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外積のあれこれ~成分表示と実際のイメージをつなげたい~

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こんにちは, ぽるてぃと名乗っているものです. 初投稿になります. 拙い文章ですが, これから気ままに自分で考えたことをマイペースに投稿していきたいですね. 今回は, 外積周りのお話が成分表示と定義とのつながりが妙にしっくりこないので, そこの橋渡しをしたいというコンセプトです。とはいえ, それだけだと味気ないのでいろいろと考えたことをまとめてみます. (蛇足になりそうですが)

外積の導入

面積

当然、外積について理解したいので面積について考える必要がありますよね. まずは高校の教科書をおさらいしましょうか.

平面上の面積

当然2本のベクトル$\boldsymbol{a}=\begin{pmatrix}a_1 \\ a_2 \end{pmatrix}$, $\boldsymbol{b}=\begin{pmatrix}b_1 \\ b_2 \end{pmatrix}$の作る平行四辺形の面積$S$は, $\boldsymbol{a}$, $\boldsymbol{b}$のなす角を$\theta$とすると, $S=|\boldsymbol{a}||\boldsymbol{b}|\sin\theta$ですから, 2次元上で成分表示すると,

\begin{align} S&=|\boldsymbol{a}||\boldsymbol{b}|\sin\theta\\ &=|\boldsymbol{a}||\boldsymbol{b}|\sqrt{1-\cos^2\theta}\\ &=\sqrt{|\boldsymbol{a}|^2|\boldsymbol{b}|^2-\left(\boldsymbol{a}\cdot\boldsymbol{b}\right)^2}\\ &=|a_1b_2-a_2b_1| \end{align}

ですね. これを図形的に捉えましょう.

厳密なことは式で示してあるので, 力を抜いて図を眺めるだけでいいでしょう. $|a_1b_2-a_2b_1|$にあたる面積と求めたい面積はそれぞれ色が塗ってあります. 等積変形すれば両者の半分が一致することがすぐさま分かりますね.

空間における面積

$\boldsymbol{a}=\begin{pmatrix}a_1 \\ a_2 \\ a_3 \end{pmatrix}$, $\boldsymbol{b}=\begin{pmatrix}b_1 \\ b_2 \\ b_3 \end{pmatrix}$としましょう。もちろん公式 $S=\sqrt{|\boldsymbol{a}|^2|\boldsymbol{b}|^2-\left(\boldsymbol{a}\cdot\boldsymbol{b}\right)^2}$ は使えますが, せっかく平面における成分の表示を考えたので, そちらをうまく使いたいです. それならば, 求めたい図形の平面への射影を考えるのが自然でしょう. そこで, $\boldsymbol{a}$, $\boldsymbol{b}$を含む平面$L$, 平面$L$$x-y$平面のなす角を$\theta_z$とします. $L$上のある領域の面積を$s$とすると, 当然それを$x-y$平面に射影した領域の面積は$s\cos\theta_z$となるでしょう. (証明はしてない) よって, 求める平行四辺形の$x-y$平面への射影の面積を$S_z$とすると, 当然$S=\frac{S_z}{\cos\theta_z}$でしょう. 同様に$S_x$, $S_y$, $\theta_x$, $\theta_y$を定めると,

\begin{align} S_x&=|a_2b_3-a_3b_2|\\ S_y&=|a_3b_1-a_1b_3|\\ S_z&=|a_1b_2-a_2b_1|\\ S&=\frac{S_x}{\cos\theta_x} =\frac{S_y}{\cos\theta_y} =\frac{S_z}{\cos\theta_z} \end{align}

が得られました. 平面における面積を成分表示するのは簡単にできることが分かっているので, $S_x$, $S_y$, $S_z$は成分を用いて簡単に表せます.

