座標平面の第一象限であって, $|x^2+xy-y^2|=1$ 上の格子点について, $y$ 座標が小さいものから順に $n$ 番目の座標を $P_n(x_n,y_n)$ とする.原点を $O$ としたとき,三角形 $OP_nP_{n+1}$ の面積は $n$ によらず一定であることを示し, その値を求めよ.
解答は2パターンとなっていて,初めに考えたのが解答2の方なんですが少し高校過程らしくないワードがあって
懸念点だったので高校の範疇での解答を作り,それを解答1としました。やっていることはそこまで変わってないので2は軽く書きます。
(その際友人が丁寧な解答を作ってくれたので参考にしたり$\cdots$)
加えて記事を書くのが最後ということもあって解説でテンションが上がってしまって申し訳ありません。(先に謝罪しておけば、、、)
$|x^2+xy-y^2|=1$$\cdots①$
$ x_n \le y_n $が成り立ち,等号成立は$n=1$$\cdots(A)$を示す。
$c$を$1$または$-1$とすると$①$は,$ x^2 + xy - y^2 = c$ となる。点$P_{n} (x_n, y_n)$ はこれを満たすので$ x_n$ について解くと,
$\displaystyle x_{n}= \frac{-y_{n}+ \sqrt{5y_{n}^{2}+4c} }{2} $$ (∵x_n > 0, y_n > 0 )$でこれが$ y_n$以下即ち$\sqrt{5y_n^2 + 4c} \le 3y_n $ を示せばよい。
両辺正より,二乗した$5y_n^2 + 4c \le 9y_{n}^{2}$を示すことと同値。
(右辺)$-$(左辺)$=4(y_{n}^{2}-c) \geq 0$ $(∵c= \pm 1 \cap y_n \geq1 )$$∴x_{n} \leq y_{n}$
また,等号成立$x_{n}=y_{n}$は,$①$から,$x_{n}^{2}=y_{n}^{2}=1$即ち
$x_{n}=y_{n}=1$となり,これはともに最小の自然数であるから$n=1$で$P_{1}=(1,1)$である。(A)は示された。
$k,m$を$n$以下の自然数定数として,点$Q_k$を初項を$X_1=x_{m}$$,Y_1=y_m$とした連立漸化式
$$
\begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{l}
X_{k+1}=Y_k-X_k\\
\ Y_{k+1}=X_k
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
$$
で,$Q_k(X_k,Y_k)$と定める。
以下,
$Q_k$は$①$状の格子点である$\cdots(B)$を示す。
$Q_1$は定義から自明に$①$状の格子点であり,$Q_k$の$x,y$座標はいずれもその加法減法で表されるので整数値をとる。
$k=l$のとき,$(B)$を満たす,つまり$|X_{l}^{2}+X_{l}Y_{l}-Y_{l}^{2}|=1$と仮定する。
$k=l+1$のとき, $|X_{l+1}^{2}+X_{l+1}Y_{l+1}-Y_{l+1}^{2}|=|(Y_l-X_l)^{2}+(Y_l-X_l)X_{l}-X_{l}^{2}|=$ $
|-(X_{l}^{2}+X_{l}Y_{l}-Y_{l}^{2})|=1$($∵$仮定)
故に$Q_k $は$①$上であり,$x,y$座標はいずれも整数値であるから,$(B)$は示された。
$Q_{k}について,(1,1)$を取りうる$k$が存在する $\cdots(C)$を示す。
$Q_k$が第一象限にあり,$(1,1)$ではないとき,$(A)$から,$0< X_k< Y_k$である。
ここで,その$Q_k$について,$X_k< Y_k$が成り立つ最大の$k$を$a$とする。($0< X_a< Y_a$$\cap X_{a+1} \geq Y_{a+1}$)
$Q_{a+1}(Y_a-X_{a} ,X_a)$で,この$x,y$座標はいずれも正の数である。$(∵0< X_a< Y_a)$
つまり,$(B)$から$Q_{a+1}$も第一象限の$①$上の格子点で,$(A)$から,$X_{a+1}\le Y_{a+1}$が必要。$a$の定義と合わせて
$X_{a+1}\leq Y_{a+1}$$\cap X_{a+1} \geq Y_{a+1}$$\Longleftrightarrow X_{a+1}=Y_{a+1}$で$(A)$の等号成立条件から
$Q_{a+1}(1,1)$である。
