コインを$n$回投げて複素数$z_1,z_2,\cdots,z_n$を次のように定める.
(i) 1回目に表が出れば$z_1=\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}$とし,裏が出れば$z_1=1$とする.
(ii)$k=2,3,\cdots,n$のとき,$k$回目に表が出れば$z_k=\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}z_{k-1}$とし,裏が出れば$z_k=\overline{z_{k-1}}$とする.ただし,$\overline{z_{k-1}}$は$z_{k-1}$の共役複素数である.このとき,$z_n=1$となる確率を求めよ.
明らかに$z_n$が取りうる値は$1,\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2},\dfrac{-1-\sqrt{3}i}{2}$の$3$種類.$n$回目にそれぞれの数字が出る確率を$P_n,Q_n,R_n$と置きます.すると,
$$P_{n+1}=\frac{1}{2}P_n+\frac{1}{2}R_n$$
$$Q_{n+1}=\frac{1}{2}P_n+\frac{1}{2}R_n$$
$$R_{n+1}=Q_n$$
ですね.この連立漸化式を解いていきます.
明らかに$P_n=Q_n$($n\ge 1$).よって,$P_{n+1}-R_{n+1}=-\dfrac{1}{2}(P_n-R_n)$.$P_1-R_1=\dfrac{1}{2}$より,$P_{n}-R_n=-\left(-\dfrac{1}{2}\right)^n$.$2P_n+R_n=1$より,$P_n=\dfrac{1}{3}\left\{1-\left(-\dfrac{1}{2}\right)^n\right\}$
本番では絶対に合わせておきたい一問だと思いました.