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大学数学基礎解説
文献あり

Handbook of Set Theory 16. Prikry-Type Forcing 個人的まとめ1

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$$\newcommand{ad}[0]{\raise{2.5pt}{\smallfrown}} \newcommand{lev}[0]{\text{Lev}} \newcommand{on}[0]{\text{On}} \newcommand{rst}[0]{\hspace{-2pt}\upharpoonright\hspace{-2pt}} \newcommand{suc}[0]{\text{Suc}} $$

はじめに

 内容はタイトルにある通りです. 随時Handbook of Set Theory 16. Prikry-Type Forcing を参照してください(参照箇所はその都度書くと思います). このpartを読むために必要な知識は持っているものとします: 強制法, いくつかの巨大基数の定義と諸性質, etc. 該当するsectionで修正すべきだと思った定義の修正及び本に書かれた命題の別証明、行間埋めなどをメモがてらここに書きます. ほとんど自力でやっているので間違っている可能性があります. 間違っているもしくは筋が悪いなど何かあればコメント下さい.

 関連するのでhstの名前を書いていますが今回hstに書かれた内容は定義以外全く出てきません。後で述べる主張だけ知っていれば今後のまとめ内容を理解するのに支障はないと思います。 


有限次元フィルターの定義

 ここでは準備として, Prikry condition の背理法による証明の修正のために必要な概念を定義, その諸性質を証明する. 方針としては, 1.2. Tree Prikry Forcing で1.22の後に言及されていたRamsey treeの概念を実際に定義する: if $T$ is a $U$-tree and $f:T\to\lambda<\kappa$, then there is an $U$-tree $S\subseteq T$ such that $f\rst\lev_n(S)$ is constant for each $n<\omega$. $U$-tree の定義は1.14を各自参照されたい.

 $U$-tree におけるRamsey propertyを証明するためにこれにあった$\kappa^n$上の超フィルターを定義する. $U$-tree の定義にある$\suc_T(\eta)\in U$という条件に沿って定義することで, 各$n<\omega$$\lev_n(T)$が超フィルターの要素になる:

$F$$A$上のフィルターとして, $F_n\ (n<\omega)$を以下のように定義する: $n=0$のとき$F_0=\{\{\emptyset\}\}$. 以下再帰的に
\begin{align*} X\in F_{n+1}\Leftrightarrow X\subseteq A^{n+1}\land\{s\in A^n:\{a\in A:s\ad a\in X\}\in F\}\in F_n. \end{align*}
によって定義する$(\text{ただし}s\ad a=(s_0,\ldots,s_{n-1},a))$.

上と同様にして,
$s\in A^n,t\in A^m$に対して$s\ad t\in A^{n+m}$$s\ad t=(s_0,\ldots,s_{n-1},t_0,\ldots,t_{m-1})$で定める.

$n<\omega$とする.
(1) $F$$A$上のフィルターとすると, 各$n$について$F_n$$A^n$上のフィルターである.
(2) 基数$\lambda$について$F$$\lambda$完備のとき, $F_n$もそうである.
(3) $F$が超フィルターならば, $F_n$もそうである.

どちらも$n$に関する帰納法による. $n=0$では明らか.
(1)$F_n$がフィルターであると仮定して$F_{n+1}$がフィルターであることを示す.
 $X=A^{n+1}$に対して, $\{s\in A^n:\{a\in A:s\ad a\in X\}\in F\}=A^n\in F_n$だから$A^{n+1}\in F_{n+1}$. $\emptyset$についても定義から$F_{n+1}$に属さないことがわかる.
 $X\in F_{n+1},X\subseteq Y\subseteq A^{n+1}$のとき, 各$s\in A^n$について$\{a\in A:s\ad a\in X\}\in F$ならば$X\subseteq Y$より$\{a\in A:s\ad a\in Y\}\in F$, すなわち
\begin{align*} \{s\in A^n:\{a\in A:s\ad a\in X\}\in F\}\subseteq\{s\in A^n:\{a\in A:s\ad a\in Y\}\in F\}. \end{align*}
$F_n$がフィルターだから$Y\in F_{n+1}$.
 $X,Y\in F_{n+1}$とする.
\begin{align*} \{s\in A^n:\{a\in A:s\ad a\in X\}\in F\}&\cap\{s\in A^n:\{a\in A:s\ad a\in Y\}\in F\}\\ &~~~~~~~~\subseteq\{s\in A^n:\{a\in A:s\ad a\in X\cap Y\}\in F\} \end{align*}
だから, $F_n$がフィルターであることから$X\cap Y\in F_{n+1}$.