以上からいかなる$m$即ち初項$Q_1(x_m,y_m)$をとっても$(1,1)$をとる$Q_{k}$は存在する。
$(C)$は示された。
ここで逆に,$Q_{a+1}(1,1)$の$x,y$座標を初項$R_1(s_1,t_1)$として$R_k(s_k,t_k)=Q_{a+2-k}$を考える。
このとき,$(s_k.t_k) $の連立漸化式は
$
\begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{l}
X_{k}=Y_k\\
\ Y_{k+1}=X_{k+1}+X_k
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
$ $\Longleftrightarrow$$
\begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{l}
s_{k+1}=t_k\\
\ t_{k+1}=s_k+t_k
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$\cdots②$
となる。$R_k$の関係は初項と漸化式から,$m$によらない。また,$R_k $は$(1,1)$を初項で自明にとり,
いかなる$m$つまり$Q_{1}(x_m,y_m)$も$R_k$の定義から必ず取りうる。
即ち$R_k$は$P_k(k=1,2,3, \cdots )$の全てを取りうる。また,$R_k$は$①$上の格子点であるから,$P_k$も$R_k$の全てを取りうる。
$P_k,R_k$の$y$座標は定義から単調増加であり,$P_1=R_1=(1,1)$であることを合わせて,
$P_n=R_n$が分かる。
3点 $O(0, 0), P_n(x_n, y_n), P_{n+1}(x_{n+1}, y_{n+1})$ で作られる$\triangle OP_nP_{n+1}$の面積$S_{n}$は,
$\displaystyle S_{n}= \frac{1}{2} \left| x_{n}y_{n+1}-x_{n+1}y_{n} \right|= \frac{1}{2} \left| x_{n}(x_n+y_n)-y_{n}^{2} \right|=\frac{1}{2} |x_{n}^2+x_{n}y_{n}-y_{n}^{2}|$$(∵②)$
となり,$(x_n,y_n)$は$①$式を満たすので,$|x_{n}^2+x_{n}y_{n}-y_{n}^{2}|=1$
$\displaystyle ∴S_{n}=\frac{1}{2}$
これは$n$によらないので題意は示され,その値は$\displaystyle\frac{1}{2}$である。$\cdots$(答)
その名の通りといえばそうなのですがなじみのない高校生も多いでしょう。
厳密な定義は別で調べてみてください。ここでの逆変換は次のように定義付けます。
ある点$(x,y)$を$(x',y')$に移す操作を順方向のルールとしたとき,その逆の操作(移った点から元の点$ (x,y)$に戻すもの)を逆変換という。
例えば,$(x,y) \rightarrow(y,x+y)$のとき,
$\begin{eqnarray}
\left\{\begin{array}{l}x'=y \\ y'=x+y
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$\Longleftrightarrow$$\begin{eqnarray}
\left\{\begin{array}{l}x=y'-x'\\ y=x'
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$
と変換すれば,元々$xy$から$x'y'$ を導く形だったが,
$x'y'$から$x,y$を導く式になる。
与えられた方程式を
$$|x^2 + xy - y^2| = 1 \quad \cdots ①$$
とする。第一象限の格子点($x, y$ は自然数)について考える。
(Ⅰ) 十分性について
点 $(x, y)$ が ① の解であるとする。このとき,点 $(x', y') = (y, x+y)$ を考えると、
$$
\begin{aligned}
|x'^2 + x'y' - y'^2| &= |y^2 + y(x+y) - (x+y)^2| \\
&= |y^2 + xy + y^2 - (x^2 + 2xy + y^2)| \\
&= |-x^2 - xy + y^2| \\
