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現代数学解説
文献あり

特異点論入門〜これほど簡単な入門記事は多分ない〜part8

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$$\newcommand{CC}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{defa}[0]{\overset{\text{def}}{\Longleftrightarrow}} \newcommand{defe}[0]{\overset{\text{def}}{=}} \newcommand{igen}[1]{\left\langle#1\right\rangle} \newcommand{Im}[1]{\mbox{Im}(#)} \newcommand{Im}[0]{\mbox{Im}} \newcommand{jacob}[0]{\frac{\partial f}{\partial x_{1}},\dots , \frac{\partial f}{\partial x_{n}}} \newcommand{K}[0]{\mathcal{K}} \newcommand{keq}[0]{\sim_{\scriptsize{\K}}} \newcommand{Ker}[0]{\mbox{Ker}} \newcommand{KK}[0]{\mathbb{K}} \newcommand{m}[0]{\mathfrak{m}} \newcommand{NN}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{PP}[0]{\mathbb{P}} \newcommand{R}[0]{\mathcal{R}} \newcommand{req}[0]{\sim_{\scriptsize{\R}}} \newcommand{RR}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{ZZ}[0]{\mathbb{ZZ}} $$

Hilbertのsyzygyの定理

みなさんこんにちは。しんぎゅらです。久しぶりに記事でも書こうと思って、パソコンカタカタしてます。
さて、みなさん。本日のタイトルは読めたでしょうか?これは「ヒルベルトのシジジーのていり」と読みます!あり得なさすぎるスペルですが、syzygyとは星が一列に並ぶ様子の英単語だそうで、クイズとかではよく聞く単語らしいです(本当なんでしょうか?)
もちろん、本日は天体観測をしたいわけではないので、ご安心を!!それでは、始めようか、解析多様体観測。$\overset{\text{ほうきぼし}}{\text{不変量}}$を探して

$R$上の加群$M$を調べるならどうしたら良いでしょうか?$R$が自由加群ならベクトル空間と同じくして考えることができそうですが、そうでない時はちょっと厳しそうです。
そんなときに自由分解(free resolution)という道具を使うことで,$M$の代わりに自由加群の列が加群を教えてくれるわけです。

以下断りがないときには、$R$を単位的可換環、$M$$R$-加群とします

自由分解

完全列と自由分解

$R$-加群の列$M_{\bullet}:\cdots\to M_{i+1}\to M_{i}\to M_{i-1}\to\cdots$完全(exact)とは、$\Im(M_{i+1}\to M_{i})=\Ker(M_{i}\to M_{i-1})$が成り立つことをいう。($\Im(M_{i+1}\to M_{i})\subset\Ker(M_{i}\to M_{i-1})$が成り立つ時は複体(complex)という。)
また、加群$M$に関する完全列$\cdots\to F_{k}\to F_{k-1}\to\cdots F_{0}\to M\to0$の各$i$$F_{i}$が自由加群であるとき、$F_{\bullet}\to M\to 0$$M$自由分解(free resolution)という

自由加群はいわば基底を持つ加群です!ほぼほぼベクトル空間と同じですね。では(自由とは限らない)加群を調べるときに自由加群を使えば、その加群の構造が分かりそうな気がします!

$\mathbb{Z}$-加群の完全列$0\to \mathbb{Z}\overset{f}{\to} M\to0$について、($f$に関する)準同型定理から$\mathbb{Z}/\Ker(f)\cong \Im(f)$が分かりますが、完全列なので

  • $\Ker(f)=\Im(0\to\mathbb{Z})=0$  ($f$は単射)
  • $\Im(f)=\Ker(M\to0)=M$ ($f$は全射)
    であるので、$\mathbb{Z}=\mathbb{Z}/\Ker(f)\cong \Im(f)=M$になります!つまり$M$が何か分からなくても完全列があれば$M\cong\mathbb{Z}$と分かるわけです!
    一般に完全列$0\to A\to B\to0$によって$A\cong B$が導かれます!

上の例から分かるように、列$0\to F_{m}\overset{\partial_{m}}{\to} F_{m-1}\overset{\partial_{m-1}}{\to}\cdots\overset{\partial_{2}}{\to}F_{1}\overset{\partial_{1}}{\to}F_{0}\overset{\partial_{0}}{\to}M\to0$が完全列であれば、$\partial_{m}$は単射であり(つまり$\Ker(F_{m}\overset{\partial_{m}}{\to}F_{m-1})=0$)、$\partial_{0}$が全射(つまり$\Im(F_{0}\overset{\partial_{0}}{\to}M)=M$)になります!!

