追記:改めてみると内容が割とめちゃくちゃなのでもうすぐ出る新しい記事を見てください
初めまして、オメガ定数といいます
最近Airy関数というものを一般化できないか少し考えていました
それで、結果の共有の意味も込めて記事を書いてみることにしました
初めての記事ゆえ読みづらいところや厳密性に欠けるところが大いにあると思いますがどうかご容赦ください...
Airy関数はAiryの微分方程式$\dfrac{d^2y}{dx^2}=xy$の解です。
基本解として$\Ai{}(x)$と$\Bi{}(x)$という関数が選ばれることが多いですね。
$\Ai{}(x)\,,\Bi{}(x)$は実数$x$に対して次のように定義される
$$\Ai{}(x)=\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}\cos\left(\frac{t^3}{3}+xt\right)dt$$
$$\Bi{}(x)=\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}e^{-\frac{t^3}{3}+xt}+\sin\left(\frac{t^3}{3}+xt\right)dt$$
$\Ai{}(x)$と$\Bi{}(x)$のグラフ
Airy関数はSchrödinger方程式の解だったり虹の水滴による分光の説明だったり応用上も重要な関数(らしい)です
これらの一般化がこの記事の目的であるため、一般化の基準になりそうな数個の式を載せるに留めます
Airy関数それ自体についてもっと詳しく知りたい方は参考文献に目を通してほしいです
ここではAiryの微分方程式を拡張した
$$\dfrac{d^2y}{dx^2}=x^{v-2}y$$
という形の微分方程式について考えましょう。
今のところ$v$は2以上の自然数ということにします
唐突だが、以下の二つの関数が解になっていることが一般化超幾何級数の隣接関係式よりわかる
$$\j{v}{A}(x)=\hgF{-}{1-1/v}{\frac{x^v}{v^2}}{1}\,,\;\j{v}{B}(x)=x\hgF{-}{1+1/v}{\frac{x^v}{v^2}}{1} $$
これらは変形Bessel関数で表すこともでき、その場合は以下のようになる
$$\j{v}{A}(x)=\frac{\sqrt{x}}{\sqrt[v]{v}}\Gamma\left(1-\frac{1}{v}\right)I_{-\frac{1}{v}}\left(\frac{2}{v}x^{\frac{v}{2}}\right)\,,\;\j{v}{B}(x)=\sqrt[v]{v}\sqrt{x}\Gamma\left(1+\frac{1}{v}\right)I_{\frac{1}{v}}\left(\frac{2}{v}x^{\frac{v}{2}}\right)$$
天下り的で申し訳ない...
次の命題は$\j{v}{A}(x)$と$\j{v}{B}(x)$が最も自然な基本解であることを特徴づけると言える
$\j{v}{A}(x)\,,\j{v}{B}(x)$の$0$での値は
$$\j{v}{A}(0)=1\,,\j{v}{A}'(0)=0$$
$$\j{v}{B}(0)=0\,,\j{v}{B}'(0)=1$$
になる。また、$\mathcal{W}(\j{v}{A}(x),\j{v}{B}(x))=1$が成り立つ
このように定義された一般Airy関数は次のような対称性を持つ
$$\j{v}{A}(e^{\frac{2\pi i}{v}}x)=\j{v}{A}(x) $$
$$\j{v}{B}(e^{\frac{2\pi i}{v}}x)=e^{\frac{2\pi i}{v}}\j{v}{B}(x) $$
これらの性質はグラフからも見て取れます。絶対値が大きい箇所では白く、小さい箇所では色鮮やかにしています
絶対値が一定より大きい箇所では計算ができず白く塗られてしまっていることに注意
$\j{v}{A}(x)\,,\j{v}{B}(x)$のグラフ
$v$が偶数の時は$\j{v}{A}(x)\,,\j{v}{B}(x)$はそれぞれ偶関数、奇関数になっていることがわかる
これも超幾何級数の形からすぐに導かれることだが、
$$\j{v}{A}'(x)=\frac{x^{v-1}}{v-1}\hgF{-}{2-1/v}{\frac{x^v}{v^2}}{1}\,,\;\j{v}{B}'(x)=\hgF{-}{1/v}{\frac{x^v}{v^2}}{1} $$
が成り立つ
他にも$\j{v}{A}(x)=x\j{-v}{B}\left(\dfrac{1}{x}\right)$を使って添え字の範囲を負にも広げられたりする
これらの性質から、$\j{v}{A}(x)\,,\j{v}{B}(x)$を基本解に選ぶのは当然の事のように思えます
しかし$v=3$の時のグラフを見ればわかる通り最初に見たAiry関数$\Ai{}(x)$と違いどれも正の実軸上で発散しています
これは数値的に扱いづらいだけでなく、積分変換などを考えるうえでも都合が悪いです
これらの理由から$+\infty$への極限が$0$になるような解を作り出したいですね
そのために$\j{v}{A}(x)\,,\j{v}{B}(x)$が変形Bessel関数で書けることに注意して、次のような線形結合を考えましょう
$$\begin{align}\frac{v^{1/v}}{\Gamma(1-1/v)}\j{v}{A}(x)-\frac{v^{-1/v}}{\Gamma(1+1/v)}\j{v}{B}(x)&=\sqrt{x}\left(I_{-\frac{1}{v}}\left(\frac{2}{v}x^{\frac{v}{2}}\right)-I_{\frac{1}{v}}\left(\frac{2}{v}x^{\frac{v}{2}}\right)\right)
\\&=\frac{2\sqrt{x}}{\pi}\sin\left(\frac{\pi}{v}\right)K_{\frac{1}{v}}\left(\frac{2}{v}x^{\frac{v}{2}}\right)\end{align}$$
第二種変形Bessel関数は$K_a(x) \sim \sqrt{\dfrac{\pi}{2x}}e^{-x}\,(x\rightarrow+\infty)$を満たすので目的の関数が得られました。
$\Ai{}(x)$と$\Bi{}(x)$が符号を入れ替えて定義されていたことを思い出して、$c\in \mathbb{C}$を使って
$$\Ai{v}(x)=c\left(\frac{v^{1/v}}{\Gamma(1-1/v)}\j{v}{A}(x)-\frac{v^{-1/v}}{\Gamma(1+1/v)}\j{v}{B}(x)\right)$$
$$\Bi{v}(x)=c\left(\frac{v^{1/v}}{\Gamma(1-1/v)}\j{v}{A}(x)+\frac{v^{-1/v}}{\Gamma(1+1/v)}\j{v}{B}(x)\right)$$
と定義するのがよさそうですね。この定数$c$を何にするのかが難しいところで、何パターンか考えられます
$$\Ai{v}(x)=\frac{v^{1/v}}{\Gamma(1-1/v)}\j{v}{A}(x)-\frac{v^{-1/v}}{\Gamma(1+1/v)}\j{v}{B}(x)$$
$$\Bi{v}(x)=\frac{v^{1/v}}{\Gamma(1-1/v)}\j{v}{A}(x)+\frac{v^{-1/v}}{\Gamma(1+1/v)}\j{v}{B}(x)$$
$c=1$としたものです。$v$が偶数のとき$\Ai{v}(-x)=\Bi{v}(x)$となります。
また、Airy関数との関係は$\Ai{3}(x)=3\Ai{}(x)\,,\Bi{3}(x)=\sqrt{3}\Bi{}(x)$ですね
$$
\mathcal{W}(\Ai{v}(x),\Bi{v}(x))=\frac{2v}{\pi}\sin\left(\frac{\pi}{v}\right)
$$
になります。
$$\pAi{v}(x)=\frac{1}{\sqrt{v}}\tan\left(\frac{\pi}{2v}\right)\Ai{v}(x)$$
$$\pBi{v}(x)=\frac{1}{\sqrt{v}}\Bi{v}(x)$$
こちらはAiry関数との関係は$\Ai{3}(x)=\Ai{}(x)\,,\Bi{3}(x)=\Bi{}(x)$となりきれいです。
特殊関数グラフィックスライブラリーやNISTで定義されているものに近いですね。
なぜ同振幅型という名前にしたのかは以下のグラフを見てもらった方が早いです
$\Ai{v}(x)\,,\Bi{v}(x)$のグラフ
Domain Coloringの方のグラフは定数倍では大きく変化しないので対称型のみ描画しています
より広い範囲のきれいなグラフが特殊関数グラフィックスライブラリーの一般Airy関数の項にあります。
この記事では基本的に対称型を使っていくことにしましょう
