この記事では、先日私が X(旧Twitter) にポストした次の画像について解説します。
1/tan(π/4)=1
— apu (@apu_yokai) December 15, 2023
ゆえに
1-1/3+1/5-1/7±…=π/4
の図 pic.twitter.com/VAgqxqpYZN
1-1/3+1/5-1/7+…=π/4の視覚化
みなさんはグレゴリー・ライプニッツ級数とかライプニッツの公式と呼ばれる次の式をご存じでしょうか?
規則的に分数を足したり引いたりするだけの簡単な式で円周率を計算できるという、初見では信じがたい形をした級数です。
私は中学生のときに初めてこの式を見て衝撃を受けました。「こんな簡単な式で円周率が計算できるわけないやん!」と・・・
覚えたばかりのBASICで計算してみて、確かに
ただし、世間での扱いはそれほどではないように思います。その理由は私の想像では、収束の遅さがハンパないからではないかと思います。
例えば第
そのことは、式の形をみればなんとなくわかると思います。
この収束の遅さ、他のいろいろな円周率公式と比べても圧倒的に遅い。
しかし、収束の遅さを差し引いても、この見た目の美しさは最高だと思います。「出来の悪い子ほどカワイイ」みたいなものかもしれませんが。
ともかく、私はこの式の「見た目」が好きなのです。しかし、世に広まっているこの式の「証明」は、この「見た目」とあまりにかけ離れているものばかりだと感じていました。「もっと視覚的に納得したい!」と。「
というわけで作ってみたのが先の図というわけでした。
先の図では、「
それではここから、どのようにして「
まず、
tanの関係
補題
補題
もう一回「分割」すると
こうなります。
分割するたびに項数が
このように次々と「分割」することで、次々と新しい式が得られます。
どの式も値は
このような「分割」が常に可能であることを式で確認しておきましょう。
とします。
と変形できますので、この「分割」は何回でも繰り返すことができることが確認できました。
さて、この分割を繰り返していくと、各項が特定の値へと収束していきます。収束先を式で確認してみましょう。
で表すことができます。
※
となりました。したがって、
となります。
両辺に
ここまでの議論がなんだか厳密でなさそうでだまされてる気がする、と感じる人のためにもう少し厳密にこの式をみていくことにしましょう。
の両辺を
このとき、
つぎに、ライプニッツの公式の第
このとき、
まず、積分を使うことで、誤差項を評価することを考えます。
したがって
積分の項を評価すると
なのではさみうちの原理により
したがって
となることが確認できました!
というわけで、私の好きなライプニッツの公式の視覚化の解説でした。
もう一度、最初の図を見てください。
1-1/3+1/5-1/7+…=π/4の視覚化
……。いかがでしょうか。うまく言語化できないのであえて語りませんが、私がこの図にこめた思いが少しでも伝わっていればいいなあ、と思います。
しかし、これがベストな視覚化だとは思っていません。
もっと直接的に「
何かアイデア等ありましたら教えていただければ幸いです!