$R$-加群の完全列$0\to A\to B\to M\to0$であれば、$B/A\cong M$であることを示せ
雑なイメージ図(!FORMULA[39][-380105151][0]を表しているわけではありません) 雑なイメージ図($B/\Ker(g)\subset B$を表しているわけではありません)

自由分解とは何かというと、

  • まず調べたい$M$を持ってきなさい、そして全射$F_{0}\to M$を構成しなさい
  • 全射なのだから準同型定理から$F_{0}/\Ker$$M$は同型なので$F_{0}/\Ker$を調べることが手掛かりになる
  • $\Ker(F_{0}\to M)$が何かを調べるために、(上の流れと同様に)全射$F_{1}\to \Ker(F_{0}\to M)$を調べなさい
  • この作業を続けなさい

という一連の工程を表したものなのです!なんともまぁ先人たちはよく思いついたものです。余談にはなりますが、なにかの構造を知りたいときに写像を使って中身を調べずともわかってしまうという手法は圏論のモチベーションになってくるという話を聞いたことがあります。完全列は$M$自体を調べるのではなく、他の自由加群との関係を使って$M$を理解しているので、とても圏論チックだなと思えるのです。

さて、$M$を自由分解するというのはわかったところで色々疑問はあります

  • 自由分解って本当にできるの?(存在性)
  • 自由分解は一意的なの?一意じゃなくても調べられるの?
  • 自由分解には終わりはあるの?

1つずつ答えていきましょう。
まず以下の補題をみましょう

任意の$R$-加群$M$に対し、自由$R$-加群$F_{0}$からの全射準同型が存在する。特に$M$が有限生成ならば$F_{0}$も有限生成なものが取れる。

idea of proof

$F_{0}:=\oplus_{m\in M}Re_{m}$とします($e_{m}\in R$$m\in M$に対応する形式的な元であって、$a=\Sigma c_{m}e_{m}\in F_{0}$は有限個を除いて$c_{m}=0$とします)。このとき$F_{0}$は自由$R$-加群であって以下の$\varphi$によって主張を満たします。
$\varphi:F_{0}\to M; \Sigma c_{m}e_{m}\mapsto \Sigma c_{m}m$

また、$M$が有限生成であれば$M=\igen{m_{1},\dots,m_{s}}_{R}$ゆえ$F_{0}:=\oplus_{i=1}^{s}Re_{i}$($e_{i}\in R$$m_{i}\in M$に対応する形式的な元)とすれば良いですね!

この補題を使っちゃえば、自由分解の存在性はokそうですね!自由分解の一意性はないですが、調べる上でそんなに困りません。というのも以下の定理をみれば納得してもらえるかもしれません。

極小自由分解

$R$を体$\KK$上の多項式環$\KK[x_{1},\dots,x_{n}]$とする。このとき自由分解$F_{\bullet}\to M$が存在して、任意の$i=0,1,2,\dots$$\Im(F_{i+1}\to F_{i})\subset\m F_{i}$を満たす。さらにこの自由分解は(複体の)同型を除いて一意に定まる。この自由分解を極小自由分解(minimal free resolution)という。

複体の同型とは、ちゃんと説明しませんが、二つの複体$F_{\bullet}\to 0$$G_{\bullet}\to 0$があるときに「二つの複体と適合するような」$F_{i}\overset{\cong}{\longrightarrow}G_{i}$なる同型写像が存在することです。

そして最後の疑問こそが本記事の主題です!

Hilbertのsyzygyの定理

$R:=\KK[x_{1},\dots,x_{n}]$を次数環とし、$M$有限生成な次数$R$-加群とする。
このとき$M$の次数付き自由分解として
$$0\to F_{n}\to F_{n-1}\to\cdots\to F_{1}\to F_{0}\to M\to 0$$
の形のものが存在する。

$n$変数の多項式環の上であれば、「長さ」が$n$以下の自由分解が得られるというバカ強い主張なのです。
......てか次数ってなんだよ。

Koszul複体を知ろうとして、正則列をのぞきこんだ

正則列

$f_{1},\dots,f_{p}\in R$正則列(regular sequepce)
$\defa\begin{cases} \igen{f_{1},\dots,f_{p}}M\neq M\\ f_{i}\text{は}M/\igen{f_{1},\dots,f_{i-1}}M\text{の零因子ではない} (i=1,\dots,p) \end{cases}$

早速例を見ていきましょう!

