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実際に出会った数学ができない人の特徴

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はじめに

この記事では、ぼくが実際に出会った数学ができない人の特徴について書きます。

ぼく自身が数学ができなかったときのこともありますし、身の回りにいた人のこともあります。

これを読んだ人の役に立てば幸いです。

数学の文法を知らない

ぼくは数学はプログラミング言語の一つと考えています。

かなり強い言い方ですが、ぼく個人としては、形式的証明や定理証明支援系を使った経験からそう考えるようになりました。

数学には文法があります。

プログラミング言語と同じようにエラーもあります。

ぼくが出会った数学ができない人のほとんどは数学の文法がわからない人でした。

文法がわからなければ、自力で参考書などの内容の確認ができません。

特に学生は致命的で、文法がわからなくても、テストで合格したり単位をとらないといけません。

結果、仕方なく暗記します。

よく「数学は暗記ではない」と言われますが、文法がわからない人は暗記するしか生き残る方法がないような追い詰められた状況です。

そこに「覚えるな」と言えば、数学がわからない人たちからすれば「覚えないと学生生活が大変なことになるのに覚えないで数学なんてどうしたらいいんだ」と激しく混乱します。

治さないといけないのは、文法を覚えないといけない人が、問題の解き方を覚えてしまうような環境ではないでしょうか。

もしそういう人たちが大学の学部まで生き残れたとしても、数学を研究しようとした途端、なにもできずにボロボロになります。

ここからは、数学を理解しようと間違った方向に努力した結果、勘違いを悪化させていった例をあげていきます。

式に必ず意味があると思っている

数学の内容に物理的な意味、現実に対応する物、目に見える図形があるとは限りません

たしかに図や現実からヒントが得られることはありますが、そうじゃないことの方が圧倒的に多いです。

「意味づけができないからわからない」は理解を諦める理由にはなりません。

文法を守るだけです。

ぼく個人の話になりますが、数学をするときは、式の意味は考えないし、発音も考えないし、読んでいません。

見て局面を判断するという表現が近いと思います。

たとえば、将棋やチェスのようなゲームで駒の種類や位置を一つ一つ言葉にしなくても遊べると思いますが、それに近い感覚です。

参考書や論文は行間がないと思っている

出版物は特にそうですが、証明は核となるアイディアを書いて、細かいところの行間を開けるのが普通です。

読んだ読者が証明を復元できればOKという考え方ですね。

なので、文法がわからない人が参考書を丸暗記しても数学というプログラミング言語のソースコードは手に入りません。

さらに、参考文献に行間があるからといって、自分が証明をするときに行間を開けていいわけではありません。

文法を守るだけです。

真理値がわかればいいと思っている

普通の数学はだいたい古典一階述語論理上でZFCを使っていると思います。

(必要に合わせて論理体系を変えたり、公理を増やしたり減らしたりなどしますが、一旦おいておきます)

なので、無意識でもいいので、古典一階述語論理の文法を知っていないと証明は書けません。

真理値で証明できるかを判断するのは命題論理なら真理値表を書けばいいんですが、一階述語論理は真理値以外の意味を持つ記号が出てくるので、真理値表を書くだけではダメです。

命題論理と同じやり方をすれば$\forall$$\exists$で詰みます。

この辺は色々理由があるのですが、経験則としては一階述語論理の推論規則をやって、意味を考えずに文字列の変形で証明が書けるようになることをオススメしています。

代入に抵抗を感じる

「この式に代入してもいいんだろうか」と悩んで手が止まる人がかなりいるようです。

文法を守っていれば好き放題代入してもいいんですが、文法を知らないとこの判断ができません。

暗記だけで数学をやってきた人は参考書や先生のOKを待つ状態になるでしょうから、代入して自分が知らない式が出てくると戸惑うのは当然でしょう。

定義を調べない

なにか定義で記号を増やすときは、定義式を公理に加えます。

定義を知らないということは、公理を知らないということと一緒です。

定義を知らないのに証明できないと悩むのは当然で、使える道具が足りないからそうなるのです。

もし定義が覚えられないなら、メモしてすぐに定義を見つけられるようにするなどの対策をするべきです。

等号=の変形から抜け出せない

小中高の数学はわかってたのに大学の数学で急にわからなくなったって人はかなりいると思います。

文法がわかっていれば原因はかなり絞れます。

小中高ではたし算、ひき算、かけ算、わり算、指数関数、三角関数、極限、微積分などをしますが、これらはだいたい等号=の変形でそれっぽくできます。
(大小関係も含めたとしても=と大小関係を繋げてそれっぽくできます)

一方、大学の数学は等号以外の文法をフル活用します。

集合論、$\epsilon$-$\delta$論法、位相空間論が代表例で、等号の変形しかできない人はここで倒れていきます。

おわりに

今回は数学の文法に焦点をあてて例をあげてみました。

文法がわかっても数学ができない人はいますが、それは翻訳能力や文字の検索能力の問題なので、ここでは触れないでおきます。

もし「他にもこんな例があるよ」って人はコメントしてください。

投稿日:20201120
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