前の記事で現れた多項式$H_{n,m}(x)$について、まず計算機による探索を行った。具体的には$2\le m\le 10$, $m< n\le 60$を満たす486組の$(m,n)$に対して$H_{n,m}(x)$を$\mathbf Q[x]$上で完全因数分解した。その結果、可約となったのは$(m,n)=(2,7), (3,13)$の2組だけであり、それ以外の484組はすべて既約であった。この計算結果から、次の予想が自然に導かれる。
整数$n>m\geq2$に対して、多項式
$$H_{n,m}(x)=x^n+x^{n-1}+\ldots+x-m$$
が$\mathbf{Q}[x]$上可約であるための必要十分条件は、$(m,n)=(2,7)$または$(m,n)=(3,13)$である。
その後、より高速な有限体上の既約性判定を用いて探索範囲を拡大した。その結果、$2\le m< n\le1000$を満たす全498,501組について予想が成立することを確認した。すなわち、この範囲で可約となるのは上の2組だけであり、残りの498,499組はすべて既約であった。さらに、$n=2000$および$n=5000$を固定した場合にも、すべての$2\le m< n$に対して新たな可約例は見つからなかった。
今のところ、$m$が素数冪である場合には上の予想が成立することを証明できているが、一般の場合には分からない。