$R=M=\CC[x,y,z]$とする。

  • $x,y(x-1),z(x-1)$は正則列
    実際、$M/xM$では、$y(1-x)\equiv y$であり、$M/\igen{x,y(1-x)}M$では$z(1-x)\equiv z$であるので正則列
  • 一方で$y(1-x),z(1-x),x$は正則列でない
    実際、$M/y(1-x)$では$z(1-x)$は零因子である
    ($y\times z(1-x)=zy(1-x)\equiv 0$)

この例によって正則列の順番を入れ替えたら正則列とは限らないことが分かりましたね!これから我々の扱う環は$\CC\{x_{1},\dots,x_{n}\}$なのでNoether局所環です!実は以下のことが分かっています!!

  • $R$がNoether局所環であれば、正則列$f_{1},\dots,f_{p}\in\m$の順番を入れ替えても正則列
  • $f_{1},\dots,f_{p}$が正則列$\iff$任意の$i$について$M/\igen{f_{1},\dots,f_{i-1}}M\overset{f_{i}}{\longrightarrow}M/\igen{f_{1},\dots,f_{i-1}}M$が単射
  • $(V(I),0)\subset(\CC^{n},0)$$n-p$次元解析多様体であることと$ I$の生成元$f_{1},\dots,f_{p}$が正則列をなすことは同値
    この条件を完全交叉(complete intersection)という

最後の完全交叉は、知らなくてもいいですが、今後私が使うかもしれませんので、今ご紹介させていただきます。例えば$\RR^{2}$上で$x=0$$y=0$の共通部分は$\{(0,0)\}$であって、次元は$0$ですね。これは元々$2$次元の集合から$x=0$によって$1$次元下がり最後に$y=0$によってさらに$1$次元下がって$0$次元となりますね。少し一般化して$\CC^{n}$空間内に$p$個の超曲面($n-1$次元の図形のこと)が"ちゃんと"交わっていれば共通部分は$1$ずつ下がるはずです。このちゃんと交わっているという条件が正則という意味なのです。

Koszul複体を帰納的に考えます。この際、$M$を次数加群として考えましょう!

次数環

$R$をAbel群として直和分解$R=\oplus_{d=0}^{\infty} R_{d}$する。($R_{d}$が全てAbel群)
積に関して$R_{d}\cdot R_{e}\subset R_{d+e}$であるとき$R$次数環(graded ring)といい、$R_{d}$の元を斉次元(homogeneous element)という。
$\m:=\oplus_{d>0}R_{d}$無縁イデアル(irrelevamt ideal)という

便宜的に$0$$d$次部分にあると考える;$0\in R_{d}$

多項式環は通常の次数に関して次数環の構造を持っています!確かに$d$次斉次の多項式の足し算の結果は$d$次斉次になりますし、$d$次斉次の多項式に$e$次斉次の多項式を掛けると$d+e$次斉次の多項式になります!また次数が$1$以上、すなわち$\igen{x,y}$は極大イデアルになります!
同様に次数加群を考えましょう!

次数加群

$R$を次数環とする。$R$-加群$M$をAbel群として直和分解$M=\oplus_{d\in \mathbb{Z}} M_{d}$する。($M_{d}$が全てAbel群)
積に関して$R_{d}\cdot M_{e}\subset M_{d+e}$であるときMを次数加群(graded module)といい、$M_{d}$の元を斉次元(homogeneous element)という。

また次数$R$-加群$M=\oplus_{d\in \mathbb{Z}} M_{d}$から次数$R$-加群$N=\oplus_{d\in \mathbb{Z}} N_{d}$への写像$f:M\to N$次数加群の(または、次数を保つ)準同型とは、$f(M_{d})\subset N_{d}$である加群準同型のことをいう。

このようにして加群にも次数の構造が入ります!