外積

さて, ようやく(?)外積についての話ができます. 細かい話は面倒なので, 右ねじが成り立つようにしなきゃとか, そういうことは考えず, ただ$\boldsymbol{a}$, $\boldsymbol{b}$と垂直で, 長さが$S$になっているベクトルの取り方の話をします. 空間における面積を扱う際に$\theta_x$, $\theta_y$,$\theta_z$が残っていたので, これをうまく使いたいですね.
そこで, $z$軸を通り, 平面$L$に垂直な平面による断面を考えましょう. さらに$\boldsymbol{T_z}$をこの平面上かつ$L$上にある長さ$S$のベクトルとします. (Sの次のアルファベットがTなので) さらにこのベクトルの終点を$T$としておきましょう.

$\boldsymbol{T_z}$をこの平面上で$90^\circ$回転させたものを$\boldsymbol{T}$とすると, 考えているこの平面は平面$L$と垂直で, $L$$\boldsymbol{T_z}$を通るので, $\boldsymbol{T}$は平面$L$と垂直だと分かります. さらに, $\boldsymbol{T_z}$$x-y$平面のなす角は$\theta_z$なので,
$$ |\boldsymbol{T}|=|\boldsymbol{T_z}|=S=\frac{S_z}{\cos\theta_z} $$
から$T$$Z$座標は$S_z$と分かります.
あとは同様に$\boldsymbol{T_x}$, $\boldsymbol{T_y}$を取り, 適切な方向に$90^\circ$回転させてやると$\boldsymbol{T}$に一致するので, 結局$T$の座標が$\left(S_x,\pm S_y,\pm S_z\right)$(複合任意)のどれかだと分かります. 実際,
$$ \boldsymbol{a}\times\boldsymbol{b}=\left(a_2b_3-a_3b_2,a_3b_1-a_1b_3,a_1b_2-a_2b_1\right) $$
であることが知られており, この上の議論をもう少し丁寧にやって, 負の面積とかを考えると, 外積の式を導出することができそうです. (私はここまでで満足したので, ここからは読者にお任せします)

さて, 外積について語るのならここまででよいのですが, 外積が3次元のベクトルにしか定義されないのは少し気持ちが悪いですね. とはいえ, 4次元空間では2本のベクトルからはそれらに垂直なベクトルの方向が1つに定まらないので仕方ないのかもしれません. でもここであきらめたくないので, これからは少々気持ちの悪い表記を用います.

外積っぽいもので遊ぼう

2次元

次元が一つ落ちるので無理に外積っぽいものを考えるとすれば1本のベクトルからそのベクトルに垂直で長さが元のベクトルと等しいベクトルへの写像になりそう.
$$ \times\left(\boldsymbol{a}\right)=(-a_2,a_1) $$
とするとうまくいきそうですね.

4次元

次元が一つ上がるので, 3本のベクトルからそのベクトルに垂直で長さが3本のベクトルのなす平行六面体の体積になるような写像を考えればよさそうです.
外積の時と同じように, $xyz$空間, $yzw$空間, $zwx$空間, $wxy$空間への射影を考えたいですが, 4次元空間になるとなす角も射影も射影後の体積も訳が分からなくなってしまいますね. (追記:一つの成分を$0$にするだけなので射影自体は求まりますね. あとはその射影がどれだけ「圧縮」されたものなのか, なんですが…)
$$ \times\left(\boldsymbol{a},\boldsymbol{b},\boldsymbol{c}\right)=? $$
この先の拡張についても読者に委ねます. 私は行列式と何らかのかかわりがあると踏んでいますが, まだ線形代数の学習が進んでいないので, その話はまたいつか, ということにいたしましょう.

と, いうわけで, 無事(?)一本目の記事が書きあがりました. 正直後ろのほうは何となく興味を持ったことについて理論も固まらないままつらつらと書いているだけなので, 読む価値があるかというと怪しいですね. ともかく, こうして第一本目を書くことで, 二本目も書くかーという気になるわけですから, 思い立ったが吉日ということで書いてみました. 次もなにかしら考えることがあれば, 書いてみたいですね. この記事もまたいつか編集して穴を埋める日が来るかもしれないし. 私は$n$時間この記事を書いてきて疲れたので, そろそろ終わりにします. (え, まだ全然量すくないじゃん. 長い記事書いてる人すごいな...)
ではまた次回があれば, お会いしましょう.

投稿日:202383

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投稿者

比較的整数が好きな大学生です.

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