はじめに
この記事では-ナッチ数を-リュカ数の和として表す公式を導出します。
いま多項式
に対し、その根をそれぞれとすると-ナッチ数、-リュカ数はそれぞれ
と表せるのでした。
よって-リュカ数は-ナッチ数を用いて次のように表せることが直ちにわかります。
では逆に-ナッチ数を-リュカ数で表現しようとするとどうなるのでしょうか。それを考えてみたところ以下のような式が得られました。
かなりごちゃごちゃしていますが、具体的にのときを計算してみると
となります。のときの分母に現れるは素数なこともあって、とても実用的とは言えなさそうですね。
証明
上で-リュカ数を-ナッチ数で表したときを思い出すと、に対しを負の冪を許したについての多項式で表せればよいことになります。つまりは以下の等式を示します。
まず
より
が成り立ち、またの有理化を考えると
となるので、このそれぞれの因子を具体的に計算してみましょう。
これは以下の補題から直ちに得られます。
以上より命題1が得られ、冒頭で公式1を導出したのと同様にして公式2を得る。
ちなみにから
とも表せるので-ナッチ数を-リュカ数の以降の項の線形結合で表すこともできるが補題3を見てわかるようにとても煩雑になるのであまりお勧めはしない。