例えば$R=M=\CC[x]$とし、単に$x$を乗ずる準同型$f:M\to M;F\mapsto xF$は次数を保ってないですね。これは
困 り ま し た 。 ど う し た も ん か 。
じゃあ次数を付け替えてあげましょう。

次数加群$M=\oplus_{d\in \mathbb{Z}} M_{d}$と整数$l\in\mathbb{Z}$に対して
$M(l)=\oplus_{d\in \mathbb{Z}} M(l)_{d}=\oplus_{d\in \mathbb{Z}} M_{d+l}$
この操作を次数の付け替え(twist)という。

このとき$R$$l$次斉次元$f$による準同型$\varphi:M\to N$は次数加群としての次数準同型$\varphi:M(-l)\supset M(-l)_{d}\ni F\mapsto fF\in N_{d}\subset N$を誘導する。実際$F\in M(-l)_{d}$$(d-l)$次であって、$f$を乗じることで$fF$$d$次になる。

$R=\oplus_{d=0}^{\infty}R_{d}$を体$\KK$上の有限生成な次数環とし、$\m$$R$の無縁イデアルとします。

Koszul複体

$f_{1},\dots,f_{p}$を斉次元の列とし、$d_{i}=\deg f_{i}$とする。
このときKoszul複体を以下で定義。

  • $p=1$のとき
    $K_{\bullet}(f_{1}):0\to K_{1}\overset{f_{1}}{\to}K_{0}\to0$
    ここで$K_{1}=R(-d_{1}), \ K_{0}=R$とし、$f_{i}$を乗じる$R$の次数を保つ準同型になる。
  • $p=2$のとき
    $\begin{eqnarray} \begin{array}{l} K_{\bullet}(f_{1}):&0\to &K(-d_{2})_{1}&\overset{f_{1}}{\longrightarrow}&K(-d_{2})_{0}&\to0\\ &&-f_{2}\downarrow&& \ \ \downarrow f_{2}\\ K_{\bullet}(f_{1}):&0\to & \quad K_{1}&\overset{f_{1}}{\longrightarrow}&\quad K_{0}&\to0 \end{array} \end{eqnarray}$
    斜めに二つの複体をくっつけると、
    $$K_{\bullet}(f_{1},f_{2}):0\to K(-d_{2})_{1}\overset{ \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} f_{1} \\ -f_{2} \end{array} \right) \end{eqnarray} }{\longrightarrow} K(-d_{2})_{0}\oplus K_{1}\overset{(f_{2}, f_{1})}{\longrightarrow} K_{0}\to0$$
    書き換えると
    $$K_{\bullet}(f_{1},f_{2}):0\to R(-d_{1}-d_{2})\overset{ \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} f_{1} \\ -f_{2} \end{array} \right) \end{eqnarray} }{\longrightarrow} R(-d_{2})\oplus R(-d_{1})\overset{(f_{2}, f_{1})}{\longrightarrow} R\to0$$
    ここで新しく
    $K_{2}:=R(-d_{1}-d_{2}), K_{1}:=R(-d_{2})\oplus R(-d_{1}), K_{0}:=R$
    とする。
  • $p-1$まで決まったとすると、
    $\begin{eqnarray} \begin{array}{l} K_{\bullet}(f_{1},\dots,f_{p-1}):&0\to &K(-d_{p})_{p-1}&\overset{\partial_{p-1}}{\longrightarrow}\cdots\overset{\partial_{1}}{\longrightarrow}&K(-d_{p})_{0}&\to0\\ &&\quad \downarrow_{(-1)^{p-1}f_{p}}&& \ \ \downarrow_{f_{p}}\\ K_{\bullet}(f_{1},\dots,f_{p-1}):&0\to & \quad K_{p-1}&\overset{\partial_{p-1}}{\longrightarrow}\cdots\overset{\partial_{1}}{\longrightarrow}&\quad K_{0}&\to0 \end{array} \end{eqnarray}$
    斜めに二つの複体をくっつけると、
    $$K_{\bullet}(f):0\to K(-d_{p})_{p-1}\overset{ \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} \partial_{p-1} \\ (-1)^{p-1}f_{p} \end{array} \right) \end{eqnarray} }{\longrightarrow} K(-d_{p})_{p-2}\oplus K_{p-1}\to \cdots\to K(-d_{p})_{0}\oplus K_{1}\overset{(f_{p},\partial_{1})}{\longrightarrow} K_{0}\to0$$
    書き換えると、$d=d_{1}+\cdots+d_{p}$として
    $$K_{\bullet}(f_{1},f_{2}):0\to R(-d)\overset{ \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} f_{1} \\ -f_{2} \\ f_{3} \\ \vdots \\ (-1)^{p-1}f_{p} \end{array} \right) \end{eqnarray} }{\longrightarrow} R(-d+d_{1})\oplus\cdots\oplus R(-d+d_{p})\to\cdots\to R(-d_{p})\oplus\cdots\oplus R(-d_{1})\overset{(f_{p},\dots,f_{1})}{\longrightarrow} R\to0$$
    ここで新しく
    $K_{p}:=R(-d_{1}-\cdots-d_{p}), \cdots,K_{1}:=R(-d_{p})\oplus\cdots\oplus R(-d_{1}), K_{0}:=R$
    とする。
    参考記事

