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正規化によって得られた発散級数の関係式

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目次

・準備
・はじめに
・内容
・おまけ
・最後に

はじめに

どうも、色数です。
今回は最近僕がEurekaした多重ゼータ関数の正規化によって得られる交代多重ゼータスター関数との関係式を紹介します。
関係式と言ってもweightは保たれていないのであまり面白くはないのかもしれません。

また今回の議論ではいくつかかなり怪しい操作をいくつか挟んでいるので(後ほどわかるが得られた結果は正しい)どうにか正当化できた方がいたら僕にこっそり教えてください。

準備

発散する準備をしてください。

ここではAbel正規化により得られた値$s$には$s\;(A)$と書く。
同様にDirichlet正規化により得られた値$z$には$z\;(D)$と書く。

内容

Dirichlet正規化

$\displaystyle \sum_{n=1}^\infty n^2=0 \;(D)$

\begin{align} \sum_{n=1}^\infty n^2&=\lim_{s\to 0}\left(\sum_{n=1}^\infty\frac{n^2}{n^s}\right)\\&=\zeta(-2)\\&=0 \end{align}

イータ関数の特殊値

$\displaystyle \sum_{n=1}^\infty(-1)^{n-1}n=\frac{1}{4}\;(A)$

\begin{align} \sum_{n=1}^\infty(-1)^{n-1}n&= \lim_{x\to1^-}\left(\sum_{n=0}^\infty (-1)^n(n+1)x^n\right)\\&=\lim_{x\to1^-}\left(\frac{1}{(1+x)^2}\right)\\&=\frac{1}{4} \end{align}

僕が最初に思いついた方法は次のようなものです。
やり方はエレファントですが途中の積分表示は関係式を示すのに使えます。

$\displaystyle \int_0^1\frac{x}{1+(xt)}dt$を考える
$\displaystyle \int_0^1\frac{x}{1+(xt)}dt=\sum_{n=0}^\infty(-1)^n\frac{x^{n+1}}{n+1}$
$\displaystyle \frac{d^2}{dx^2}\sum_{n=0}^\infty(-1)^n\frac{x^{n+1}}{n+1}=\sum_{n=0}^\infty n(-1)^nx^n$
$\displaystyle \frac{d^2}{dx^2} \int_0^1\frac{x}{1+(xt)}dt=-\int_0^1\frac{2t}{(1+xt)^3}dt$
$x=1$とすれば$\displaystyle \sum_{n=1}^\infty n(-1)^{n+1}=\frac{1}{4}$を得る

以上を用いて今回得たのは下のような関係式です。

$\displaystyle -6\zeta(\overline{-1,-1})=\zeta^\star(-1,\overline{-1})+2\zeta^\star(-1,\overline0)$

関係式の証明

$\displaystyle \zeta(\overline{-1})^2$を考える
調和積とDirichlet正規化より
\begin{align} \zeta(\overline{-1})^2&=\left(\sum_{n=1}^\infty(-1)^nn\right)^2\\&=\sum_{n=1}^\infty n^2+2\sum_{0< n_1< n_2}(-1)^{n_1+n_2}n_1n_2\\&=\zeta(-2)+2\zeta(\overline{-1},\overline{-1})\\&=2\zeta(\overline{-1},\overline{-1}) \end{align}
$\displaystyle \int_0^1\frac{2t}{(1+t)^3}dt=\eta(-1)$だった
シャッフル積より
\begin{align} \left(\int_0^1\frac{2t}{(1+t)^3}dt\right)^2&=8\int_{0< t_1< t_2<1}\frac{t_1t_2}{(1+t_1)^3(1+t_2)^3}dt_1dt_2\\&=\frac{1}{6}\sum_{n=0}^\infty(-1)^n(n+1)(n+2)(n+3)\\&=-\frac{1}{3}\sum_{n=1}^\infty(-1)^nn(n+1)(n+2)\\&=-\frac{1}{3}\sum_{n=1}^\infty(-1)^n\left(\sum_{k=1}^nk\right)(n+2)\\&=-\frac{1}{3}\sum_{0< n_1\le n_2}(-1)^{n_2}n_1n_2-\frac{2}{3}\sum_{0< n_1\le n_2}(-1)^{n_2}n_1\\&=-\frac{1}{3}\zeta^\star(-1,\overline{-1})-\frac{2}{3}\zeta^\star(-1,\overline{0}) \end{align}
よって、示せた

実際にこの関係式が成り立っていることがAbel正規化により確認できます。(wolfより)

また本筋とは少しずれますが次のような面白い定理が示されているようです。

松本の問題

多重ゼータ関数の関係式は正の整数点においてのみ成り立つ

おまけ

発散級数を用いることで級数の関係式を示すことができたりも示せます。
ここでは最近僕が見つけたものを紹介します。

$\displaystyle \frac{1}{(m+1)^2}=\sum_{n=1}^\infty\frac{1}{n}\frac{n!m!}{(n+m+1)!}$

これはコネクターの特殊な場合となっていますね。

\begin{align} \left(\int_0^1\frac{dt}{1-t}\right)\left(\int_0^1(1-t)^mdt\right)&=\frac{1}{m+1}\sum_{n=1}^\infty\frac{1}{n}…(1)\\&=\int_0^1(1-t_2)^mdt_2\int_0^{t_2}\frac{dt_1}{1-t_1}+\int_0^1\frac{dt_2}{1-t_2}\int_0^{t_2}(1-t_2)^mdt_2\\&=\sum_{n=1}^\infty\frac{1}{n}\frac{n!m!}{(n+m+1)!}+\frac{1}{m+1}\sum_{n=1}^\infty\frac{1}{n}-\frac{1}{(m+1)^2}…(2) \end{align}
(1)=(2)より得る

ちなみにこれらの発想自体は$\zeta(3)=\zeta(1,2)$の別証明から得ました。

最後に

この結果、結構面白くないですか?
計算してみると類似の関係式がその他のゼータにおいても成り立っているようです。
予想なのですが任意の交代多重ゼータ関数は交代多重ゼータスター関数の線形結合で表せるんじゃないかと思っています。…多分
やっぱり正規化した世界は面白いですね。

投稿日:521
更新日:521

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