&= |-(x^2 + xy - y^2)| \\
&= 1
\end{aligned}
$$
よって,$(x', y')$ も (1) の解である。$x, y \ge 1$ より $y' = x+y > y$ であるから、この操作により $y$ 座標がより大きい解が得られる。
(Ⅱ) 必要性
次に、① を満たす第一象限の格子点の大小関係を調べる。
原点を $O$ とし、$\triangle OP_n P_{n+1}$ の面積を $S_n$ とする。3点 $O(0, 0), P_n(x_n, y_n), P_{n+1}(x_{n+1}, y_{n+1})$ で作られる三角形の面積は、
$$S_n = \frac{1}{2} |x_n y_{n+1} - x_{n+1} y_n|$$
で表される。ここに $②$ を代入すると、
$$
\begin{aligned}
S_n &= \frac{1}{2} |x_n(x_n + y_n) - y_n \cdot y_n| \\
&= \frac{1}{2} |x_n^2 + x_n y_n - y_n^2|
\end{aligned}
$$
ここで、点 $P_n(x_n, y_n)$ は $①$ 上の点であるから、
$$|x_n^2 + x_n y_n - y_n^2| = 1$$
が成り立つ。したがって、
$$S_n =\frac{1}{2}$$
となり、$S_n$ は $n$ によらず一定である。
よって $\triangle OP_n P_{n+1}$ の面積は $n$ によらず一定であり、その値は $\displaystyle\frac{1}{2}$ である。
いきなりですがもし数Cの分野二次曲線(双曲線)だ,苦手だからあきらめよう。
などと考えてしまった方,もちろんいらっしゃらないと思いますが、
もしそうなら解答も終始謎なことの繰り返しに見えたのではないでしょうか$\cdots$
そして二次曲線は解答に全く関係なかったことにも気づけなかったでしょう。
そうでない皆さん,天啓が降ってきたとか既に考えたことがあったなどでなければ当然実験したと思います。
すると見えてきましたね?
そうです。フィボナッチ数列です。
さて一応書いておきましょうか。
$$ \begin{array}{:c:}\hdashline
\text{フィボナッチ数列}\\
\text{$F_1=F_2=1$とし,}
\\
\text{$F_{n+2}=F_{n+1}+F_{n}$}
\\\text{ と定められた数列 $\lbrace F_n \rbrace $をフィボナッチ数列という。}
\\\hdashline
\end{array} $$
具体的に書き出すと,$F_n=1,1,2,3,5,8,13,21,34,55, \cdots $です。
$①$の式の$y$に$1,2,3,4,5,6,7,8$と代入して確かめていくと($x$が整数であることに留意して)
$(1,1),(1,2),(2,3),(3,5),(5,8),\cdots$が当てはまることが分かったと思います。
フィボナッチ数列をもし仮に知らなくても法則性に気付いてほしいところ$\cdots$
ともあれ$P_n$はどうやら$(F_n,F_{n+1})$となるらしいことが分かった。
$P_n$が$(F_n,F_{n+1})$を示したい。
そこでぱっと思い浮かぶのはよくある推測から帰納法へのタイプです。
そこで確かに$k$で成り立ったら$k+1$の時も$①$上の格子点であることも示せる。
ただこれは不十分ですね。
$(F_n,F_{n+1})$と$(F_{n+1},F_{n+2})$の間に格子点があるかもしれない。
要するに$P_n$を$(F_n,F_{n+1})$としてそれは本当に第一象限における$①$上の格子点を取りつくせているかが議論できていないからです。
では何故こんなことになっているか?
それは問題の$P_n$の定義が数式で表されていない,作ったのは私ですが悪く言えば曖昧模糊と言えるからです。
小さい方から順にって$\cdots$
では戻ります
今しがたしたことはいい子のように$k\rightarrow k+1$と順番通り考えてたことだ思います。
ですあえて逆転の発想,到着先から$(1,1)$に戻ってくる方に思考をシフトしてみましょう。そしてそれがなぜなのか,
わかりにくいと思うのでイメージをお伝えします。
階段を上るイメージをしてください。
1ずつ上る常識人の他に$n$段飛ばしをしたり,フィボナッチの階段の上り方と言って
$ 1,1,2,3,5$のように上って最後ぎりぎりになる小学生みたいなことをしたりする人がいますよね?
