1.はじめに
2.内容
3.最後に
4.おまけ
どうも、色々やる数学徒です。
今回の記事ではフィボナッチ数列の一般項やフィボナッチ数列の一般化についても考えていきます。
随時更新予定です(☻-☻)
$F_{n+2}=F_n+F_{n+1},F_0=0,F_1=1$
具体的な値は以下のとおり
$F_0=0$
$F_1=1 $
$F_2=1 $
$F_3=2 $
$F_4=3 $
$ F_5=5$
$F_6=8 $
$ F_7=13$
$ F_8=21$
$\vdots$
$\displaystyle \sum_{n=0}^{\infty}a_nx^n$の収束半径が$r$のとき$\displaystyle \sum_{n=0}^{\infty}a_nx^n$は$|x|< r$で微分可能で$\displaystyle \frac{d}{dx}\sum_{n=0}^{\infty}a_nx^n=\sum_{n=0}^{\infty}na_nx^{n-1}$という級数になり、この級数の収束半径も$r$となる
$\displaystyle f(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{F_n}{n!}x^n$
このような冪級数を考えていきます。
$f(x)$の収束半径は$\infty$である
$\displaystyle \left|\frac{F_{n+1}n!}{F_n(n+1)!}\right|=\frac{F_{n+1}}{(n+1)F_n}$
$\displaystyle =\frac{F_n+F_{n-1}}{(n+1)F_n}$
$\displaystyle ≦\frac{F_n+F_n}{(n+1)F_n}$
$\displaystyle =\frac{2}{(n+1)}$
$\to0(n\to\infty)$
以上より収束半径が$\infty$であることがわかりましたね。
$\displaystyle \frac{d^k}{dx^k}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{F_n}{n!}x^n=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{F_{n+k}}{n!}x^n$
証明は至って簡単です。(厳密な証明はいらないと思うので$k=1$,一階微分だけ示します)
$\displaystyle \frac{d}{dx}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{F_n}{n!}x^n=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{nF_n}{n!}x^{n-1}$
$\displaystyle =\sum_{n=1}^{\infty}\frac{F_n}{(n-1)!}x^{n-1}$
$\displaystyle =\sum_{n=0}^{\infty}\frac{F_{n+1}}{n!}x^n$
このことからある程度推測できますね。
$\displaystyle F_n=\frac{1}{\sqrt{5}}\left(\left(\frac{1+\sqrt{5}}{2}\right)^n-\left(\frac{1-\sqrt{5}}{2}\right)^n\right)$
漸化式を使ってもいいけどそれじゃありきたりなので微分方程式を使ってエレガントに導いてみる。
$\displaystyle f’’(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{F_{n+2}}{n!}x^n$
$\displaystyle =\sum_{n=0}^{\infty}\frac{F_{n+1}+F_n}{n!}x^n$
$\displaystyle =\sum_{n=0}^{\infty}\frac{F_{n+1}}{n!}x^n+\sum_{n=0}^{\infty}\frac{F_n}{n!}x^n$
$=f(x)+f’(x)$
$y’’-y’-y=0$と考えて微分方程式を解く($y$は$x$に関する関数)
両辺ラプラス変換する。
$\displaystyle (s^2Y-sy(0)-y’(0))-(sY-y(0))-Y=0$
$y(0)=0,y’(0)=1$より
$s^2Y-1-sY-Y=0$
$(s^2-s-1)Y=1$
$\displaystyle Y=\frac{1}{s^2-s-1}$
$\displaystyle =\frac{1}{\left(s-\frac{1+\sqrt{5}}{2}\right)\left(s-\frac{1-\sqrt{5}}{2}\right)}$
$\displaystyle =-\frac{1}{\sqrt{5}\left(s-{\frac{1-\sqrt{5}}{2}}\right)}+\frac{1}{\sqrt{5}\left(s-\frac{1+\sqrt{5}}{2}\right)}$
逆ラプラス変換する
$\displaystyle y=\frac{1}{\sqrt{5}}\left(\exp\left(\frac{1+\sqrt{5}}{2}x\right)-\exp\left(\frac{1-\sqrt{5}}{2}x\right)\right)$
$\displaystyle \sum_{n=0}^{\infty}\frac{F_n}{n!}x^n=\frac{1}{\sqrt{5}}\left(\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{n!}\left(\frac{1+\sqrt{5}}{2}x\right)^n-\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{n!}\left(\frac{1-\sqrt{5}}{2}x\right)^n\right)$
$\displaystyle F_n=\frac{1}{\sqrt{5}}\left(\left(\frac{1+\sqrt{5}}{2}\right)^n-\left(\frac{1-\sqrt{5}}{2}\right)^n\right)$
では一般化を考えてみましょう。
$F_k({n+k})=F_k(n)+\cdots+F_k({n+k-1}),F_k(0)=\cdots=F_k({k-2})=0,F_k({k-1})=1$
この定義を自分で思いついてかなり面白いんじゃないかと思って遊んだものをツイートしたところ既出だったことがわかりました。(嬉しい反面、少し残念でした笑)$apu$さんの記事で紹介されているものによると$k$-ナッチ数列というそうです。($ito$さんに教えてもらった一般化もまた違うものだったと思います。色んな方法があるんですね…感動します)
では、この$k$-ナッチ数列の一般項について少し考えてみましょう。
$\displaystyle F_k(x)=\frac{1}{\textup{det}A}\sum_{l=1}^k\textup{det}A_lλ_l^x$
$A=\begin{pmatrix}
1&1&\cdots&1\\
λ_1&λ_2&\cdots&λ_k\\
\vdots&\vdots&\ddots&\vdots\\
λ_1^{k-1}&λ_2^{k-1}&\cdots&λ_k^{k-1}
\end{pmatrix}$
$A_j=\begin{pmatrix}
1&1&\cdots&1&0&1&\cdots&1\\
λ_1&λ_2&\cdots&λ_{j-1}&0&λ_{j+1}&\cdots&λ_k\\
\vdots&\vdots&\cdots&\vdots&\ddots&\vdots&\cdots&\vdots\\