$p=1,2,3,4$は以下の通り
!FORMULA[194][854697470][0]のKoszul複体 $p=1,2$のKoszul複体
!FORMULA[195][36643586][0]のKoszul複体 $p=3$のKoszul複体
!FORMULA[196][36643617][0]のKoszul複体 $p=4$のKoszul複体
上のファイルをPDFで見たい方はここから(Googleドライブ)

激ヤバすぎる定義ですが、なんとこれだけ分かれば極小自由分解が理解できてしまうんです!

ホモロジー群

複体$C_{\bullet}:\cdots\to C_{k}\overset{\partial_{k}}{\longrightarrow} C_{k-1}\to\cdots$に対して
$H_{k}(C_{\bullet})\defe\Ker(\partial_{k})/\Im(\partial_{k+1})$
$k$次ホモロジー群(homology group)という。
$C_{k}$において完全であることと$k$次ホモロジー群が$0$であることは同値。

$f_{1},\cdots,f_{p}$を正則列とする。このとき対応するKoszul複体$K_{\bullet}(f_{1},\cdots,f_{p})$は剰余環$R/\igen{f_{1},\cdots,f_{p}}$$R$-加群の次数付き極小自由分解を与える。特に
$H_{n}(K_{\bullet}(f_{1},\cdots,f_{p}))=\begin{cases} &R/\igen{f_{1},\cdots,f_{p}} &(n=0)\\ &0 &(n>0) \end{cases}$

証明は$p$に関する帰納法で地道にやればできます!!(演習とします)

Koszul複体の構成を覗いてみましょう!
一旦次数を忘れてみるとなんと!!
\begin{align} &p=1 &&0\to R\to R\to0\\ &p=2 &&0\to R\to R^{2}\to R\to0\\ &p=3 &&0\to R\to R^{3}\to R^{3}\to R\to0\\ &p=4 &&0\to R\to R^{4}\to R^{6}\to R^{4}\to R\to0\\ \end{align}
$R$の右肩に注目してみると、そうです!パスカルの三角形です!!Koszul複体の構成を見るとなんとなく分かるようですが、こんなことが成り立つのオモロいですよね!!

$f=x^{3}+y^{3}+z^{3}\in\CC\{x,y,z\}=R$のMilnor代数$R/J_{f}$について
$J_{f}=\igen{3x^{2},3y^2,3z^2}$であるが、$x^{2},y^2,z^2$は正則列ゆえ
$0\to R(-6)\overset{ \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} x^{2}\\ -y^{2}\\ z^{2} \end{array} \right) \end{eqnarray} }{\longrightarrow}R(-4)\oplus R(-4)\oplus R(-4)\overset{ \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} y^{2} &x^{2} &0\\ -z^{2} &0 &x^{2}\\ 0 &-z^{2} &-y^{2}\\ \end{array} \right) \end{eqnarray} }{\longrightarrow} R(-2)\oplus R(-2)\oplus R(-2)\overset{(z^{2}\ \ y^{2}\ \ x^{2})}{\longrightarrow} R\to R/J_{f}\to0$
は完全列

では、自由分解できたら何が分かるっていうんですか??!!っていう疑問についてですが、、、それはまた次回(か次次回)に。

まとめ

  • 自由分解は$M$自体を調べるかわりに他の自由加群との関係を使って$M$を理解する道具(理解する内容は次回か次次回に)
  • 自由分解の内もっとも簡潔にまとめられたものが極小自由分解
  • 正則列のKoszul複体を使えば極小自由分解ができる
  • Hilbertのsyzygyの定理から次数付き多項式環上の加群の自由分解の長さは上から抑えられる

それでは暑い日が続きますが、お元気で!!イェーヘーアハー

参考文献

[1]
David Eisenbud, Commutative Algebra : with a View Toward Algebraic Geometry, Graduate Texts in Mathematics, Springer-Verlag, 1995, 418-
[2]
永井保成, 代数幾何学入門ー代数学の基礎を出発点としてー, 森北出版, 2021
投稿日:9日前
数学の力で現場を変える アルゴリズムエンジニア募集 - Mathlog served by OptHub

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