(2)$\lambda$完備性は$F$$\lambda$完備性から, 上で示した二つの要素の共通部分の場合と全く同じように示される.
(3)$F_n$が超フィルターだとして$F_{n+1}$が超フィルターであることを示せばよい. $X\subseteq A^{n+1}$$s\in A^n$について, $F_n$が超フィルターであることから$\{s\in A^n:\{a\in A:s\ad a\in X\}\in F\}$とその補集合のどちらかが$F_n$に入る.
これ自身が$F_n$に属するなら$X\in F_{n+1}$. そうでなければ, $F$が超フィルターであることから補集合は$\{s\in A^n:\{a\in A:s\ad a\in A^{n+1}-X\}\in F\}$に等しいから, $A^{n+1}-X\in F_{n+1}$.

$F_n,F_m(m\le n)$に関して以下のような性質が成り立つ. 3は定義の拡張といえる:

$F$$A$上のフィルターとし, $m\le n<\omega$とする. \
(1) $X\in F_n$について,
\begin{align*} X\rst m=\{s\rst m:s\in X\}\in F_m. \end{align*}
(2) $X\subseteq A^m$について, $X\in F_m$
\begin{align*} \{s\in A^n:s\rst m\in X\}\in F_n \end{align*}
は同値.
(3) $X\in F_n$
\begin{align*} \{s\in A^m:X/s\in F_{n-m}\}\in F_m \end{align*}
は同値. ただし$X/s=\{t\in A^{n-m}:s\ad t\in X\}$.
(4) $Y\in F_m$$X_s\in F_{n-m}(s\in Y)$に対して
\begin{align*} X=\{s\ad t:s\in Y,t\in X_s\}\in F_n. \end{align*}
このとき各$s\in Y$について$X/s=X_s$.

(1)~(3)は$i=n-m$に関する帰納法によって示され, (4)は(3)の系として明らか.
(1) まず, 全ての$m$について$m$$n=m+1$で命題が成り立つことを示す. そうすれば一般の$m$$n\ge m$について命題が成り立つことは, $m\le m'\le n$について$(X/m')/m=X/m$が成り立つことを使うと容易に示される:$X\subseteq A^{m+1}$について
\begin{align*} \{s\in A^m:\{a\in A:s\ad a\in X\}\in F\}&\subseteq\{s\in A^m: \exists a\in A\ s\ad a\in X\}\\ &\subseteq\{s\rst m:s\in X\}. \end{align*}
$X\in F_{m+1}$の定義と$F_m$がフィルターであることから$X\rst m\in F_m$.
(2) $X\in F_m$とする. $n\ge m$で命題が成り立つとき, $n+1$では$F_{n+1}$の定義より
\begin{align*} \{s\in A^{n+1}:s\rst m\in X\}\in F_{n+1}&\Leftrightarrow\{s\in A^n:\{a\in A:(s\ad a)\rst m\in X\}\in F\}\in F_n\\ &\Leftrightarrow\{s\in A^n:s\rst m\in X\}\in F_n. \end{align*} 
帰納法の仮定より$X\in F_{n+1}$.
 逆は$\{s\in A^n:s\rst m\in X\}\rst m=X$を1に適用すればよい.
(3) $i=1$のときは定義から容易にわかる. 以下$n\ge m$で成り立つとき, $n+1$の場合について示す: $X\subseteq A^{n+1}$について, $n,n-m$における$i=1$の場合と帰納法の仮定から
\begin{align*} X\in F_{n+1}&\Leftrightarrow\{s\in A^n:X/s\in F_1\}\in F_n\\ &\Leftrightarrow\{t\in A^m:\{s\in A^n:X/s\in F_1\}/t\in F_{n-m}\}\in F_m\\ &\Leftrightarrow\{t\in A^m:\{u\in A^{n-m}:X/(t\ad u)\in F_1\}\in F_{n-m}\}\in F_m\\ &\Leftrightarrow\{t\in A^m:\{u\in A^{n-m}:(X/t)/u\in F_1\}\in F_{n-m}\}\in F_m\\ &\Leftrightarrow\{t\in A^m:X/t\in F_{n+1-m}\}\in F_m. \end{align*}

Ramsey Treeの存在証明

 以下, $\kappa$を可測基数とし, $U$$\kappa$上の$\kappa$完備非単項超フィルターとする. 補題1(2)によって$U_n$は全て$\kappa^n$上の$\kappa$完備非単項超フィルターである$(n<\omega)$.