一般Airy関数に関することの多くはBessel関数、もしくは一般化超幾何級数から導かれます
いくつか例をあげてみましょう
$$\Ai{v}(x)=\frac{2v}{\pi}\sin\left(\frac{\pi}{2v}\right)\int_{0}^{\infty}\cos\left(\frac{t^v}{v}-\frac{x^v}{vt^v}\right)dt$$
$$\Ai{v}(x)=\frac{2\sqrt{x}}{\pi}\sin\left(\frac{\pi}{v}\right)\int_{0}^{\infty}e^{-\frac{2}{v}x^{\frac{v}{2}}\cosh(t)}\cosh\left(\frac{t}{v}\right)dt=\frac{2\sqrt{x}}{\pi}\sin\left(\frac{\pi}{v}\right)\int_{1}^{\infty}\frac{e^{-\frac{2}{v}x^{\frac{v}{2}}t}\;T_{\frac{1}{v}}(t)}{\sqrt{t^2-1}}dt$$
$$\Ai{v}(x)=\frac{v^{-1/v}}{\pi}\sin\left(\frac{\pi}{v}\right)x\int_{0}^{\infty}t^{-\frac{1}{v}-1}e^{-t-\frac{x^v}{v^2t}}dt$$
$$\Ai{v}(x)=\frac{2x}{\sqrt{\pi v}}\left(\frac{4}{v}\right)^{\frac{1}{v}}\sin\left(\frac{\pi}{v}\right)e^{-\frac{2}{v}x^{\frac{v}{2}}}U\left[\begin{matrix}1/v+1/2\\2/v+1\end{matrix};\frac{4}{v}x^\frac{v}{2}\right]$$
$$\int_{0}^{\infty}\Ai{v}(x)dx=\frac{v^{\frac{3}{v}-1}}{\pi}\sin\left(\frac{\pi}{v}\right)\Gamma\left(\frac{1}{v}\right)\Gamma\left(\frac{2}{v}\right)$$
$$\int_{0}^{\infty}\Ai{v}(-x)dx=\frac{v^{\frac{3}{v}-1}}{\pi}\left(\sin\left(\frac{2\pi}{v}\right)+\sin\left(\frac{\pi}{v}\right)\right)\Gamma\left(\frac{1}{v}\right)\Gamma\left(\frac{2}{v}\right)\quad(v\in 2\mathbb{N}+1,v > 2)$$
$$\int_{0}^{\infty}\Bi{v}(-x)dx=\frac{v^{\frac{3}{v}-1}}{\pi}\left(\sin\left(\frac{2\pi}{v}\right)-\sin\left(\frac{\pi}{v}\right)\right)\Gamma\left(\frac{1}{v}\right)\Gamma\left(\frac{2}{v}\right)\quad(v\in \mathbb{N},v \geq 2)$$
$$\int_{0}^{\infty}\j{v}{A}(e^{\frac{\pi i}{v}}x)dx=\frac{2}{v}v^{\frac{2}{v}}\cos\left(\frac{\pi}{v}\right)\Gamma\left(\frac{2}{v}\right)$$
$$\int_{0}^{\infty}\j{v}{B}(e^{\frac{\pi i}{v}}x)dx=e^{\frac{\pi i}{v}}\frac{v^{\frac{4}{v}-2}}{\pi}\sin\left(\frac{\pi}{v}\right)\Gamma\left(\frac{1}{v}\right)^2\Gamma\left(\frac{2}{v}\right)$$
$$\int_{0}^{\infty}x^{s-1}\Ai{v}(x)dx=\frac{v^{\frac{2s+1}{v}-1}}{\pi}\sin\left(\frac{\pi}{v}\right)\Gamma\left(\frac{s}{v}\right)\Gamma\left(\frac{s+1}{v}\right)$$
$$\int_{0}^{\infty}x^{s-1}\Ai{v}(-x)dx=\frac{v^{\frac{2s+1}{v}-1}}{\pi}\left(\sin\left(\frac{s+1}{v}\pi\right)+\sin\left(\frac{s\pi}{v}\right)\right)\Gamma\left(\frac{s}{v}\right)\Gamma\left(\frac{s+1}{v}\right)$$
$$\int_{0}^{\infty}x^{s-1}\Bi{v}(-x)dx=\frac{v^{\frac{2s+1}{v}-1}}{\pi}\left(\sin\left(\frac{s+1}{v}\pi\right)-\sin\left(\frac{s\pi}{v}\right)\right)\Gamma\left(\frac{s}{v}\right)\Gamma\left(\frac{s+1}{v}\right)$$
$$\int_{0}^{\infty}x^{s-1}\j{v}{A}(e^{\frac{\pi i}{v}}x)dx=\frac{v^{\frac{2s}{v}-1}}{\pi}\sin\left(\frac{s+1}{v}\pi\right)\Gamma\left(\frac{s}{v}\right)\Gamma\left(\frac{s+1}{v}\right)\Gamma\left(1-\frac{1}{v}\right)$$
$$\int_{0}^{\infty}x^{s-1}\j{v}{B}(e^{\frac{\pi i}{v}}x)dx=e^{\frac{\pi i}{v}}\frac{v^{\frac{2s}{v}-1}}{\pi}\sin\left(\frac{s\pi}{v}\right)\Gamma\left(\frac{s}{v}\right)\Gamma\left(\frac{s+1}{v}\right)\Gamma\left(1+\frac{1}{v}\right)$$
積分を扱う上でいちいち結果にガンマ関数が入ってくるのはちょっと鬱陶しいので正規化一般Airy関数を定義します
$$\rAi{v}(x)=\frac{\pi v^{-3/v}}{\sin(\pi/v)\Gamma(1/v)\Gamma(2/v)}\Ai{v}(x)=v^{-3/v}\frac{\Gamma(1-1/v)}{\Gamma(2/v)}\Ai{v}(x)$$
$$\rBi{v}(x)=\frac{\pi v^{1/2-3/v}}{\sin(\pi/v)\Gamma(1/v)\Gamma(2/v)}\Bi{v}(x)=v^{1/2-3/v}\frac{\Gamma(1-1/v)}{\Gamma(2/v)}\Bi{v}(x)$$
$\rAi{3}(x)=\Ai{}(x)\,,\rBi{3}(x)=\Bi{}(x)$になっています。うれしいですね
先ほどの積分たちをこちらで書き直すと次のようになります
$$\int_{0}^{\infty}\rAi{v}(x)dx=\frac{1}{v}$$
$$\int_{0}^{\infty}\rAi{v}(-x)dx=\frac{1}{v}+\frac{2}{v}\cos\left(\frac{\pi}{v}\right)\quad(v\in 2\mathbb{N}+1,v > 2)$$
$$\int_{-\infty}^{\infty}\rAi{v}(x)dx=\frac{2}{v}+\frac{2}{v}\cos\left(\frac{\pi}{v}\right)\quad(v\in 2\mathbb{N}+1,v > 2)$$
$$\int_{0}^{\infty}\rBi{v}(-x)dx=\frac{2}{\sqrt{v}}\cos\left(\frac{\pi}{v}\right)-\frac{1}{\sqrt{v}}\quad(v\in 2\mathbb{N}+1,v > 2)$$
$\rBi{v}(x)$は$1/\sqrt{v}$倍して定義した方がいいと思うかもしれません。
実際使うのはほとんど$\rAi{v}(x)$の方なので、通常のAiry関数と一致することを優先しました
ここで次のような積分路を考えましょう
積分路
$v-2$個の経路がありますね。これらの経路すべての和$C$を考えると次が成り立ちます
$$\int_C\rAi{v}(x)dx=1$$
例えば、
$$\int_{C_0}\rAi{3}(x)dx=1\,,\int_{C_1+\overline{C_1}}\rAi{3}(x)dx=1$$
という感じです
