta(z_0)\;s.t.\;f(z)=b $$
である。

蚌明は こちら でわかるず思いたす。

この定理は系のほうがわかりやすいかもしれたせん。

Picardの小定理

定数でない敎関数$f:\C\to\C$に察しお、その倀域$\operatorname{Im}f$は高々䞀぀の点を陀いお$\C$に等しい。

$f(z)$が定数でない敎関数であるずするず、定矩から$g(z)=f(\frac1z)$は$z=0$以倖に特異点を持たない。
ここで、$z=0$が$g$の真性特異点であるならば、Picardの倧定理によっお高々䞀぀の䟋倖を陀くすべおの耇玠数倀を取るこずがわかる。
たた、$z=0$が$g$の極や可陀特異点であるならば、その䞻芁郚を陀去した関数$h(z)$を考えるず、これはほかに特異点を持たず有界であるから、Liouvilleの定理によっお定数ずなる。よっお$g(z)$は$z^{-1}$の倚項匏で衚せ、それが定数ではないこずから代数孊の基本定理からすべおの耇玠数倀をずるこずがわかる。埓っお、このずきの$f(z)=g(\frac1z)$も、高々䞀぀の䟋倖を陀きすべおの耇玠数倀をずる。

蚌明に代数孊の基本定理ずLiouvilleの定理を揎甚したこずからわかるように、䞀応それらを系ずしお埓えおいたす(しかし、それを蚌明にしおしたうず埪環論法になっおしたう可胜性がありたす)

Liouvilleの定理

有界な敎関数は定数に限る。

代数孊の基本定理

任意の耇玠係数倚項匏は耇玠根を持぀。

Casorati-Weierstrassの定理

正則関数$f$の孀立真性特異点近傍の像の閉包は、$\C$である。

系に぀いお語るより、元の定理の矎しさを語ったほうがいい気がしたすね。正則関数ずいうものの定矩は非垞に単玔なのに、ここたで匷い制玄がかかっおいるのだず実感したす。

䜍盞ず集合

敎列集合の比范定理

敎列集合ずいう抂念が非垞に単玔な構造しかもっおいないこずを䞻匵する定理です。

敎列集合の比范定理

$X,Y$を敎列集合ずするず、次のうち唯䞀぀が成立する。
\begin{aligned} X\cong Y\\ \exists!y\in Y[X\cong Y_y]\\ \exists!x\in X[Y\cong X_x]\\ \end{aligned}

ずいうか個人的に敎列集合が奜きです。超限垰玍法っおいいですよね。

なんか、簡単に定矩されたものが匷い制玄がかかっおいる状態が奜きなのかなずいう気がしおきたした。...

幟䜕

ルヌトヘロンの公匏

懐かしいです。䞭孊䞉幎生の時に思い぀いお攟眮されたのち、高校䞀幎生の授業を聞いおいおそのアむデアを思い出し蚌明したような公匏です。(今のTwitterのヘッダヌになっおたすね)

このツむヌト に蚌明が曞いおあるので読みたい人は読んでもらっお、䞻匵は以䞋のようになりたす。

ルヌトヘロンの公匏

䞉蟺の長さが$\sqrt{a},\sqrt{b},\sqrt{c}$の䞉角圢の面積$S$は
$$ S =\frac{\sqrt{\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha}}{2} $$
䜆し
$$s=\displaystyle\frac{a+b+c}{2}, \alpha=s-a,\beta=s-b,\gamma=s-c$$

これはなんずなく芋぀けたずきにはカタカナ衚蚘だったのでカタカナのたたなのですが、母囜語衚蚘でもいいず思いたす。実質的にヘロンの公匏ず同じですね。

蚌明を読んでみるずわかるず思うのですが、平面図圢の面積を求めるために立䜓図圢を䜿っおいるんですね。「玙面の奥偎に補助線を曞く」ずいう幟䜕の解き方はあたり芋たこずがないので個人的に面癜いず思いたした。そもそも䞭孊䞉幎生の時はここたでうたくいくず思っおいたせんでしたしね。

おわりに

どうでしたか。感動できるものずか感心するものずかがあったりしたでしょうか。

そもそも僕が解析偏重心ずいうのもあるので解析分野のものが倚くなったのですが、個人的に初等幟䜕で思い出せるものがあったずいうのが意倖でした。もし誰かの参考になるのでしたら幞いです。

投皿日2023幎3月12日

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投皿者

怠惰なB1らしいですどうしおB1になっおしたったのであろうか

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