導入
ちょっと有名な、タイトルを示すのが目的の短い記事です。
環といったら可換とは限らない単位的結合的な環、加群は単位的な左加群とします。
前提知識
環上の加群の定義を知っている、ネーター加群を知っている、核を知っている、余核の一意性やfive lemmaを知っている人。
主定理と証明
早速主定理を述べて証明を書きます。
主定理
環上の左加群がネーター的と仮定する。このとき、自己準同型が全射ならば、自動的に同型である、すなわち単射である。
いまの部分加群の増大列がある。よってネーター性よりあるが存在してとなる。するととが全射なことに注意すると、次の短完全列からなる可換図式ができる:
よってfive lemmaもしくは余核の一意性によりは同型である。
感想
昔ごちゃごちゃ元をとって示したことがある気がするのですが、単にfive lemmaで一瞬ということが先日のセミナーで気づいたので記事にしました。後輩に感謝。
- 上の証明でそのまま「アーベル圏のネーター的な対象の全射自己準同型は単射」や、双対的に「アルティン的対象の単射自己準同型は全射」という主張を示すことができます。
- 実は環が可換なら、ネーター性を外して有限生成だけで十分らしいですが、証明はごちゃごちゃした可換っぽいやりかたでやります。