お久しぶりです。翠です。twitterで名前を変えすぎたせいで多分忘れられてます。今回はタイトルにある通り、数学用語の解説です。意外ととっつきやすいけど実際はどういうものか知らない、というものが世の中には蔓延り散らかしているのでそれを収集させたくて書きました。他の下書きは書け次第、投稿します。線形代数で詰まりやすいところ、複素関数、大学数学知識0のベクトル解析とか。
考えてみたけど思ったよりないっぽいですね。単に思いつかないだけかも。
今回解説するものは、説明が省かれがちなもののみです。パラドックスは書かないと思います。いつか別の記事でやるかも。
結論から言うと、素数じゃないです。
フランスの代数幾何学者であるグロタンディーク(Grothendeick)が学生から素数の具体例を求められたときに、誤って57という例を挙げてしまったことに由来しています。
$1+2+3+...=-\frac{1}{12}$
この式を見たことはありませんか?
本来この式は成立しないんですが、ある手法を使うことで「成り立つと言ってもいいかもな〜」ぐらいの気持ちになると思います。
その前に、これを理解するためにはゼータ関数というものをわかっている必要があるので重要な部分だけさらっと解説します。
ゼータ関数というものを以下のように定義します。
$ζ(s):= \sum_{n=0}^\infty \frac{1}{n^s} =\frac{1}{1^s}+\frac{1}{2^s}+\frac{1}{3^s}+...$
$ζ$はゼータ、$Σ$はシグマと読みます。基本的には$1\leq s$で考えます。
で、この式に強引に$s=-1$を代入すると$ζ(s)=-\frac{1}{12}$という式が得られます。級数の中身に$s$を代入すると自然数の無限和になるので、
$1+2+3+...=-\frac{1}{12}$という不思議な結果が得られます。
(「定義域外の値を代入する」という操作をする行為を解析接続といいます。)これができるような条件は今回と関係ないので割愛します
ある条件のもとでは同じと言えます。その条件とは位相空間であるというものです。じゃあその「位相空間ってなんだ?」って話なんですが、以下に続きます。
まず位相幾何学とは「穴の数で図形を分類する幾何学」です。(すごい簡単にいうとっていう話です。定義はネットに嫌と言うほど転がってるので自分で調べてください。)そのなかで定義される空間を位相空間といいます。補足ですが、我々が生きてる世界はユークリッド空間といいます。
じゃあ位相空間で同じものって何があるの?という話をします。例えば、輪ゴムで作った三角形を考えます。これは、四角形や円形に形を変えられます。こういうものを位相空間では同相といいます。要約すると「穴の数が同じだから同相といえるよね」ってことです。
本題に入ります。ドーナツとマグカップは同相という話なんですが、もちろんドーナツの穴は一つですよね。マグカップに穴といえるものは取っ手の部分のみで一つです。つまり、位相空間においてマグカップは穴が一つのものに形を変えることができるのでドーナツとマグカップは同相と言えます。
位相空間とユークリッド空間は全くの別物です。なので我々が生きる空間ではもちろんドーナツとマグカップは違います。ここをちゃんと区別できていない人がそこそこ見受けられます。気をつけましょう。
5以上の素数は6の倍数の隣に存在します。「本当かよ」って思った方。僕と同じですね。
全ての自然数は$6n-5,6n-4.6n-3,6n-2,6n-1,6n$という形で全て表せます。
$6n-4,6n-3,6n-2$は共通因数で括ることができるので素数じゃないことがわかります。
つまり,素数になる候補は$6n-5,6n-1$のみということがわかりますね。
問題はここからです。任意の自然数nで成立するわけではないということです。先ほど「候補」と書いた理由はそこに詰まっています。例えば25とか35,49とかがそうですね。
$25=5^2=6*4+1$
$35=5*7=6^2-1$
$49=7^2=6*8+1$
みたいな感じで、今挙げた数字はもちろん素数でないんですよね。「5以上の任意の素数は6の倍数の隣にのみ存在する」なら言えると思うんですけど、「$6n-1,6n+1$は必ず素数」と言ってしまうと、反例が存在してしまうので、命題は否定されてしまいます。規則性があるといえばあるんですが、完全に規則的でないのです。
これをいきなり言われて困惑した人、多いと思います。その理由をそこそこ詳しく説明してみます。これを示すためにいろんな手法があるらしいですが、今回はガンマ関数を利用して示します。
まずはガンマ関数の定義から。
$Γ(x):= \int_{0}^{∞} t^{x-1}e^{-t}dt$
また、以下のような性質が成り立ちます
$Γ(n+1)=n!$
定義と性質から$Γ(1)$を求めると$0!=1$を示すことが出来ます。(部分積分を用います。)
トポロジー 説明が難しいですね。深いところまで行くと自分でもわかっていない部分が結構あるのでどこまで踏み込むか迷いました。久々に解析接続とかいう文字列打ったし。
数学って意外と不思議なことが多いんですよね。(勝手に定義域無視したり無限大に発散するものを定数で置いたり、やっちゃいけないこと結構やるからなんですけどね。)それを説明無しだと信じてしまう人が多いのも頷けます。youtubeとかだと再生数を気にするが故に説明を省きすぎるとか結構あります。そういうものに出会ったときは一回自分で調べるのをおすすめします。そっちのほうが勉強になるし、余談を書いてくれてるところがあったりするので。ただし、やるときはいろんなサイトを見ましょう。間違ってるものが書いてある可能性もあります。大学が出してるpdfとか教科書とかもオススメです。
というわけで今回は用語の解説をしました。次の記事はいつだろうね。それではまたいつか。