Airyの微分方程式を高階微分に拡張した次の方程式を考える
$$\frac{d^ny}{dx^n}=x^{v-n}y$$
これを超一般Airyの微分方程式と呼ぶことにしましょう
次のようなベクトルパラメータ$a_m$を定義します$(0\leq m< n)$
$
a_0=\left(1-\dfrac{n-1}{v},1-\dfrac{n-2}{v},...,1-\dfrac{2}{v},1-\dfrac{1}{v}\right)
$
$ a_1=\left(1-\dfrac{n-2}{v},1-\dfrac{n-3}{v},...,1-\dfrac{1}{v},1+\dfrac{1}{v}\right) $
$
a_2=\left(1-\dfrac{n-3}{v},...,1-\dfrac{1}{v},1+\dfrac{1}{v},1+\dfrac{2}{v}\right)
$
$
\quad\:\:\:\vdots
$
$
a_m=\left(1-\dfrac{n-m-1}{v},...,1-\dfrac{1}{v},1+\dfrac{1}{v},...,1+\dfrac{m}{v}\right)
$
また、変な話ですが$(\mathrm{M})$をm番目のアルファベットということにします
$0\leq m< n$に対して
$$\j{n,v}{A}(x)=\hgF{-}{a_0}{\frac{x^v}{v^n}}{n-1} $$
$$\j{n,v}{B}(x)=x\hgF{-}{a_1}{\frac{x^v}{v^n}}{n-1} $$
$$\j{n,v}{C}(x)=\frac{x^2}{2}\hgF{-}{a_1}{\frac{x^v}{v^n}}{n-1} $$
$
\quad\:\:\:\vdots
$
$$\j{n,v}{(M)}(x)=\frac{x^m}{m!}\hgF{-}{a_m}{\frac{x^v}{v^n}}{n-1} $$
が方程式の線形独立な解になっている。
これを証明することはできなかったが、おそらく正しいので一旦認めることにしましょう
一般化超幾何級数の隣接関係式のようなものがあれば示せる気もする(示せたら教えてください)
&&&prop 基本的な性質
$\j{n,v}{(M)}^{(n)}(x)=x^{v-n}\j{n,v}{(M)}(x)$
$\j{n,v}{(M)}^{(n)}(e^{\frac{\pi i}{v}}x)=-x^{v-n}\j{n,v}{(M)}(x)$
解になっているというだけですね。ゼロでの値は次のようになる
$\j{n,v}{(M)}^{(k)}(0)= \begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
1\quad k=m \\
0\quad k\neq m
\end{array}
\right.
\end{eqnarray} $
これもまた$\j{v}{A}(x)$と$\j{v}{B}(x)$の拡張になっている。
Wronskianについても$\mathcal{W}(\j{n,v}{A}(x),\j{n,v}{B}(x),\j{n,v}{C}(x),...)=1$になる
対称性は次のようになる
$\j{n,v}{(M)}^{(n)(e^{\frac{2\pi i}{v}}x)=e^{\frac{2m\pi i}{v}}\j{n,v}{(M)}^{(n)}(x) $
&&&
彼らのグラフも眺めてみることにしましょう。まずは$n=3$の場合です
![$\j{3,v}{A}(x)\,,\j{3,v}{B}(x)\,,\j{3,v}{C}(x)$のグラフ](/uploads/mathdown/z0a8xvEilduR0MBF0PRU.png)
対称性や零点の位数が見て取れますね。振動しつつも収束していた$n=2$の時とは違い全然収束してませんね...
$n=4$も場合も見てみましょう
![$\j{4,v}{A}(x)\,,\j{4,v}{B}(x)\,,\j{4,v}{C}(x)\,,\j{4,v}{D}(x)$のグラフ](/uploads/mathdown/MLG0zsntaLxtSk2k1yCE.jpg)
零点の位数はよく見えますが振動してる部分はもはや確認できないですね
計算量の問題なので領域の外では振動していると考えるべきでしょう
$n=2$でAiry関数に、$n=1$と$n=v$で指数関数に帰着され、以下のようになる。
$\j{1,v}{A}(x)=e^{\frac{x^v}{v}}$
$$\j{3,3}{A}(x)=\frac{1}{3}\left(e^x+2e^{-\frac{x}{2}}\cos\left(\frac{\sqrt{3}x}{2}\right)\right)$$
$$\j{3,3}{B}(x)=\frac{1}{3}\left(e^x-2e^{-\frac{x}{2}}\sin\left(\frac{\pi}{6}-\frac{\sqrt{3}x}{2}\right)\right)$$
$$\j{3,3}{C}(x)=\frac{1}{3}\left(e^x-2e^{-\frac{x}{2}}\sin\left(\frac{\pi}{6}+\frac{\sqrt{3}x}{2}\right)\right)$$
$$\j{4,4}{A}(x)=\frac{1}{2}(\cosh(x)+\cos(x))$$
$$\j{4,4}{B}(x)=\frac{1}{2}(\sinh(x)+\sin(x))$$
$$\j{4,4}{C}(x)=\frac{1}{2}(\cosh(x)-\cos(x))$$
$$\j{4,4}{D}(x)=\frac{1}{2}(\sinh(x)-\sin(x))$$
一般には$\j{n,n}{(M)}(x)$は$e^{e^{\frac{2k\pi i}{n}}x}\,,(0 \leq k\leq n)$の線形結合になる
# 一般論
超一般Airy関数についても$\Ai{v}(x)$のような”良い”解を探したいです
しかしBessel関数に帰着できる一般Airy関数の時とは違い、どうすればいいか検討もつかないですね
ということで、一旦初心に戻ってみましょう。以降微分作用素は$D$で記す
&&&def 用語
超一般Airyの微分方程式$D^ny=x^my$を$\A{n,m}$と表すことにする
$\A{n,m}:D^ny=x^my$に対して補方程式を$\coA{n,m}:D^ny=-x^my$と定義する
全ての$\A{n,m}$と$\coA{n,m}$の集合を$\A{}$と書く。今後、”超一般Airyの微分方程式”は$\A{}$の元を指すことにする
超一般Airyの微分方程式$a\in\A{}$に対して、解の全体を$\sol a$と書くことにする
&&&
ここで少し両側Laplace変換について考えてみましょう。両側Laplace変換は次で定義される積分変換です
$$\mathcal{B}_{x}\big[f(x)\big](s)=\int_{-\infty}^{\infty}e^{-sx}f(x)dx$$
逆変換はこう定義されます
$$\mathcal{B}_{x}^{-1}\big[f(x)\big](s)=\frac{1}{2\pi i}\int_{c-i\infty}^{c+i\infty}e^{sx}f(x)dx$$
収束性などについても考えなければいけないのですが、ここでは重要じゃないので無視しちゃいます
ここで重要になってくるのがこれらの性質です
$$\mathcal{B}_{x}\big[D^nf(x)\big](s)=s^n\mathcal{B}_{x}\big[f(x)\big](s)$$
$$\mathcal{B}_{x}\big[x^mf(x)\big](s)=(-D)^m\mathcal{B}_{x}\big[f(x)\big](s)$$
$$\mathcal{B}_{x}^{-1}\big[D^nf(x)\big](s)=(-s)^n\mathcal{B}_{x}\big[f(x)\big](s)$$
$$\mathcal{B}_{x}^{-1}\big[x^mf(x)\big](s)=D^m\mathcal{B}_{x}\big[f(x)\big](s)$$
これらが成り立ったまま、使いやすいように両側Laplace変換を拡張しちゃいましょう。添え字の$x$は省略します
$e^{-sx}f(x)$が$C$の両端で$0$に収束するとします。この時、$f$の広義両側Laplace変換を次で定義します
$$\mathcal{B}_{C}\big[f(x)\big](s)=\int_Ce^{-sx}f(x)dx$$
$$\mathcal{B}_{C}^{*}\big[f(x)\big](s)=\frac{1}{2\pi i}\int_Ce^{sx}f(x)dx$$
これらは一般には互いの逆変換になっていません。ご注意ください
前者の$C$と後者の$C$が複素平面上の原点を通る直行する2直線のときは逆変換になっています
$\mathcal{B}_C$の経路として実軸、$\mathcal{B}_C^{*} $の経路として虚軸を取るのがもっとも理想的ですね
&&&def 疑似双対方程式
