2024年度の東大数理の院試でこんな問題がありました.
$f(x)$は$\RR$上で定義された$C^2$関数で$f(0) = 0$を満たすものとし,$x_0 \in \RR$とする.$n = 0, 1, \dots$に対して,漸化式
$$
x_{n + 1} =
\begin{cases}
\dis{x_n - \frac{f(x_n)}{f'(x_n)}} & (\text{$f'(x_n) \not= 0$ のとき}) \\
x_n & (\text{$f'(x_n) = 0$ のとき})
\end{cases}
$$
によって実数の列$\{ x_n \}_{n = 0}^\infty$を定める.
(1) $f'(0) \not= 0$かつ$\dis{\lim_{n \to \infty} x_n = 0}$ならば,
$$
|x_{n + 1}| \leq C|x_n|^2 \qquad (n = 0, 1, \dots)
$$
を満たす正の定数$C$が存在することを示せ.
(2) (1) と同じ仮定のもとで,数列$\{ 2^{2^n} x_n \}_{n = 0}^\infty$が有界であることを示せ.
(3) 略.
2024年3月末に数理のホームページで公開された後一ヶ月もしないうちに非公開となり,5月に再び公開されました.
ところがその際に上の問15(2)の内容が変わっていました.
当日試験を受けた人のツイートを見ると,試験の際に修正はなかったようです.(
これ
と
これ
参照)
でも問題文や受験案内のページには修正について一言も書かれていないため,もしかして出題ミスでは?と思い2024年の5月23日に文部科学省の大学入試問題相談窓口にメールしてみました.で,一週間ほどして来た返答がこちら.
検証結果について
検証結果について(続)
この「基準とする初項が$m$個ずれても近似速度に影響がない」っていうのが引っかかりました.
もし$2$の指数が$2^{n - m}$ではなく$2^n - m$ならば,$2^{2^n - m} x_n = 2^{-m} \cdot 2^{2^n}x_n$で確かに定数倍されてるだけで影響はありません.しかしこの場合$2^{2^{n - m}}x_n = (2^{2^n}x_n^{2^m})^{2^{-m}}$だから,収束速度は$\{ 2^{2^n}x_n\}_n$のものとは違うんじゃないかと思います.(よくわかりません.)
とはいうもののの,反例($\{2^{2^n}x_n\}_n$が発散する例)が思いつかないのでそのまま放置していました.
今月になってまた考えてみたら,修正前の問題の反例ができてしまいました.(上のツイートをされた人が言及しているものと同じ)
$f(x) = x + x^2, x_0 > 1$とすると,
$$x_n = \frac{1}{(1 + 1 / x_0)^{2^n} - 1}$$
となります.($y_n = 1 / x_n$とおけばわかります.)これは$n \to \infty$の時$x_n \to 0, 2^{2^n}x_n \to \infty$を満たします.
じゃあ検証結果に「小問(2)の題意は正しく伝わっており」って書いてあるけどそんなわけないのでは?やっぱり出題ミスでは?と思ったので,今度は東大数理に直接メールしてみましたが,一週間経っても連絡はありません.(1/16(金)0:39にメール送信して今1/23(金).)
Gmailから送ったからスパム判定されてそもそも読まれてすらいないのか,単にスルーされてるだけなのかわかりません.
この時受験した人は今修士2年でもう修論発表が終わったくらいの時期なので,今更言ってもって感じはします.