(私がしてたかは言及しません。あえて)
$1$段から順に$1,2,3, \cdots$と順に上っていると言いたくてもそのような人がいるかもしれないせいで
証明に至らないですね。ここで逆再生したところ必ず一度も上がったりすることなく降りて,1段目にたどり着くときを考えてみましょう。
さて,このままイメージを問題とつなげていきます。
点$Q_k$を初項を$X_1=x_{m}$$,Y_1=y_m$とした連立漸化式
$$
\begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{l}
X_{k+1}=Y_k-X_k\\
\ Y_{k+1}=X_k
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
$$
で,$Q_k(X_k,Y_k)$と定めたのを覚えていますか?
階段の1段目というのが$(1,1)$で,$Q_k$を$i$段目としたら$Q_{k+1}$は$i-1$段目ですね。(逆再生してるから)
どの階段($Q_k$)から逆再生をスタートし始めても$(1,1)$を通ることが示せたとしましょう。
状況的には{$(1,1) $と$Q_1$}, {$(1,1) $と$Q_2$},$\cdots${$(1,1) $と$Q_k$}が道でつながりました。
(すべての格子点と(1,1)がつながった)ということは逆にたどれば(1,1)からすべての格子点にたどり着けますね。
ここでこの道は一方通行であることを忘れず考えるとこれらの道が一本道でつながっていることもわかります。
数学好きならこんな言い方もしっくりくるかもしれません。無限降下法です。
正確にいうと違いますが根本の考え方が近いところあります。
知らない方のために軽く説明します。
注 解答2を見るとこの先理解しやすいです。
おもに$2$ステップで証明をする。
1.(フ)を満たす自然数$n_{1}$が存在するならば,(フ)を満たすそれより小さい自然数$n_{2}$が存在する。
2.$n_1 \rightarrow n_2 \rightarrow n_{3} \rightarrow \cdots $のようにいくらでも小さい自然数が存在するが,
自然数には最小の1が存在しこれより小さい自然数は構成できないから矛盾。
これの何が似てるかというと $x < y$ のときはずっと小さい自然数を構成でき,それを繰り返すことによって
($1,1$)に戻していく作業です。
先ほども言ったように無限にこの操作を行うことはできないつまりどこかで$x \geq y$ となる瞬間が来ると分かります。
そこで終わる瞬間に着目すればいいんだと分かりますね。
解答$1$では終わる瞬間をあえて$a$と置くことで議論を進めてみました。
さてここまで来たら最後,最高の瞬間ですね。
$P_n$の座標の漸化式が立ったとき,ここでわざわざ当初の目的が$(F_n,F_{n+1})$を示そうだった
からといってそのように変形したりする必要はないですね。
面積の式は$n+1$の項が含まれるのでを$x_n,y_n$のみの式に直してみると$\cdots$
$\frac{1}{2} |x_{n}^2+x_{n}y_{n}-y_{n}^{2}|$という何とも見覚えしかない式が出てきますね。
つまりまさかの問題文がほぼ答え?!みたいな状況になりますね。
解説は以上です。
全部読んでくれた方はほんとに稀有です。ここまでほんとにお疲れさまでした。そしてありがとうございます。$\cdots$
せっかくですのでこの問題の経緯や裏話を,
フィボナッチの格子点で遊んで面積とか考えてたら$\frac{1}{2}$に気付いていったん証明してみました。
あらためてフィボナッチ数列について調べてみたらどうやらカッシーニの定理というものが関係あることが分かりました。
そのとき,フィボナッチ格子点ならば$|x^2+xy-y^2|=1$を満たす。
ということが分かった状況で,あれ?じゃあ逆はどうだ?と考えて出来上がりました。
フィボナッチ数列はほんとあらゆるところに出てきてネタが尽きないですね$\cdots$
さてこの辺にしておきます。
続いて$2$番ですね。引き続きぜひごゆるりとお楽しみください。
以上私最後の記事でした。(大問2の解答を先に作ったので,)
今までありがとうございました。
皆さんの日常によき数学の彩のあらんことを。それでは、ごきげんよう。