$\A{n,m}:D^ny=x^my$の両辺を広義両側Laplace変換すると、次の式が現れます
$$(-D)^m\mathcal{B}_C\big[f(x)\big](s)=s^n\mathcal{B}_C\big[f(x)\big](s)$$
$$D^m\mathcal{B}_C^*\big[f(x)\big](s)=(-s)^n\mathcal{B}_C^*\big[f(x)\big](s)$$
これらを$s$に関する微分方程式と見たとき、別の超一般Airyの微分方程式になっていることが分かります
前者を$\A{n,m}$の疑似双対方程式、後者を$\A{n,m}$の逆疑似双対方程式と呼ぶことにし、次のように記します
$$\A{n,m}^\dagger:D^my=(-1)^mx^ny$$
$$\A{n,m}^{-\dagger}:D^my=(-1)^nx^ny$$
方程式が補方程式であるような場合は$\coA{n,m}^\dagger=\overline{\A{n,m}^\dagger}$で定義します
これで任意の$a\in \A{}$に対して$a^\dagger$を定義できたことになります
&&&
仰々しい名前と記号ですが、要は$D$を$x$に、$x$を$-D$に置き換えたものが疑似双対方程式で、
$D$を$-x$に、$x$を$D$に置き換えたものが逆疑似双対方程式です
上の定義は、$s(x)\in \sol\A{n,m}$に対して、$\mathcal{B}_C\big[a(x)\big](s)\in\sol\A{n,m}^\dagger$が成り立つということですね
次に超一般Airyの微分方程式を分類することを考えましょう
&&&def 分類
超一般Airyの微分方程式は4つの種類に分類できます
- 偶タイプ$\A{n,m}\,(n,m\in2\mathbb{N})$
- 偶奇タイプ$\A{n,m}\,(n\in2\mathbb{N},m\in2\mathbb{N}+1)$
- 奇偶タイプ$\A{n,m}\,(n\in2\mathbb{N}+1,m\in2\mathbb{N})$
- 奇タイプ$\A{n,m}\,(n,m\in2\mathbb{N}+1)$
それぞれの全体を$\A{2\mathbb{N},2\mathbb{N}}\,,\A{2\mathbb{N},2\mathbb{N}+1}\,,\A{2\mathbb{N},2\mathbb{N}+1}\,,\A{2\mathbb{N}+1,2\mathbb{N}+1}\,$と記すことにしましょう
補方程式に対しても同じように定義されます
&&&
それぞれのタイプに対して繰り返し疑似双対を取った結果を見てみると次のようになります
$\A{2\mathbb{N},2\mathbb{N}}\ni\A{n,m}\ad\A{m,n}\ad\A{n,m}$
$\A{2\mathbb{N},2\mathbb{N}+1}\ni\A{n,m}\ad\coA{m,n}\ad\coA{n,m}\ad\A{m,n}\ad\A{n,m}$
$\A{2\mathbb{N}+1,2\mathbb{N}}\ni\A{n,m}\ad\A{m,n}\ad\coA{n,m}\ad\coA{m,n}\ad\A{n,m}$
$\A{2\mathbb{N}+1,2\mathbb{N}+1}\ni\A{n,m}\ad\coA{m,n}\ad\A{n,m}$
# 超一般Airy関数の構成
これまでの議論により$\A{n,m}$の解を得たいときは$\A{n,m}^{-\dagger}$の解を広義両側ラプラス変換すればいいことがわかりました
それでも積分路の任意性や$\A{n,m}^{-\dagger}$の解の選び方などで、一般Airy関数の時のような議論ができません
一般の場合は結果と言えるようなものをまだ得ていないのでこの記事では話さないことにします
ここでは$\pm\infty$への極限が$0$になるような解を探すことに重点を置きましょう
&&&prop 数値的に満足な解
$a^{-\dagger}(x)\in\sol\A{n,m}^{-\dagger}$に対して
$$\int_{-i\infty}^{i\infty}a^{-\dagger}(x)dx<\infty$$
を満たすとき、$C$として虚軸を取った広義両側ラプラス変換
$$\B{C}{a^{-\dagger}(x)}=\int_{-i\infty}^{i\infty}e^{-sx}a^{-\dagger}(x)dx$$
は$\A{n,m}$の解で、Riemann-Lebesgueの定理よりその$\pm\infty$への極限は$0$
&&&
つまり積分路として虚軸をとれたら勝利だと考えていいですね
&&&ex $\A{n,1}$の解
$\A{n,1}:D^ny=xy$の数値的に満足な解を考えてみましょう
これは偶奇タイプか奇タイプになり、逆疑似双対はそれぞれ
$$\A{2\mathbb{N},2\mathbb{N}+1}\ni\A{n,1}\ad\coA{1,n}\ad\coA{n,1}\ad\A{1,n}\ad\A{n,1}$$
$$\A{2\mathbb{N}+1,2\mathbb{N}+1}\ni\A{n,1}\ad\coA{1,n}\ad\A{n,1}$$
よりわかりますね
#### - 偶奇タイプの場合
偶奇タイプの場合は$\A{n,1}^{-\dagger}=\A{1,n}$になります
$$\sol\A{1,n}=\{ce^{\frac{x^{n+1}}{n+1}}|c\in\mathbb{C}\}$$
から一つ関数を選びましょう。この場合は定数倍の差しかないのであまり気にしなくていいですね
積分路として虚軸を選びたいことを考えると、$c=1/2\pi i$とするのがいいでしょう。これを使って得られる
$$\frac{1}{2\pi i}\B{C}{e^{\frac{x^{n+1}}{n+1}}}=\frac{1}{2\pi i}\int_Ce^{-sx+\frac{x^{n+1}}{n+1}}dx$$
は$\A{n,1}$の解になっていますね。$C$を虚軸にしたいですが、それは常に可能でしょうか?
グラフを見てみるとこにします
![$e^{x^{(n+1)}/(n+1)}$のグラフ($n$が偶数の場合)](/uploads/mathdown/5Wo7Obcknd7d7g3Ld0h3.png)
怪しいですね。虚軸を$\epsilon$だけ左右にずらした経路を考えます。
$\pm$は$n+1\equiv3\mod4$なら$+$、$n+1\equiv1\mod4$なら$-$、$\mp$なら逆で考えます
$$\frac{1}{2\pi i}\int_{\pm\epsilon-i\infty}^{\pm\epsilon+i\infty}e^{-sx+\frac{x^{n+1}}{n+1}}dx=\frac{1}{2\pi}\int_{\mp\epsilon-\infty}^{\mp\epsilon+\infty}e^{-isx\mp i\frac{x^{n+1}}{x+1}}dx$$
これに$\epsilon\rightarrow 0$の極限をとっていいかは微妙ですが、部分積分を使ってちゃんと収束していることがわかります
極限を取ると奇関数部分が消えるので最終的に結果は
$$\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}\cos\left(\frac{x^{n+1}}{n+1}\pm sx\right)dx$$
になりますね。これは実数$s$に対してしか収束していないことに注意が必要です
複素数について考える時は極限を取らないバージョンを使えばいいです。この関数を
$$\Ai{n,n+1}(x)=\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}\cos\left(\frac{t^{n+1}}{n+1}\pm xt\right)dt$$
と定義します。$n=2$とすると一番最初にのせたAiry関数の積分表示と一致していることがわかりますね
#### - 奇タイプの場合
奇タイプの場合は$\A{n,1}^{-\dagger}=\coA{1,n}$になります
$$\sol\coA{1,n}=\{ce^{-\frac{x^{n+1}}{n+1}}|c\in\mathbb{C}\}$$
から一つ関数と取ってきます。この場合も同じですね、$c=1/2\pi i$としたものを使いましょう
$$\frac{1}{2\pi i}\B{C}{e^{-\frac{x^{n+1}}{n+1}}}=\frac{1}{2\pi i}\int_Ce^{-sx-\frac{x^{n+1}}{n+1}}dx$$
が$\A{n,1}$の解となっています。先ほどと違い、$C$を虚軸に沿わせることが常にできるわけではないです
![$e^{-x^{(n+1)}/(n+1)}$のグラフ($n$が奇数の場合)](/uploads/mathdown/8zIVpnJLcFREj26tLQrb.png)
$n+1\equiv2\mod4$の時は虚軸上で発散していますね...