$T\subseteq\kappa^{<\omega}$をtreeとする. $s\in T$に対して,

  • $T/s=\{t:s\ad t\in T\}$.
  • $T(s)=\{t:s\le_Tt\lor s\ge_Tt\}$.

$s\in\kappa^{<\omega}$に対して,

  • $s\ad T=\{s\ad t:t\in T\}$.

$U$-treeの定義からいずれも$U$-treeである.

 以下$U$-treeと言ったらtrunkが$\emptyset$であるようなものを考える(空でないtrunk $s$を持つ$U$-treeについては$T/s$を考えよ).
$U$-treeの定義から全ての$n<\omega$$\lev_n(T)\in U_n$. 当然逆は成り立たない: $T\subseteq(\kappa-\{0\})^{<\omega}$$U$-treeのとき, $S=T\cup\{0\}^{<\omega}$は全ての$n$について$\lev_n(S)\in U_n$だが$U$-treeではない. しかしそのようなtreeが必ず$U$-subtreeを含むことはわかる:

$T\subseteq\kappa^{<\omega}$は各$n$について$\lev_n(T)\in U_n$を満たすものとする. このとき, $T$はある$U$-tree$S$を含む.

方針: $U$-treeの定義を満たすように$T$を刈り取ることによって$S$を得る

一般のtree$T$$j\le i<\omega$に対して$T_{i,j}$
\begin{align} T_{i,j}=\begin{dcases} T&j=0,\\ \bigcup\{T(s):s\in\lev_i(T),\suc_T(s)\in U\}&j=1,\tag{$*$}\\ (T_{i,1})_{i-1,j-1}&j>1 \end{dcases} \end{align}
として再帰的に定義する.
 $S=\bigcap_{i<\omega}T_{i,i}$$U$-treeになることを示す. そのために$T_{i,j}$についていくつかの性質が成り立つことを示す:

$j\le i$$k$は全て$\omega$未満とする.

  1. $T_{i,j}\subseteq T$.
  2. $(T_{i+k,k})_{i,j}=T_{i+k,j+k}$.
  3. $T'\subseteq T$ならば, $T'_{i,j}\subseteq T_{i,j}$.
  4. $T_{i+k,j+k}\subseteq T_{i,j}$.
  5. 任意の$t\in\lev_{\ge i}(T_{i,j})$について, $\suc_{T_{i,j}}(t)=\suc_T(t)$.

(1)と(2)は定義から帰納的に示される. (3)は定義より明らか.
(4) (1)~(3)による.
(5) 任意の$i$について, $j=1$の場合は定義から容易に成り立つ. これを使って, 「任意の$T$と全ての$j\le i$について命題が成り立つ」を$i$に関する帰納法によって示す: $t\in\lev_{\ge i}(T_{i,j})$のとき, $t\in\lev_{\ge i-1}((T_{i,1})_{i-1,j-1})$. $T_{i,1}$における$i-1$の場合を用いて,
\begin{align*} \suc_{T_{i,j}}(t)&=\suc_{(T_{i,1})_{i-1,j-1}}(t)\\ &=\suc_{T_{i,1}}(t)\\ &=\suc_T(t). \end{align*}

$T\subseteq\kappa^{<\omega}$は各$n$について$\lev_n(T)\in U_n$を満たすものとする.
(1) $j\le i<\omega$とする. $T_{i,j}$もまた, 各$n$について$\lev_n(T_{i,j})\in U_n$を満たす.
(2) 各$n<\omega$と任意の$t\in\lev_{\le n}(T_{n,n})$について, $\suc_{T_{n,n}}(t)\in U$.

