皆さん知っていますか?任意の整数は素数なんですよ?(ただし$0$と$\pm1$は除く)
もっとも簡単な合成数である$6$も実は素数なんです。
え?どういうことかって?
それはこれからお見せしましょう。
そもそも素数ってなんでしたっけ?
\begin{align} &\mbox{環$\;R\;$の元$\;p\;$が素数(素元)である}\\ \overset{\text{def}}{\iff}&\mbox{剰余環$\;R/pR\;$が整域である}\\ \iff&\mbox{任意の$\;a,b\in R\;$について$\;ab\in pR\;$ならば$\;a\in pR\;$または$\;b\in pR\;$である} \end{align}
なるほど、じゃあ同型$R\simeq R'$があるとき$R$の素数$p$から次のようにして$R'$の素数を構成できますね。
環$R,R'$に同型$f:R\to R'$があるとき$R$の素数$p$に対して$f(p)$は$R'$の素数となる。
では任意の整数$n$に対してその素因数$p$を一つ取り、$n=pn'$とおくと
$$\Z\simeq n'\Z\quad(a\leftrightarrow n'a)$$
が成り立つから$\Z$の素数$p$に対して$pn'=n$は$n'\Z$の素数になるじゃあないか。なんてこった。
とまあ、そんなジョークというか小ネタでした。つまり、例えば$6$は整数環$\Z$の素数ではないけど$2\Z$や$3\Z$(にヘンテコな演算を入れた環)の素数ではあるよねという話です。
なお誤解の無いように言っておくと$n\Z$上の掛け算$\otimes$は$n$倍写像$\Z\to n\Z$が誘導する演算、つまり
$$a\otimes b=n\times(a/n)\times(b/n)$$
によって定義するものとしました。
また同様の議論によって任意の素数$p$は$\frac1p\Z$上の合成数($p$倍写像$\frac1p\Z\to\Z$によって$p\in\frac1p\Z$は$p^2\in\Z$に写る)となるので、任意の整数は合成数であるとも言えますね。