$n=1$の時を考えればこうなるのも仕方ないことが分かると思います
$\sol\A{1,1}=\{ce^{\frac{x^{2}}{2}}|c\in\mathbb{C}\}$に求めているような関数はないですからね
なのでそのような場合は除いて$n+1\equiv 0\mod 4$の場合だけで考えます
$$\frac{1}{2\pi i}\int_{-i\infty}^{i\infty}e^{-sx+\frac{x^{n+1}}{n+1}}dx=\frac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-isx-\frac{x^{n+1}}{x+1}}dx=\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}e^{-\frac{x^{n+1}}{n+1}}\cos(sx)dx$$
になります。さっきよりもきれいですね。この関数を
$$\Ai{n,n+1}(x)=\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}e^{-\frac{t^{n+1}}{n+1}}\cos(xt)dt$$
としましょう。これで$n+1\equiv2\mod4$の場合を除いて数値的に満足な解を得られました
これらは$+\infty$で$0$に収束するだけでなく、$-\infty$でも$0$に収束しています
$n+1\equiv2\mod4$の時にもこのような解が存在するかはわかっていません($n=1$なら存在しない)
&&&
&&&ex フーリエ変換に対して不変な関数
$\coA{2,2}$について考えてみましょう
この方程式は疑似双対をとっても変化しません。つまり$\coA{2,2}^{\dagger}=\coA{2,2} $です
これは$a_1\in\sol\coA{2,2}$としたとき、別の関数$a_2\in\sol\coA{2,2}$が存在して
$$a_1(s)=\int_{C}e^{-sx}a_2(x)dx$$
となるということですね。$1/\sqrt{2\pi}$倍して$C$を虚軸にできればこれはフーリエ変換になります
$a_2(x)=\j{4}{A}(e^{\frac{\pi i}{4}}x)$とします。経路として虚軸を取って計算します
$$a_1(s)=\int_{-i\infty}^{i\infty}e^{-sx}\j{4}{A}(e^{\frac{\pi i}{4}}x)dx=\int_{-\infty}^{\infty}e^{-isx}\j{4}{A}(e^{\frac{\pi i}{4}}x)dx$$
これが$\coA{2,2}$の解になっています。2階線形微分方程式の解は$a(0)$と$a'(0)$が決まっていれば一意に定まります
$$a_1(0)=\int_{-\infty}^{\infty}\j{4}{A}(e^{\frac{\pi i}{4}}x)dx\:,\: a_1'(0)=0$$
ですね。$\j{4}{A}(e^{\frac{\pi i}{4}}x)$が偶関数なことを踏まえて一般Airy関数の項にある式を使って計算するとこれは
$$a_1(0)=\sqrt{2\pi} $$
になることがわかります。よって
$$\frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-isx}\j{4}{A}(e^{\frac{\pi i}{4}}x)dx=\j{4}{A}(e^{\frac{\pi i}{4}}s) $$
が成り立ちます。これは偶タイプの$\A{n,n}\,,\coA{n,n}$に関しても同様の議論ができますね。
厳密には確認していませんが、この方法でいくらでもフーリエ変換の固有関数を作り出せる気がします
もっともより高次の場合は単に$\j{n,2n}{(M)}(x)$を考えても収束しないので工夫は必要になりそうですが...
&&&
&&&ex $\A{n,2}$の解
$\A{n,2}:D^ny=x^2y$の数値的に満足な解を考えてみましょう
これは偶タイプか奇偶タイプになり、逆疑似双対はそれぞれ
$$\A{2\mathbb{N},2\mathbb{N}}\ni\A{n,2}\ad\A{2,n}\ad\A{n,2}$$
$$\A{2\mathbb{N}+1,2\mathbb{N}}\ni\A{n,2}\ad\A{2,n}\ad\coA{n,2}\ad\coA{2,n}\ad\A{n,2}$$
よりわかりますね。先ほどのように場合分け...と行く前に、一般Airy関数について少し考えてみましょう
![$\j{v}{A}(x)\,,\j{v}{B}(x)$のグラフ(再掲)](/uploads/mathdown/r3jgqhCtdBfQehp37abR.png)
これらのグラフから見て取れるように、$\j{v}{A}(x)\,,\j{v}{B}(x)$は$e^{\frac{(2k+1)\pi i}{v}}\infty$への極限が$0$になっています
任意の線形結合をとってもこれらの極限は変わらないのでこれは$\A{2,n}$のすべての解が持つ性質と言えます
どんな時に虚軸方向での極限が$0$になるか考えてみましょう。まず$v$が奇数の時は偶関数にならないので除外です
$\frac{(2k+1)\pi i}{v}=\frac{\pi i}{2} $が言えればいいわけですから、$v$が$2\times奇数$という形の自然数の時に成り立っていますね
この結果により、奇偶タイプの場合を考えなくていいことが分かりました。偶タイプについて考えれば十分ですね
$\A{n,2}^\dagger=\A{2,n}$から関数を取ってきましょう。$\sol\A{2,n}=\{a\j{n+2}{A}(x)+b\j{n+2}{B}(x)|a,b\in\mathbb{C}\} $です
ここでは
$$\frac{1}{2\pi i}\frac{(n+2)^{\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1-\frac{1}{n+2})}\j{n+2}{A}(x)\,,\frac{1}{2\pi i}\frac{(n+2)^{-\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1+\frac{1}{n+2})}\j{n+2}{B}(x)$$
を使うことにします。これは数値的に満足な一般Airy関数を定義するときに出てきたものの$1/2\pi i$倍ですね
#### - $\dfrac{1}{2\pi i}\dfrac{(n+2)^{\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1-\frac{1}{n+2})}\j{n+2}{A}(x)$の場合
$n+2$が$2\times奇数$の形になっているので、$n$は$2\times偶数$、つまり四の倍数になっています
これまでと同じように次の積分を考えます
$$\begin{align*}\frac{1}{2\pi i}\frac{(n+2)^{\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1-\frac{1}{n+2})}\int_{-i\infty}^{i\infty}e^{-sx}\j{n+2}{A}(x)dx&=\frac{1}{2\pi}\frac{(n+2)^{\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1-\frac{1}{n+2})}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-isx}\j{n+2}{A}(ix)dx\\&=\frac{1}{2\pi}\frac{(n+2)^{\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1-\frac{1}{n+2})}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-isx}\j{n+2}{A}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}x)dx\\&=\frac{1}{\pi}\frac{(n+2)^{\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1-\frac{1}{n+2})}\int_{0}^{\infty}\cos(sx)\j{n+2}{A}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}x)dx\end{align*}$$
これを$\Ai{n,n+2}(x)$と定義することにしましょう。$n$が四の倍数でない時は意味をなさないことに注意です
#### -$\dfrac{1}{2\pi i}\dfrac{(n+2)^{-\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1+\frac{1}{n+2})}\j{n+2}{B}(x)$の場合
同じように積分を考えます
$$\begin{align*}\frac{1}{2\pi i}\frac{(n+2)^{-\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1+\frac{1}{n+2})}\int_{-i\infty}^{i\infty}e^{-sx}\j{n+2}{B}(x)dx&=\frac{1}{2\pi}\frac{(n+2)^{-\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1+\frac{1}{n+2})}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-isx}\j{n+2}{B}(ix)dx\\&=\frac{e^{\frac{n\pi i}{2(n+2)}}}{2\pi}\frac{(n+2)^{-\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1+\frac{1}{n+2})}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-isx}\j{n+2}{B}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}x)dx\\&=\frac{e^{-\frac{\pi i}{n+2}}}{\pi}\frac{(n+2)^{-\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1+\frac{1}{n+2})}\int_{0}^{\infty}\sin(sx)\j{n+2}{B}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}x)dx\end{align*}$$
これを$\Bi{n,n+2}(x)$と定義します
これと同じ方法で一般の場合についても考えられたらよかったのですが、
実際は$\j{n,v}{(M)}(x)$は$n=2$のときしか収束してくれないので無理です...