λ_1^{k-2}&λ_2^{k-2}&\cdots&λ_{j-1}^{k-2}&0&λ_{j+1}^{k-2}&\cdots&λ_k^{k-2}\\
λ_1^{k-1}&λ_2^{k-1}&\cdots&λ_{j-1}^{k-1}&1&λ_{j+1}^{k-1}&\cdots&λ_k^{k-1}
\end{pmatrix}$
$λ^k-λ^{k-1}-\cdots-λ-1=0$の解を$λ_1,…,λ_k$とおく
僕が使ったのは、そうです!クラメルです。
上の$k=2$つまりフィボナッチ数列の場合のように特性方程式を作り定義より得られる初期値をそれぞれ代入していったときでてくる連立一次方程式をクラメルの公式を用いると上のようになります。
自力で導出できたときはまあまあ興奮しましたが、どうやら既出だったようです笑。
上の行列式はファンデルモンドの行列式なのでサラスの公式を使って手計算でもいけそうです。
とりあえず$\displaystyle{\textup{det}A}$がどんな感じに変化していくのか考えてみます。せっかくだし手計算でやってみます。
$k=2$のとき
$\det\begin{pmatrix}1&1\\
\frac{1-\sqrt{5}}{2}&\frac{1+\sqrt{5}}{2}\end{pmatrix}=\sqrt{5}$
ちゃんと定理通りになりますね
$k=3$のとき
$\det\begin{pmatrix}1&1&1\\
\frac{1}{3}\left(1+\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}+\sqrt[3]{19+3\sqrt{33}}\right)&\frac{1}{3}-\frac{1}{6}\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}+i\left(\frac{\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}-\sqrt[3]{19+3\sqrt{33}}}{2\sqrt{3}}\right)&\frac{1}{3}-\frac{1}{6}\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}-i\left(\frac{\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}-\sqrt[3]{19+3\sqrt{33}}}{2\sqrt{3}}\right)\\
\frac{1}{9}\left(1+\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}+\sqrt[3]{19+3\sqrt{33}}\right)^2&\left(\frac{1}{3}-\frac{1}{6}\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}+i\left(\frac{\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}-\sqrt[3]{19+3\sqrt{33}}}{2\sqrt{3}}\right)\right)^2&\left(\frac{1}{3}-\frac{1}{6}\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}-i\left(\frac{\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}-\sqrt[3]{19+3\sqrt{33}}}{2\sqrt{3}}\right)\right)\end{pmatrix}=\left(\left(\frac{1}{3}-\frac{1}{6}\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}+i\left(\frac{\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}-\sqrt[3]{19+3\sqrt{33}}}{2\sqrt{3}}\right)\right)-\frac{1}{3}\left(1+\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}+\sqrt[3]{19+3\sqrt{33}}\right)\right)
\left(\frac{1}{3}-\frac{1}{6}\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}-i\left(\frac{\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}-\sqrt[3]{19+3\sqrt{33}}}{2\sqrt{3}}\right)-\frac{1}{3}\left(1+\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}+\sqrt[3]{19+3\sqrt{33}}\right)\right)
\left(\frac{1}{3}-\frac{1}{6}\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}-i\left(\frac{\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}-\sqrt[3]{19+3\sqrt{33}}}{2\sqrt{3}}\right)-\left(\frac{1}{3}-\frac{1}{6}\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}+i\left(\frac{\sqrt[3]{19-3\sqrt{33}}-\sqrt[3]{19+3\sqrt{33}}}{2\sqrt{3}}\right)\right)\right)$
$\vdots $
一応ちゃんと三次方程式もカルダノを使って手計算で出しました。
$k=4$は?
はい、無理でした。解を求めるところまではゴリゴリいけたのですが、さすがに行列式を求める気力は起きませんでした。(起きたら追加しときます(╹◡╹))
一番いいのはやっぱり文字で置いとくことですね。
$\displaystyle F_k(x)=\frac{1}{\prod_{1≦i< j≦k}(λ_j-λ_i)}\sum_{l=1}^k\textup{det}A_lλ_l^x$
$\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{F_k(n)}$は無理数である
$k=2$のときはすでに証明されてるっぽいです。(超越数かどうかはまだわかっていない)
いかがだったでしょうか。
何気に知識としてフィボナッチ数を知っていても詳しく掘り下げて考えたことがなかったので楽しかったです。(中1の時に知って、ふーんぐらいにしか思わなくてなかなか触る機会がありませんでした)
フィボナッチ数は驚くべきことに自然界のあらゆるところに登場してきます。僕の予想ではフィボナッチ数に関する微分方程式を考えたときに現れた都合の良い性質が関連しているのではないかと思いました。
必然的なものなのか、はたまた偶然なのか…
個人的に好きなフィボナッチ数列の性質を紹介して終わろうと思います。(いつか証明した記事も上げたいものです)
$\displaystyle \sum_{k=1}^{\infty}\frac{F_k}{n^k}=\frac{n}{n^2-n-1}$
フィボナッチ数で出てくる平方数は$1,144$だけ
フィボナッチ数の逆数和は収束する
そこら辺で見つけたカタツムリの殻
こんな感じでカタツムリの殻とかにもフィボナッチ数列は隠れています。