0

中2の図形証明を超限帰納法を使って証明した

31
0
$$\newcommand{abs}[1]{\lvert{#1}\rvert} \newcommand{Ker}[0]{\operatorname{Ker}} \newcommand{Max}[0]{\operatorname{Max}} \newcommand{Spec}[0]{\operatorname{Spec}} $$

問題

平行四辺形$\mathrm{ABCD}$の対角線$\mathrm{BD}$上に点$\mathrm{E}, \mathrm{F}$$\abs{\mathrm{BE}} =\abs{\mathrm{DF}}$となるようにとる. このとき, $\abs{\mathrm{AE}} = \abs{\mathrm{CF}}$であることを証明せよ.

基本的な図形の問題です.

模範解答

$\triangle\mathrm{ABE}$$\triangle\mathrm{CBF}$について, 仮定より,
\begin{gather} \abs{\mathrm{BE}} = \abs{\mathrm{DF}} \text{.} \tag{1} \end{gather}
平行四辺形の対辺は等しいから,
\begin{equation} \abs{\mathrm{AB}} = \abs{\mathrm{CD}}\text{.}\tag{2} \end{equation}
平行線の錯角は等しいから,
\begin{equation} \abs{\angle\mathrm{BAE}} = \abs{\angle\mathrm{DCF}}\text{.}\tag{3} \end{equation}
(1), (2), (3)より, 2組の辺と1つの角がそれぞれ等しいから,
\begin{equation} \triangle\mathrm{ABE} \equiv \triangle\mathrm{CBF}\text{.} \end{equation}
対応する辺だから
\begin{equation} \abs{\mathrm{AE}} = \abs{\mathrm{CF}}\text{.} \end{equation}

超限帰納法を使った証明

超限帰納法とは

$(S, \le)$を整列集合(最小元をもつ全順序集合)とし, 以下単に$S$と表します. このとき, $S$の部分集合$T$に対し, 次が成り立ちます.

$T$が次の条件を満たすならば$T = S$である:
(1) $\min{S} \in T$.
(2) 任意の$x \in S$に対し$S$の元$y < x$$T$に含まれるならば$x \in T$.

このことを使って証明をする方法を超限帰納法とよびます. すなわち, $P(\min{S})$が真であり, $y < x$$P(y)$が真ならば$P(x)$も真となるとき, $S$のすべての元$x$に対し$P(x)$が真となる, というものです.

$S = \mathbb{N}$とします. すると, これは数学的帰納法となることがわかります.

証明の方針

方針というほどのものでもないですが, どのように証明するのかを簡単に説明します.

$S = \mathbb{R}_{\ge 0} = \set{x \in \mathbb{R} \mid x \ge 0}$は整列集合になります. よって$\min{S}$を含む部分集合$\set{x \in S \mid 0 \le x \le \abs{\mathrm{BD}}}$も整列集合となります. ですから, $a = \abs{\mathrm{BE}} = \abs{\mathrm{DF}}$に関する超限帰納法で証明すればよさそうです. 実際に証明してみましょう.

証明

図を実際にかいてみるとよいです.

$a = \abs{\mathrm{BE}} = \abs{\mathrm{DF}}$に関する超限帰納法. $a = 0$のときは$\abs{\mathrm{AE}} = \abs{\mathrm{AB}} = \abs{\mathrm{CD}} = \abs{\mathrm{CF}}$である. $0 < a < \abs{\mathrm{BD}}$とし, $\abs{\mathrm{BE}} < a$のときは$\abs{\mathrm{AE}} = \abs{\mathrm{CF}}$となると仮定する. 正の実数$b$$0 < b < a, b < \abs{\mathrm{BF}}$となるようにとり, 対角線$\mathrm{BD}$上に点$\mathrm{E', F'}$$\abs{\mathrm{BE'}} = \abs{\mathrm{DF'}} = b$となるようにとる. すると超限帰納法の仮定より$\abs{\mathrm{AE'}} = \abs{\mathrm{CF'}}$であり, したがって四角形$\mathrm{AE'CF'}$が平行四辺形であることは容易に確かめられる. $\abs{\mathrm{EE'}} = \abs{\mathrm{FF'}} = a - b < a$だから超限帰納法の仮定により$\abs{\mathrm{AE}} = \abs{\mathrm{CF}}$である.

投稿日:127
更新日:127

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

記事などに誤りなどがありましたら, 優しく教えていただけると嬉しいです.

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中