&&&
もうお察しかもしれませんが、これがこの方法の限界です。知らない関数の間の関係式を得ることはできますが、
我々が$n=1$と$n=2$の時についてしか知らないのでこれ以上具体的な関数を得ることはできません
# 線形結合といくつかの関数
最初に前の項で定義した関数をまとめておきましょう
$$\Ai{n,n+1}(x)=\begin{align}
\begin{dcases}
\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}\cos\left(\frac{t^{n+1}}{n+1}- xt\right)dt\quad n\equiv0\mod4 \\
???(おそらく存在しない)\quad n\equiv1\mod4\\
\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}\cos\left(\frac{t^{n+1}}{n+1}+ xt\right)dt\quad n\equiv2\mod4 \\
\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}e^{-\frac{t^{n+1}}{n+1}}\cos(xt)dt\quad n\equiv3\mod4\\
\end{dcases}
\end{align}$$
$$\begin{align}
\Ai{n,n+2}(x)=\frac{1}{\pi}\frac{(n+2)^{\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1-\frac{1}{n+2})}\int_{0}^{\infty}\cos(sx)\j{n+2}{A}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}x)dx\quad n\equiv0\mod4
\end{align}$$
$$\begin{align}
\Bi{n,n+2}(x)=\frac{e^{-\frac{\pi i}{n+2}}}{\pi}\frac{(n+2)^{-\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1+\frac{1}{n+2})}\int_{0}^{\infty}\sin(sx)\j{n+2}{B}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}x)dx\quad n\equiv0\mod4
\end{align}$$
&&&prop 超幾何級数で表示
$a^{-\dagger}(x)\in\sol\A{n,m}^\dagger$を使って定義された$a(s)=\B{C}{a^{-\dagger}(x)}\in\A{n,m}$は次のように級数展開できる
$$a(x)=\int_Ca^{-\dagger}(x)dx\j{n,n+m}{A}(x)-\int_Cxa^{-\dagger}(x)dx\j{n,n+m}{B}(x)+\int_Cx^2a^{-\dagger}(x)dx\j{n,n+m}{C}(x)-...$$
&&&
$a$が広義両側ラプラス変換を使って定義されていることと、$\j{n,v}{(M)}^{(k)}(0)=\delta_{m,k}$だったことからわかりますね
これでようやく数値的に満足な解を得られる係数が分かったわけです。実際に計算してみましょう
$$\begin{equation}\begin{split}\Ai{n,n+1}(x)&=\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}\cos\left(\frac{t^{n+1}}{n+1}\right)dt\j{n,n+1}{A}(x)+\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}t\sin\left(\frac{t^{n+1}}{n+1}\right)dt\j{n,n+1}{B}(x)\\
&\quad-\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}t^2\cos\left(\frac{t^{n+1}}{n+1}\right)dt\j{n,n+1}{C}(x)-\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}t^3\sin\left(\frac{t^{n+1}}{n+1}\right)dt\j{n,n+1}{D}(x)+...\end{split}\end{equation}$$
これは$n\equiv0\mod4$の場合ですね。4つセットで$+\,,+\,,-\,,-$を繰り返しています。$n=4$の時が重要そうです
$$\begin{equation}\begin{split}\Ai{n,n+1}(x)&=\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}\cos\left(\frac{t^{n+1}}{n+1}\right)dt\j{n,n+1}{A}(x)-\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}t\sin\left(\frac{t^{n+1}}{n+1}\right)dt\j{n,n+1}{B}(x)\\
&\quad+\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}t^2\cos\left(\frac{t^{n+1}}{n+1}\right)dt\j{n,n+1}{C}(x)-\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}t^3\sin\left(\frac{t^{n+1}}{n+1}\right)dt\j{n,n+1}{D}(x)+...\end{split}\end{equation}$$
こちらは$n\equiv2\mod4$の場合です。4つセットで$+\,,-\,,+\,,-$を繰り返しています。通常のAiry関数がこれです
$$\begin{equation}\begin{split}\Ai{n,n+1}(x)&=\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}e^{-\frac{x^{n+1}}{n+1}}dt\j{n,n+1}{A}(x)-\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}t^2e^{-\frac{x^{n+1}}{n+1}}dt\j{n,n+1}{C}(x)\\
&\quad+\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}t^4e^{-\frac{x^{n+1}}{n+1}}dt\j{n,n+1}{E}(x)-\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}t^6e^{-\frac{x^{n+1}}{n+1}}dt\j{n,n+1}{G}(x)+...\end{split}\end{equation}$$
これは$n\equiv3\mod4$の場合です。奇関数の部分の係数が$0$になってきれいに偶関数になっていますね
$$\int_{0}^{\infty}t^k\cos\left(\frac{t^{n+1}}{n+1}\right)dt=(n+1)^{\frac{k+1}{n+1}-1}\cos\left(\frac{k+1}{n+1}\frac{\pi}{2}\right)\Gamma\left(\frac{k+1}{n+1}\right) $$
$$\int_{0}^{\infty}t^k\sin\left(\frac{t^{n+1}}{n+1}\right)dt=(n+1)^{\frac{k+1}{n+1}-1}\sin\left(\frac{k+1}{n+1}\frac{\pi}{2}\right)\Gamma\left(\frac{k+1}{n+1}\right) $$
$$\int_{0}^{\infty}t^ke^{-\frac{x^{n+1}}{n+1}}dt=(n+1)^{\frac{k+1}{n+1}-1}\Gamma\left(\frac{k+1}{n+1}\right) $$
を使えば計算できますね
$\Ai{n,n+2}(x)\,,\Bi{n,n+2}(x)$についても計算しましょう。こちらでは常に$n\equiv0\mod4$です
$$\begin{equation}\begin{split}\Ai{n,n+2}(x)&=\frac{1}{\pi}\frac{(n+2)^{\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1-\frac{1}{n+2})}\int_{0}^{\infty}\j{n+2}{A}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}t)dt\j{n,n+2}{A}(x)\\&\quad-\frac{1}{\pi}\frac{(n+2)^{\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1-\frac{1}{n+2})}\int_{0}^{\infty}t^2\j{n+2}{A}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}t)dt\j{n,n+1}{C}(x)\\
