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重複組合せの記号「H」の由来について

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重複組合せについて解説をしていた時に、生徒に「H」って何ですか?と聞かれた。
「ん、確かに何だろう??」そう思って調べてみると「homogeneous 」がひっかかる。この頭文字のHらしい。つまり「斉次」。

数学で「斉次多項式(homogeneous polynomial)」という言葉がある。斉次多項式とは、その全ての項の次数が等しい多項式の事である。  

斉次多項式

x2+2y2+xy   (次数が2で揃っている)

斉次多項式

x2z+2y2z+xyz   (次数が3で揃っている)

斉次多項式ではない

x2z+2y2z+xy+5 (x2z2y2zの次数は3、xyの次数は2、5の次数は0で各項で次数が揃っていない。)

ではこの斉次多項式(homogeneous)と重複組合せ「H」はどういう関係なのか?それは斉次多項式を用いて重複組合せが計算できるという話で繋がっている。
 例えば、4H3を計算してみる。4H3とは「異なる4つの物から重複を許して3つ選ぶ組合せ」である。この計算はよく知られている公式で

4H3=4+31C3=6C3=20

となるが、ここでは「H」の名の通り斉次多項式を用いて計算してみよう。

どう計算するか結論から言ってしまうと、(x+y+z+w)3を計算すれば良い。

(x+y+z+w)3=w3+3w2x+3w2y+3w2z+3wx2+6wxy+6wxz+3wy2
                                  +6wyz+3wz2+x3+3x2y+3x2z+3xy2+6xyz+3xz2
                                  +y3+3y2z+3yz2+z3

 この計算結果の項数は20となっており、4H3と一致する。(ちなみに、全項の係数の和は64となっておりこれは重複順列の場合の数である。)

例えば問題が

「みかん、りんご、なし、ももが沢山ある。この中から3つを選ぶ組合せは何通りあるか?」

という問題であれば、xを「みかん」yを「りんご」zを「なし」wを「もも」とすればyz2の項は「りんご」1つと「なし」を2つ選んだ場合に対応する。

投稿日:20201227
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仕事は高校数学を教える事とプログラミングです。物理も少々。

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