26

みゆ🌹の魔法 その4 n乗和の公式を作る裏ワザ

1541
0

みゆ🌹の魔法 その4 n乗和の公式を作る裏ワザ

n乗和の公式ってなんだっけ?


こーゆーのです。

k=1mk0=10+20+30++m0=m
k=1mk1=11+21+31++m1=m(m+1)2
k=1mk2=12+22+32++m2=m(m+1)(2m+1)6
k=1mk3=13+23+33++m3=m2(m+1)24
k=1mk4=14+24+34++m4=m(m+1)(2m+1)(3m2+3m1)30
k=1mk5=15+25+35++m5=m2(m+1)2(2m2+2m1)12
k=1mk6=16+26+36++m6=m(m+1)(2m+1)(3m4+6m33m+1)42
k=1mk7=17+27+37++m7=m2(m+1)2(3m4+6m3m24m+2)24
k=1mk8=18+28+38++m8=m(m+1)(2m+1)(5m6+15m5+5m415m3m2+9m3)90
k=1mk9=19+29+39++m9=m2(m+1)2(2m6+6m5+m48m3+m2+6m3)20
k=1mkn=1n+2n+3n++mn=


学校で覚えさせられた方も多いんじゃないでしょうか。でも、もう丸暗記の必要はありません!

とっておきの裏ワザがございます(*´艸`*)


魔法の手順


[準備するもの] みんな大好きパスカルの三角形(適当な段まで)
111121133114641151010511615201561



右端の 1 をバッサリ消して、間に「+」を埋めます。
:11+21+3+31+4+6+41+5+10+10+51+6+15+20+15+6


n 段目の和は 2n1 です。が、今はあえてこんな感じにします。
:1=11+2=21+3+3=31+4+6+4=41+5+10+10+5=51+6+15+20+15+6=6

ここから、各項に重み付けをして等式が成り立つようにしていきましょう。

一段目の 1=1 については正しいので、すべての段の左から一項目(いっこうめ)1してあげます。(つまり何もしない)
:1=11+2=21+3+3=31+4+6+4=41+5+10+10+5=51+6+15+20+15+6=6

二段目の 1+2=2 については二項目(にこうめ)12 倍すれば辻褄が合うので、すべての段の二項目(にこうめ)12してあげます。
:1=11+22=21+32+3=31+42+6+4=41+52+10+10+5=51+62+15+20+15+6=6

三段目の 1+32+3=3 については三項目(さんこうめ)16 倍すれば辻褄が合うので、すべての段の三項目(さんこうめ)16してあげます。
:1=11+22=21+32+36=31+42+66+4=41+52+106+10+5=51+62+156+20+15+6=6


四段目の 1+42+66+4=4 については四項目(よんこうめ)0 倍すれば辻褄が合うので、すべての段の四項目(よんこうめ)0してあげます。(つまり 0 にする)
:1=11+22=21+32+36=31+42+66+0=41+52+106+0+5=51+62+156+0+15+6=6

五段目の 1+52+106+0+5=5 については五項目(ごこうめ)130 倍すれば辻褄が合うので、すべての段の五項目(ごこうめ)130してあげます。
:1=11+22=21+32+36=31+42+66+0=41+52+106+0+530=51+62+156+0+1530+6=6

六段目の 1+62+156+0+1530+6=5 については六項目(ろっこうめ)0 倍すれば辻褄が合うので、すべての段の六項目(ろっこうめ)0してあげます。(つまり 0 にする)
:1=11+22=21+32+36=31+42+66+0=41+52+106+0+530=51+62+156+0+1530+0=6

以上の操作をお好きな段まで繰り返したら、残りの段を全部消してこんな風にトッピングするとできあがりっ!
:m  =  1  k=1mk0m2  +  22m  =  2  k=1mk1m3  +  32m2  +  36m  =  3  k=1mk2m4  +  42m3  +  66m2  +  0m  =  4  k=1mk3m5  +  52m4  +  106m3  +  0m2  +  530m  =  5  k=1mk4m6+62m5  +  156m4  +  0m3  +  1530m2  +  0m    =    6  k=1mk5


ちなみに、左辺の合計を右辺に関わらず 0 になるように重みをつけていくと、二項目は 12 倍ではなく 12 倍することになります。不思議なことに、それ以外の項の倍率に変化はなく、そのようにして最後の段まで作った場合の右辺はこうなります。
:m  =  1  k=0m1k0m2  +  22m  =  2  k=0m1k1m3  +  32m2  +  36m  =  3  k=0m1k2m4  +  42m3  +  66m2  +  0m  =  4  k=0m1k3m5  +  52m4  +  106m3  +  0m2  +  530m  =  5  k=0m1k4m6  +  62m5  +  156m4  +  0m3  +  1530m2  +  0m    =    6  k=0m1k5



まとめ


お気づきの方もおられるかと思いますが、実は各項につけた重み(倍率)はベルヌーイ数です。

もちろん、ベルヌーイ数を知らない方でもこの裏ワザで知らないうちに求められているので心配はいりません^ー^
(実際、私もこれがベルヌーイ数と呼ばれているものだということを知ったのは後からです。)

より厳密には、最初に求めていた方、つまり右辺が (n+1)k=1mkn の方の倍率は和算家の関さんとベルヌーイさんがそれぞれ別々に発見した歴史的ベルヌーイ数(関・ベルヌーイ数)B^n で、現代数学で一般的に使われるいわゆるベルヌーイ数 Bn とは微妙に違います。(左辺の合計が 0 になるように求めた方、つまり右辺が (n+1)k=0m1kn の方の倍率が Bn です)

k=1mkn=1n+1k=0n(n+1k)B^kmn+1kk=0m1kn=1n+1k=0n(n+1k)Bkmn+1k

両者の違いは km を足すか足さないかということですが、値としては B^1=B1=12 となること以外全て B^n=Bn です。面白いですね!
投稿日:202121
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

https://mathlog.info/articles/323         数学を愛する会 副会長 CCO / ガラパゴ数学 開拓者 / 猫舌・甘党・薄味派

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中