&\quad+\frac{1}{\pi}\frac{(n+2)^{\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1-\frac{1}{n+2})}\int_{0}^{\infty}t^4\j{n+2}{A}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}t)dt\j{n,n+1}{E}(x)\\&\quad-\frac{1}{\pi}\frac{(n+2)^{\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1-\frac{1}{n+2})}\int_{0}^{\infty}t^6\j{n+2}{A}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}t)dt\j{n,n+1}{G}(x)\\&\quad+...\end{split}\end{equation}$$
こちらも偶関数になっていますね
$\Ai{n,n+2}(x)\,,\Bi{n,n+2}(x)$についても計算しましょう。こちらでは常に$n\equiv0\mod4$です
$$\begin{equation}\begin{split}\Bi{n,n+2}(x)&=\frac{e^{-\frac{\pi i}{n+2}}}{\pi}\frac{(n+2)^{-\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1+\frac{1}{n+2})}\int_{0}^{\infty}t\j{n+2}{B}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}t)dt\j{n,n+2}{B}(x)\\&\quad-\frac{e^{-\frac{\pi i}{n+2}}}{\pi}\frac{(n+2)^{-\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1+\frac{1}{n+2})}\int_{0}^{\infty}t^3\j{n+2}{B}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}t)dt\j{n,n+1}{D}(x)\\
&\quad+\frac{e^{-\frac{\pi i}{n+2}}}{\pi}\frac{(n+2)^{-\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1+\frac{1}{n+2})}\int_{0}^{\infty}t^5\j{n+2}{B}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}t)dt\j{n,n+1}{F}(x)\\&\quad-\frac{e^{-\frac{\pi i}{n+2}}}{\pi}\frac{(n+2)^{-\frac{1}{n+2}}}{\Gamma(1+\frac{1}{n+2})}\int_{0}^{\infty}t^7\j{n+2}{B}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}t)dt\j{n,n+1}{H}(x)\\&\quad+...\end{split}\end{equation}$$
こちらは奇関数になっています。係数の積分は一般Airy関数のMellin変換を使って計算でき、このようになります
$$\int_{0}^{\infty}t^k\j{n+2}{A}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}t)dt=\frac{(n+2)^{\frac{2k+2}{n+2}-1}}{\pi}\sin\left(\frac{k+2}{n+2}\pi\right)\Gamma\left(\frac{k+1}{n+2}\right)\Gamma\left(\frac{k+2}{n+2}\right)\Gamma\left(1-\frac{1}{n+2}\right)$$
$$\int_{0}^{\infty}t^k\j{n+2}{B}(e^{\frac{\pi i}{n+2}}t)dt=e^{\frac{\pi i}{n+2}}\frac{(n+2)^{\frac{2k+4}{n+2}-1}}{\pi}\sin\left(\frac{k+1}{n+2}\pi\right)\Gamma\left(\frac{k+1}{n+2}\right)\Gamma\left(\frac{k+2}{n+2}\right)\Gamma\left(1+\frac{1}{n+2}\right)$$
グラフを見てみると同時に、いくつかの関数に注目してみましょう
&&&ex $\Ai{3,4}(x)\,,\Bi{3,4}(x)$
$\Bi{3,4}(x)$なんて定義しなかったじゃないかと思うかもしれませんがここで定義するので安心してください
$\Ai{3,4}(x)$の定義で虚軸の代わりに実軸を積分路に取りましょう
使う関数も$\dfrac{1}{2\pi i}e^{-\frac{x^4}{4}}$ではなく$\dfrac{1}{2\pi}e^{-\frac{x^4}{4}}$にします。積分は次のようになります
$$\frac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^\infty e^{-sx-\frac{x^4}{4}}dx$$
$s$を$x$に置き換えてこれを$\Bi{3,4}(x)$とします。$\Ai{3,4}(x)$が
$$\Ai{3,4}(x)=\frac{1}{2\Gamma(3/4)}\j{3,4}{A}(x)-\frac{1}{\Gamma(1/4)}\j{3,4}{C}(x)$$
と展開されるのに対して、$\Bi{3,4}(x)$は
$$\Bi{3,4}(x)=\frac{1}{2\Gamma(3/4)}\j{3,4}{A}(x)+\frac{1}{\Gamma(1/4)}\j{3,4}{C}(x)$$
となります。一般Airy関数の時と同じような関係が成り立っていますね
![$\Ai{3,4}(x)\,,\Bi{3,4}(x)$のグラフ](/uploads/mathdown/em0Dn5ansQec1b3umdxR.png)
いいグラフですね、扱いやすそうです。$\Ai{3,4}(ix)=\Bi{3,4}(x)$となっていることもわかりますね
$\Ai{3,4}(x)$の積分も求めてみましょう
$$\begin{align}\int_{0}^{\infty}\Ai{3,4}(x)dx&=\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}\!\int_{0}^{\infty}e^{-\frac{t^{4}}{4}}\cos(xt)dtdx\\
&=\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}\left(\left[e^{-\frac{t^{4}}{4}}\frac{\sin(xt)}{x}\right]_{0}^{\infty}+\int_{0}^{\infty}t^3e^{-\frac{t^{4}}{4}}\frac{\sin(xt)}{x}dt\right)dx\\
&=\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}\!t^3e^{-\frac{t^{4}}{4}}\int_{0}^{\infty}\frac{\sin(xt)}{x}dxdt\\
&=\frac{1}{2}\int_{0}^{\infty}\!t^3e^{-\frac{t^{4}}{4}}dt\\
&=\frac{1}{2}\end{align}$$
$\Ai{3,4}(x)$は偶関数なので全区間で積分すると$1$になります。まさにAiry関数の一般化と言えますね
同じ方法でMellin変換を求めることもできて、こうなります
$$\int_{0}^{\infty}x^{s-1}\Ai{3,4}(x)dx=\frac{2^{3s/2}}{8\pi\sqrt{\pi}}\sin\left(\frac{s+1}{4}\pi\right)\Gamma\left(\frac{s}{4}\right)\Gamma\left(\frac{s+1}{4}\right)\Gamma\left(\frac{s+2}{4}\right)$$
になります。一般Airy関数のMellin変換と見比べてみましょうか。一般Airy関数のときは
$$\int_{0}^{\infty}x^{s-1}\Ai{v}(x)dx=\frac{v^{\frac{2s+1}{v}-1}}{\pi}\sin\left(\frac{\pi}{v}\right)\Gamma\left(\frac{s}{v}\right)\Gamma\left(\frac{s+1}{v}\right)$$
$$\int_{0}^{\infty}x^{s-1}\Ai{v}(-x)dx=\frac{v^{\frac{2s+1}{v}-1}}{\pi}\left(\sin\left(\frac{s+1}{v}\pi\right)+\sin\left(\frac{s\pi}{v}\right)\right)\Gamma\left(\frac{s}{v}\right)\Gamma\left(\frac{s+1}{v}\right)$$
という形でした。連続する有理数のガンマ関数の数が変わっていますね。これもさらに一般化できそうです
もう一つ、両側ラプラス変換を見てみましょう。これはこれまでの議論を使えば
$$\int_{-\infty}^{\infty}e^{-sx}\Ai{3,4}(x)dx=e^{-\frac{s^4}{4}}$$
になることがわかります。これもまたAiry関数をそのまま一般化したみたいですね!