  1. 全ての$i$について$T_{i,1}$が命題を満たすことさえ示されれば, 後は$T_{i,j}$の定義に従って帰納的に全ての$i,j$の場合も示される.
     $n=i$:$\lev_i(T_{i,1})=\{s\in\lev_i(T):\suc_T(s)\in U\}$. $\lev_{i+1}(T)\in U_{n+1}$より$\lev_i(T_{i,1})\in U_i$.
     $n< i$:$\lev_n(T_{i,1})=\{s\rst n:s\in\lev_i(T_{i,1})\}$. $\lev_i(T_{i,1})$$U_i$に属することはすでに示されたから補題2(1)によって$\lev_n(T_{i,1})\in U_n$.
     $n>i$:仮定の$\lev_n(T)\in U_n$は補題2(3)より$\{s\in\lev_i(T):\lev_n(T)/s\in U_{n-i}\}\in U_i$を導く.
    ここで$\lev_{n}(T)/s=\lev_{n-i}(T/s)$であって, 補題2(1)より$\lev_1(T/s)\in U_1$.
    よって$\suc_{T/s}(\emptyset)=\suc_T(s)\in U$. 以上より
    \begin{align*} \{s\in\lev_i(T):\lev_n(T)/s\in U_{n-i}\}\subseteq\lev_i(T_{i,1}). \end{align*}
    $T_{i,1}$の定義から任意の$s\in\lev_i(T_{i,1})$について$T/s=T_{i,1}/s$がわかるから,
    \begin{align*} \{s\in\lev_i(T_{i,1}):\lev_n(T_{i,1})/s\in U_{n-i}\}=\{s\in\lev_i(T):\lev_n(T)/s\in U_{n-i}\}\in U_i. \end{align*}
    補題2(3)より$\lev_n(T_i,1)\in U_n$.
  2. $n=0$では$T$の仮定より明らか. 以下$n>0$として, 全ての$i\le n$と任意の$t\in\lev_i(T_{n,n})$について$\suc_{T_{n,n}}(t)\in U$を示す.
    $i=0$:(1)より明らか.
    $0< i\le n$: $t\in\lev_i(T_{n,n})$とする. 補題4(2)より$T_{n,n}=(T_{n,n-i+1})_{i-1,i-1}$だから, 同補題(5)より
    \begin{align*} \suc_{T_{n,n}}(t)=\suc_{T_{n,n-i+1}}(t). \end{align*}
    ここで$T_{n,n-i+1}=(T_{n,n-i})_{i,1}$を考える. 補題4(4)によって$t\in(T_{n,n-i})_{i,1}$. $T_{n,n-i}$における$(*)$によって$\suc_{T_{n,n-i+1}}(t)\in U$, i.e. $\suc_{T_{n,n}}(t)\in U$.
定理3の証明に戻る

最初に述べた通り, 定理3の仮定で与えられた$T$について$S=\bigcap_{n<\omega}T_{n,n}$とおく. $n\ge m$のとき, 補題4(4)の$i=j=m,k=n-m$の場合として$T_{n,n}\subseteq T_{m,m}$を得る. 補題5(1)を各$T_{n,n}$に適用して, 特に$S\neq\emptyset$. $S$$U$-tree になることを示す: $t\in S$を任意に取る. $m=\lg(t)$とおくとき, 補題5(2)から全ての$n\ge m$について$\suc_{T_{n,n}}(t)\in U$. $\suc_S(t)=\bigcap_{n<\omega}\suc_{T_{n,n}}(t)$だが, $T_{n,n}$が縮小していくことから任意の$l$について$\suc_S(t)=\bigcap_{l\le n<\omega}\suc_{T_{n,n}}(t)$.$l=m$として, $U$$\kappa$完備性から$\suc_S(t)\in U$.

 余談だが, $T$$U$-treeのときは$T_{i,j}=T$が任意の$i,j$について成り立つことから定理3によって得た$S$$T$と等しい. そこで$T'$$T$の任意の$U$-subtreeとして$S$$T$に定理3を適用して得た$U$-treeとすれば
補題4(3)から$T'\subseteq S$がわかるから, こうして得た$S$$T$に含まれる最大の$U$-subtreeだとわかる.
 これで当初の目的であったRamsey treeの存在が証明できる:

定理3

$T$$U$-tree with trunk $\emptyset$, $f:T\to\gamma<\kappa$とする. このとき$T$$U$-subtree $S$$f$に関するRamsey propertyを持つものが存在する.

$U_n$$\kappa$完備性から全ての$n<\omega$について

  1. $\lev_n(T')\in U_n$,
  2. $f\rst\lev_n(T')$が定値写像
    の二つが満たされるように$T$$T'$に縮小し, これに定理3を適用して$S$を得る.

