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円周率には0〜9の数が"ランダムに"現れるか?【正規数】

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どうも,∃数学徒です.みなさんは円周率どこまで覚えてますか?
3.141592653589793238462643383279,,,と無限に続く円周率を眺めてるとどうも数の並びは"デタラメ"に見えます.
円周率には0から9までの整数がランダムに並んでいるのか?
今回はこれを考えていきたいと思います.

1,単正規数の定義
2,正規数の定義
3,正規数の例と重要な結果
4,円周率は正規数か?

1,単正規数の定義

この記事ではいくつかの記号(wiki準拠)を使います.

準備

$\Sigma^{∞}$は数の無限列の全体の集合.
$\Sigma^{\ast} $は数の有限列の全体の集合.
$\normalsize{S} \in \Sigma^{∞}$,$\normalsize{w} \in \Sigma^{\ast}$,$\normalsize{n} \in \mathbb{N}$としたとき,$N_{S} \left( w,n \right)$$\normalsize{S}$$\normalsize{n}$個目の数字までに$\normalsize{w}$が現れる回数.

ここでいう数の列とは314や3435などの単なる文字列のこと.

なんとも微妙な定義ですがお許しください.
最後の記号は複数の捉え方が出来るので例を見せておきます.

$\normalsize{S} =$01010101,,,とし,$\normalsize{w}=$010,$\normalsize{n}=$8とする.
このとき,$N_{S} \left( w,n \right)$=3である.

数の列に対してのイコールって何だよと思うかもしれませんが見逃してください.
では,準備が整いましたので単正規数の定義に入ります.

単正規数

$\normalsize{r} \in \mathbb{R}$が単正規数であるとは以下が成り立つことである.
$\normalsize{r}$の小数点以下の数の列を$\normalsize{S}$としたとき,
$\forall m \in [0,9]\cap\mathbb{N} $,$\lim_{n \to \infty}$$\frac {N_{S} \left( m,n \right)}{n}=\frac{1}{10}$
ただし,ここで[0,9]は閉区間を表しているとする.

これでは,$\normalsize{m}$が自然数としても数の列としても扱われているのでホントは良くないかもしれませんが気にしないでください.
とにかく,0〜9の整数が現れる割合が漸近的に等しいということです.
ふつう,$\normalsize{r}$の十進展開が無限に続く場合を考えます.

単正規数の例

0.01234567890123456789,,,は単正規数である.

自明です.
しかし,これは私たちの欲しいものでしょうか?
この数には11という並びがないです.
ランダムというからには任意の有限列が現れて,かつ長さの同じ有限列は現れる割合が等しくあってほしいです.
その願いを叶えてくれるのが次の概念です.

2,正規数の定義

正規数

$\normalsize{r} \in \mathbb{R}$が正規数であるとは以下が成り立つことである.
$\normalsize{r}$の小数点以下の数の列を$\normalsize{S}$としたとき,$\forall w \in\Sigma^{\ast}$,
$\lim_{n \to \infty}\frac {N_{S} \left( w,n \right)}{n}=\frac{1}{10^{ \left| w \right| }}$
ただし,ここで$\left| w \right|$$\normalsize{w}$の長さのことである.
例えば,$\normalsize{w}=314$なら$\left| w \right| =3$である.

自分なりの解釈を書いてみようと思います.異論は受け付けます.
いま,$\normalsize{N}\in\mathbb{N}$を十分大きい整数とする.
$w \in\Sigma^{\ast}$とすれば
$\normalsize{S}$の最初の$\normalsize{N}$個までの数に長さ$\left| w \right|$の数の列は$\normalsize{N}-\left| w \right|$個ある.
また,組み合わせ論的に考えれば0∼9の数字が同様に確からしく現れるとき$\normalsize{w}$が出る確率は$\frac{1}{10^{\left| w \right|}} $.よって,0∼9の数がランダムに現れるなら$\lim_{n \to \infty}\frac {N_{S} \left( w,n \right)}{n-\left| w \right|}=\lim_{n \to \infty}\frac {N_{S} \left( w,n \right)}{n}=\frac{1}{10^{ \left| w \right| }}$が成り立つはず,というのが正規数の発想だと思います.あくまで私個人の解釈であるということを改めて強調しておきます.
とても面白い定義ですね.

3,正規数の例と重要な結果

チャンパーノウン定数

0.123456789101112131415,,,は正規数である.

自然数を小数点以下に順に並べたものです.

コープランド-エルデシュ定数

0.23571113171923,,,は正規数である.

素数を小数点以下に順に並べたものです.

以上の例は人工的なものであることが分かると思います.

ほとんどすべての実数は正規数である.

4,円周率は正規数か?

現在,円周率が正規数かどうかという問題は未解決となっています.ただ,正規数であるだろうと予想されています.
気になる方は 円周率探索くん で確かめてみると良いと思います.
ここまで読んでくれてありがとうございました.

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