$\Ai{3,4}(x)$は一般Airy関数を除くと最もよくわかっている関数です
&&&
&&&ex $\Ai{4,5}(x)$
この場合はさっきほど扱いやすくはありません。まずは級数表示を求めてみます
$$\begin{split}\Ai{4,5}(x)&=\frac{5^{1/5}}{5\pi}\cos\left(\frac{\pi}{10}\right)\Gamma\left(\frac{1}{5}\right)\j{4,5}{A}(x)+\frac{5^{2/5}}{5\pi}\sin\left(\frac{2\pi}{10}\right)\Gamma\left(\frac{2}{5}\right)\j{4,5}{B}(x)\\
&-\frac{5^{3/5}}{5\pi}\cos\left(\frac{3\pi}{10}\right)\Gamma\left(\frac{3}{5}\right)\j{4,5}{C}(x)-\frac{5^{4/5}}{5\pi}\sin\left(\frac{4\pi}{10}\right)\Gamma\left(\frac{4}{5}\right)\j{4,5}{D}(x)\end{split}$$
計算量が多いですね...係数もさっきほどまとまっていません。仕方ないので頑張ってグラフを描画してみます
![$\Ai{4,5}(x)$のグラフ](/uploads/mathdown/ZZjncBSstNNZQ0Lj5vAv.jpg)
いくらなんでも描画範囲が狭くてなんにもわかんないのでgeogebraを使った簡易的なグラフも表示しています
結論付けられるほどグラフが見えていないですが、おそらく実軸上にしか零点がないと思われます
これは$\Ai{n,n+1}(x)$タイプに共通する性質のようです
$$\int_{-\infty}^{\infty}\Ai{4,5}(x)dx=1\,,\int_{0}^{\infty}\Ai{4,5}(x)dx=\frac{2}{5}\,,\int_{-\infty}^{0}\Ai{4,5}(x)dx=\frac{3}{5}$$
が”予想”されます(証明に挑戦したい人は参考文献にある九州大学のpdfの21p~24pを参考にしてください)
一番最初の$\Bi{}(x)$の定義を思い出すとこうでしたね
$$\Bi{}(x)=\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}e^{-\frac{t^3}{3}+xt}+\sin\left(\frac{t^3}{3}+xt\right)dt$$
これにならって、$\Bi{4,5}(x)$を次のように定義しましょう
$$\Bi{4,5}(x)=\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}e^{-\frac{t^5}{5}-xt}+\sin\left(\frac{t^5}{5}-xt\right)dt$$
これも解になっていますね。合わせてグラフを描画してみます![赤:$\Ai{4,5}(x)$ 青:$\Bi{4,5}(x)$](/uploads/mathdown/Kwy15uTjLG5VrGfakvgn.png)
$\Bi{}(x)$のようにおなじ振幅を持っているように見えますね
&&&
&&&conj $\Ai{n,n+1}(x)$タイプに共通する性質
$$\int_{-\infty}^{\infty}\Ai{n,n+1}(x)=1$$
予想、というよりこうなっていてほしいという感じですね。$n=2\,,n=3$では前に見た通り成り立っています
これの亜種として、
$$\int_{0}^{\infty}\Ai{n,n+1}(x)dx=\frac{1}{2}\left(1-\frac{1}{n+1}\right)\,,\:\int_{-\infty}^{\infty}\Ai{n,n+1}(x)dx=\frac{1}{2}\left(1+\frac{1}{n+1}\right)\,,\:(n\in2\mathbb{N})$$
も予想されます。$n\in 2\mathbb{N}+1\,,n\equiv3\mod4$のときは偶関数なので、片側の積分は$1/2$になります
ほかにも、
$$\Bi{n,n+1}(x)=\frac{1}{\pi}\int_{0}^{\infty}e^{-\frac{t^{n+1}}{n+1}\pm xt}+\sin\left(\frac{t^{n+1}}{n+1}\pm xt\right)dt\,,(n\in2\mathbb{N},\pm はn\equiv2なら+,n\equiv0なら-)$$
と定義することで常に同じ振幅を持つ解ができるか、などが考えられる
参考までに、geogebraで描画した大雑把なグラフを載せておく。
近似の精度が微妙で何か変なところがあるかもしれない。
![$\Ai{n,n+1}(x)$のおおまかな見た目](/uploads/mathdown/xdYvh3Svb8drCsFin3u1.png)
これらの関数について理解を深めることが今後の課題になってくる
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&&&ex $\Ai{4,6}(x)\,,\Bi{4,6}(x)$
計算量が現実的な現時点で最後の例です。級数展開は次のようになります
$$\Ai{4,6}(x)=\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}\Gamma(5/6)\Gamma(4/6)}\j{4,6}{A}(x)-\frac{6^{1/6}}{\Gamma(3/6)\Gamma(2/6)}\j{4,6}{C}(x)$$
$$\Ai{4,6}(x)=\frac{1}{\sqrt{6}\Gamma(4/6)\Gamma(3/6)}\j{4,6}{B}(x)-\frac{2\cdot 6^{1/6}}{\Gamma(2/6)\Gamma(1/6)}\j{4,6}{D}(x)$$
グラフはこうなります。ほとんど何も見えませんけどね...
![$\Ai{4,6}(x)\,,\Bi{4,6}(x)$](/uploads/mathdown/wRqjnlhygbTlCEUfHWXb.png)
偶関数と奇関数の数値的に満足な解があるのはいいですね
Mellin変換も比較的簡単に求まります
$$\int_{0}^{\infty}\!x^{s-1}\Ai{4,6}(x)dx=\frac{6^{2s/3}}{24\pi^2\sqrt{2\pi}}\left(2\cos\left(\frac{s-1}{3}\pi\right)+1\right)\Gamma\left(\frac{s}{6}\right)\Gamma\left(\frac{s+1}{6}\right)\Gamma\left(\frac{s+2}{6}\right)\Gamma\left(\frac{s+3}{6}\right) $$
$$\int_{0}^{\infty}\!x^{s-1}\Bi{4,6}(x)dx\!=\!\frac{6^{(2s-1)/3}}{24\pi^2\sqrt{2\pi}}\left(\sqrt{3}\sin\left(\frac{s\pi}{3}\right)-\cos\left(\frac{s\pi}{3}\right)+1\right)\Gamma\!\left(\frac{s}{6}\right)\Gamma\!\left(\frac{s+1}{6}\right)\Gamma\!\left(\frac{s+2}{6}\right)\Gamma\!\left(\frac{s+3}{6}\right) $$
やはり隣り合う有理数のガンマ関数が一つ増えていますね。これはおそらく一般に成り立つ性質なんでしょう
$s=1$とすれば次の積分が得られます。一般Airy関数の時のように有理数にはなりません
$$\int_{0}^{\infty}\Ai{4,6}(x)dx=\frac{6^{1/6}}{4\pi}\Gamma\left(\frac{1}{6}\right) $$
$$\int_{0}^{\infty}\Bi{4,6}(x)dx=\frac{6^{-1/6}}{6\pi}\Gamma\left(\frac{1}{6}\right) $$
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# 今後の課題:多方向からのアプローチ
&&& 群論っぽいこと
2回疑似双対を取る操作を$\dagger+\dagger=2\dagger$、3回疑似双対を取る操作を$2\dagger+\dagger=3\dagger$という風に演算を考えます
疑似双対を取る操作の群$G^\dagger$は$\mathbb{Z}/4\mathbb{Z}$と同型になります
$G^\dagger=(\{\mathrm{id},\dagger,2\dagger,3\dagger\},+)$となり、$4\dagger=\mathrm{id}\,,-\dagger=3\dagger$などが成り立ちます
群論の知識はほとんどないのですが、疑似双対を取る操作は$G^\dagger$の$\A{}$への作用になっている気がします
群論の視点からなにかわかるかもしれませんね
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&&& 線形代数で扱えるかも
広義両側ラプラス変換はこういう写像だととらえられますね
\begin{array}{rccc} \mathcal{B}_C\colon &\sol\A{n,m} &\longrightarrow& \sol\A{n,m}^{\dagger} \\\ & a(x) & \longmapsto &\mathcal{B}_C\big[a(x)\big](s) \end{array}
$\sol\A{n,m}\,,\sol\A{n,m}^{\dagger}$が共に線形空間であることと広義両側ラプラス変換の線形性より、これは線形写像です
$\sol\A{n,m}はn$次元なので、$\Im\mathcal{B}_C$は高々$n$次元です。しかし$\sol\A{n,m}^{\dagger}$は$m$次元でしたね
$n< m$のときは全ての解を表せていないことになってしまいます
また、$\pm\infty$への極限が$0$になるような関数の全体は部分空間になっていますね
広義両側ラプラス変換を行列で表現したり、線形代数を使ったアプローチも試していきたいですね
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&&& 効率のいいグラフ描画のアルゴリズム
現在のプログラムでは絶対値が大きい範囲でグラフが描画しきれていません
理解を深めるためにもっと効率のいいプログラムを見つけたいですね
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&&& 漸近展開
Airy関数たちの大まかな挙動を知るために、漸近展開を考えたいですね
現時点では何も見つけられていないので今後挑戦したいところです
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&&& 分数階微分に拡張
分数階微分に拡張して同様の議論を展開したいですね
この記事で使ったラプラス変換の性質は分数階微分でも成り立つようなので面白い結果が得られる可能性は十分あります
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&&& 積分超一般Airy関数、超一般Airyゼータ関数を考える
積分Airy関数やAiryゼータ関数の一般化としてこれらを考えたいですが、そのためにはもっと超一般Airy関数について知らないといけませんね...
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# 最後に
初めての記事で読みずらい場所も多かったかと思います
少しでもAiry関数に興味を持っていただけたならうれしいです
今後なにかわかったらまた記事にするかもしれません
# 参考文献
http://dyna.geo.kyushu-u.ac.jp/~yoshida/japanese/science-notes/Airy/airy.pdf
https://en.wikipedia.org/wiki/Airy_function
https://dlmf.nist.gov/9