この話は極限を理解しているものとして進めます。極限を知らない方はこちらで学んで、またここに戻ってきてください。
極限ってなに?
微分って聞いてどんなイメージを持ちますか?恐らくですが結構な人が「難しい」「よくわからないもの」と感じるのではないかと思います。今回はそれを払拭しつつ、皆さんに微分を理解してもらおうと思います。
微分とは、「その点における傾き」もしくは「導関数」を求めることです。
導関数は極限を用いて以下のように定義されます。
$f^{\prime}(x):= \lim_{h \to 0} \frac{f(x+h)-f(x)}{h}$
この定義、まじでめちゃくちゃ大事です。どのくらい大事かって言うとサッカーで言うボールみたいなものです。
ではここで、この定義の意味を考えてみましょう。
極限の中身に注目してみます。
$\frac{f(x+h)-f(x)}{h}$というのは、$x$が$0$から$h$まで動いたとき,
$f(x+h)-f(x)$がどのくらい変化したか、を表しています。
中学校で変化の割合ってやりましたよね。$\frac{y_2-y_1}{x_2-x_1}$ってやつ。あれとほぼ同じです。
このとき極限を考えます。そうです。$h$を限りなく小さくします。
そうすると、直線が出来上がります。これは関数に接します。まぁこの話はこのあと出てきますが。つまり微分って、瞬間の変化を表します。
教科書とか傍用問題集とかで「導関数の定義に従って微分しなさい」って問題が出てくると思うんですけど、そのときはこれを使えば解けます。
では、ここから公式羅列のターンです。一度は導出をしてみましょう。
公式1では特に$n\in N$のとき、二項定理を用いて証明できます。
公式2では加法定理を使い、導関数の定義に従うと微分ができます。
$f(x)$が$x^n$のときの公式は以下のようになります。
($n\in \mathbb{Q} $)
$f^{\prime}(x)=nx^{n-1}$
$(sinx)^{\prime}=cosx$
$(cosx)^{\prime}=-sinx$
$(tanx)^{\prime}= \frac{1}{cos^2x} $
$({a^x})^{\prime}=a^xloga $
$({e^x})^{\prime}=e^x$
$(\log_ax)^{\prime}= \frac{1}{xloga} $
公式3の上の式は対数微分法というものを用いて証明できます。
2つ目の式は上の式の底が$e$の特別な場合です。
また、対数関数の微分については、逆関数の微分公式から求めることができます。
$(f(x)g(x))'=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)$
$(\frac{f(x)}{g(x)})'=\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{(g(x))^2}$
$\frac{dy}{dx}=\frac{dy}{dt}\frac{dt}{dx}$
$\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}$
結構気になると思います。結論から言うと接線を求めたり、グラフの特徴が掴めたりします。(法線の話は割愛します...そこまで難しくないので調べてみてね)
これを聞いたときワクワクしましたね。特に、関数をグラフに書き起こせるようになるんですから。
接線の方程式は以下のような形式で表されます。
$(t,f(t)))における接線の方程式$
$y-f(t)=f^{\prime}(t)(x-t)$
$(t,f(t))$は$f(x)$の$x=t$における座標です。
例えば$f(x)=sinx$という関数で$x=\frac{π}{4}$のときの接線を求めるという問題のとき、欲しい情報を考えてみましょう。
このとき$f^{\prime}(t)$はわかりません。ではこれを求めてみましょう。
ここで、公式2を使います。$f'(x)$は求められますね。$f'(x)=cosx$となります。では、$x=\frac{π}{4}$のときの$f'(x)$を求めてみましょう。
$f'(\frac{π}{4})=\frac{1}{\sqrt2}$となります。これで欲しい情報は全て手に入れることができました。
よって$(t,f(\frac{π}{4}))$における接線の方程式は、
$y-\frac{1}{\sqrt2}=\frac{1}{\sqrt2}(x-\frac{π}{4})$となります。
$sinx$とその接線の関係
グラフを描くための情報はいくつかあります。
グラフを描くために必要な情報
①極値
②増減
③グラフの凹凸
$f'(x)$で正負の符号に変化があったとき、極値を持ちます。
例えば$f(x)=x^3-x$では、$f'(x)=3x^2-1$であり、$f'(x)$は$\pm\frac{1}{3}$で正負の符号に変化があるため、$f(x)$は極値を持ちます。
$f(x)=x^3$では導関数に正負の符号に変化がないため極値を持ちません。
これは①のおまけみたいなものです。
$f(x)$を二回微分して調べます。
関数がどのように増加するか、また減少するかを確認します。
今回は微分のお話をしてみました。次回は積分ですね。こいつだけで2パートぐらい作るかも。演習問題を含めたら3ページぐらい作れちゃうね。
微分の操作とかは慣れてないと難しいかもしれませんが、「微分とは何か」っていうものは理解できたと思います。できたって人が多ければ多いほど僕は喜びます。ダメだったらコメントとかで気軽に「ここわからないです」とか言っていただければ、なるべく噛み砕いた説明をします。あと増減表の書き方解説してなくてごめんなさい。表の扱い方は難しいし、でも字は汚いから計算用紙は見せられなくて。
話は逸れますが、誤植って怖いですよね。接線の方程式の公式とその例題の接線の方程式を間違えていたことに途中で気付きました。世に出す前で本当に良かった。皆さんも誤植に気をつけましょう。そして、間違いは誤魔化さずに正しいものに修正しましょう。自戒の意味も込めて。ではまたいつかの記事で会いましょう。