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斎藤正彦-線形代数学

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斎藤正彦 - 線形代数学 行間うめ

解いたものからチョコチョコ書き足していきます.学生のこしらえものなので間違いがあるかもしれません.不適切な言明や間違いなどありましたらごめんなさい

chapter 5

section 2

行列の累乗の公式

本文には書かれていませんが,等比数列の和の公式が正則行列にも使えることを示しておきます
AEが正則であればp=0q1Ap=(AE)1(AqE)=(AqE)(AE)1

p=0q1Ap(AE)=(AE)p=0q1Ap=(AqE)

5.2.7

Tr(ATA)
A<1 より>11A=p=0App=0Apである.>0より部分和Sn=p=0nApは単調増加しかつ有界な列であるのである値に収束する.つまりp=0Apはノルム収束し,p=0Apも収束することがわかる.5.2.3よりlimqAq=Oであることに注意して
limqp=0qAp(AE)=limq=(EAq+1)limq(p=0qAp)(EA)=EO

chapter 6

§1 線形空間と線形写像

6.1.8

T(x)=AxとするとT(x+y)=Ax+Ay=T(x)+T(y)で表されるし,T(αx)=A(αx)=αAx=αT(x)
T(x)=xTAxとかだとT(αx)=α2T(x)であるからこれは線形写像ではない.
0Vのゼロ元なので0+x=x
Tの線形性よりT(x+0)=T(x)+T(0)
またT(x+0)=T(x)よりT(x)=T(x)+T(0)よってT(0)Vのゼロ元である

6.1.13
  1. についてVVかつVVであるとは,VからVへの同型写像T1 またVからVへの同型写像T2が存在することを意味する.VVを示すには,VからVへの同型写像が存在することを示せば良い.ここで同型写像とはそれ自身が全単射であることだったから,T1,T2が共に全単射であればその合成写像T2T1が全単射であることを示せば良い.これを示すのは容易である.例えば 引用先p3命題5.1.3

引用 東京女子大学-新國先生の講義資料
https://www.lab.twcu.ac.jp/~nick/lecture/2013/bijection.pdf

6.1.14
  1. 行列を縦に並べ替えただけ.行列とベクトルはもれなく一対一対応するので同型である.
  2. 1.1.14で確かめたようにKnからKmへの線形写像は m×n行列による写像ともれなく一対一対応するので同型である
  3. xn次から0次までの係数を取り出すだけの作業.これももれなく一対一対応するため同型

§1の問題

問題1

(1)||a||=1となるaSに対してb=aとするとbVであり||b||=1であるからbSだが||a+b||=||0||=0となり,a+bS.和について閉じていないのでSVの部分空間ではない
(2)YV, AYB=Cを仮定する.X+YVについてA(X+Y)B=AXB+AYB=C+Cである.これは一般のCについては成り立たないが,C=Oの場合のみ成立する.以降C=Oとする.つまりS={XV;AXB=O}.
例えばX=OAXB=Oを満たすのでSSの元は和について閉じていることは上で確認した.任意のαKについてA(αX)B=αAXB=αO=Oである.以上で部分空間の定義を満たすことが確認できた.
(3)部分空間ではない.反例:(1000),(0001)はどちらもdeterminantが0であるがこれらの和の行列式は1となる.
(4)f=0を用意すればSが空集合でないことを確認できる.和と積については積分の線形性より示すことができる
(5)同じくf=0を用意すれば空集合でないことが確認できる.gS,αKについて和と積が閉じていることを確認できる.

問題2

(1)0W0UであるためWUは空集合ではない
α,βK,x,y(WU)αx,βyWαx,βyU
(αx+βy)W(αx+βy)U
(αx+βy)(WU)
となり和と積について閉じていることが示された
(2) (1)と同様に,Xは空集合ではない.
z1,z2Xとするとそれぞれ対応するx1,x2W,y1,y2Uがあってz1=x1+y1,z2=x2+y2とかける.そのためz1+z2=(x1+y1)+(x2+y2)=(x1+x2)+(y1+y2)
(x1+x2)W,(y1+y2)Uであるため(z1+z2)Xである.
さらにαKを考えると
αz1=α(x1+y1)=αx1+αy1であり,αz1Xの元であることが確認できた

問題3

(1)Yes
T(x+y)=(x+y|b)=(x|b)+(y|b)=T(x)+T(y)
T(αx)=(αx|b)=α(x|b)=αT(x)
(2)No 反例:
T(x+(x))=||0||
T(x)+T(x)=||x||+||x||
x=0の時しかT(x+(x))=T(x)+T(x)が成り立たない
(3)T(X+Y)=A(X+Y)B=AXB+AYB=T(X)+T(Y)
T(αX)=A(αX)B=αAXB=αT(X)
(4)No 反例:
T(αX)=αXAαX=α2T(X)
ただしA=Oの時のみ線形性が成り立つ
(5)No 反例:
T(1000)+T(0001)=0だが
T((1000)+(0001))=T(1001)=1

問題4

T[]が何を表すかを考える.T()が要素と要素を対応づけしていたのに対しT[]は集合と集合の対応づけを行っている.
(1)AVの部分空間だからそのゼロ元0を含み,T(0)T[A]それゆえにT[A]
次にu,vT[A],αKを仮定する.u,vAの何らかの要素の射影なのでu=T(x),v=T(y)なるx,yAがある.Aは部分空間を構成するのでx+yA以上の事実からu+v=T(x)+T(y)=T(x+y)=T(x+y)T[A]またαu=αT(x)=T(αx)T[A]であるからT[A]は部分空間を構成する
(2)T(0)Vのゼロ元であるからT(0)Pそれゆえ0T1[P]でありT1[P]
x,yT1[P],αKとするとu=T(x),v=T(y)なるu,vPがあってT(x+y)=T(x)+T(y)=u+vPだからx+yT1[P]またT(αx)=αuPであるからαuPとなる.以上の事実よりT1[P]は部分空間を構成する

投稿日:20201112
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音響信号処理に興味があります. ブラインド音源分離,雑音抑制など

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