有限次元超フィルターの正規性

 木の話はここらで終わりにして, この記事の最後に$U_n$の正規性とも呼ぶべき性質を考える. 以下$U$$\kappa$上の正規超フィルターとする.

$n<\omega$について次の命題が成り立つ:
$f:\kappa^n\to\kappa^nは\{s\in \kappa^n:\forall i< n\ f(s)_i< s_i\}\in U_n$を満たすものとする.
このとき, $\{s\in \kappa^n:\forall i< n\ f(s)_i=g_i(s\rst i)\}\in U_n$を満たすような$g_i:\lambda^i\to\lambda\ (i< n)$が存在する.

ここでは超フィルター$U_n$の正規性しか使わないので上の主張の通りそれだけを示す.
$U_n$の正規性は, 4. Down to $\aleph_\omega$のPrikry conditionを示す際$U$-treeの各点に対して与えられるLevy collapseの要素を特定するために用いられる.

$n<\omega$について次の命題が成り立つ:
$f:\kappa^n\to\kappa$$\{s\in\kappa^n:f(s)<\min(s)\}\in U_n$を満たすものとする. このとき$\{s:\kappa^n:f(s)=\gamma\}\in U_n$を満たすような$\gamma<\kappa$が存在する.

 $n$に関する帰納法による. $n=0$では$\kappa^0=\{\emptyset\}$だから, $n=1$では$U$の正規性から, それぞれ明らか. 以下$n>0$とする.
 $n+1$について, $n$で補題が成り立っていることを仮定する. $f:\kappa^{n+1}\to\kappa$$X=\{s\in\kappa^{n+1}:f(s)<\min(s)\}\in U_{n+1}$を満たするものを任意に取る. $U_{n+1}$の定義より, $Y=\{t\in\kappa^n:\{\alpha<\kappa:f(t\ad\alpha)<\min(t\ad\alpha)\}\in U\}\in U_n$.各$t\in Y$に対して$f_t:\alpha\mapsto f(t\ad\alpha)$を考えると, $\{\alpha<\kappa:f_t(\alpha)<\alpha\}\in U$だから$U$の正規性によって$X_t=\{\alpha:f_t(\alpha)=\gamma_t\}\in U$を満たす$\gamma_t<\kappa$が存在する.
このとき, $Y$上の写像$t\mapsto\gamma_t$$f$に関する仮定から$\{t\in Y:\gamma_t<\min(t)\}\in U_n$を満たすから, 帰納法の仮定より$Z=\{t\in Y:\gamma_t=\gamma\}\in U_n$を満たす$\gamma<\kappa$が存在する. $Z\in U_n,X_t\in U(t\in Z)$$U_{n+1}$の定義を適用して,
\begin{align*} \{s\in\kappa^{n+1}:f(s)=\gamma\}\supseteq\{t\ad\alpha:t\in Z,\alpha\in X_t\}\in U_{n+1}. \end{align*}

定理6の証明

 各$n$と仮定を満たす任意の$f:\kappa^n\to\kappa^n$と一つ固定した$i< n$に対して, 条件を満たす$g_i:\kappa^i\to\kappa$が取れれば十分である.
 $X=\{s\in \kappa^n:\forall i< n\ f(s)_i< s_i\}$とする. $Y=\{t\in\kappa^i:X/t\in U_{n-i}\}$と置いたとき, 補題2(3)によって$Y\in U_i$.そこで各$t\in Y$に対して$f_t:\kappa^{n-i}:u\mapsto f(t\ad u)_i$を考えるとき補題7によって$\gamma_t$を得る. そこで$g_i:Y\to\kappa$$t\mapsto\gamma_t$によって定義すれば$Y\in U_i,\{u:\kappa^{n-i}:f_t(u)=g_i(t)\}\in U_{n-i}(t\in Y)$に補題2(4)を適用することによってこの$g_i$が求めるものだとわかる.

ちなみに定理6の主張を「$\{s:f(s)=t\}\in U_n$を満たす$t$の存在」まで強めることはできない:
$f:s\mapsto\langle\max\{s_j+1:j< i\}:i< n\rangle$を考えよ.

参考文献

[1]
Matthew Foreman, Akihiro Kanamori, Handbook of Set Theory, Springer, 2010, 1351-1447
投稿日:24
更新日:224

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