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55^90と99!の大きさ比較問題

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$$\newcommand{a}[0]{\alpha} \newcommand{b}[0]{\beta} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{dis}[0]{\displaystyle} \newcommand{e}[0]{\varepsilon} \newcommand{farc}[2]{\frac{#1}{#2}} \newcommand{g}[0]{\gamma} \newcommand{Gal}[0]{\mathrm{Gal}} \newcommand{id}[0]{\mathrm{id}} \newcommand{Im}[0]{\mathrm{Im}} \newcommand{Ker}[0]{\mathrm{Ker}} \newcommand{l}[0]{\left} \newcommand{ndiv}[0]{\nmid} \newcommand{ol}[1]{\overline{#1}} \newcommand{ord}[0]{\mathrm{ord}} \newcommand{prime}[0]{\mathrm{prime}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{r}[0]{\right} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Re}[0]{\mathrm{Re}} \newcommand{resp}[0]{\mathrm{resp}} \newcommand{s}[0]{\sigma} \newcommand{ul}[1]{\underline{#1}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} \newcommand{z}[0]{\zeta} \newcommand{ZZ}[1]{\mathbb{Z}/{#1}\mathbb{Z}} \newcommand{ZZt}[1]{(\mathbb{Z}/{#1}\mathbb{Z})^\times} $$

はじめに

 この記事では 数学を愛する会 さんがツイートしていた問題

についてまあまあ綺麗な解答が思い付いたのでそれについて解説していきます。

着想

 まず$55,90,99$という数字を見たとき
$$55=\sum^{10}_{k=1}k,\quad90=9\cdot10,\quad99=9\cdot(10+1)$$
だなあと思ってなんとなく$n=10$として
$$55^{90}=\l(\sum^n_{k=1}k\r)^{9n}=\l(\frac{n(n+1)}{2}\r)^{9n},\quad 99!=(9(n+1))!$$
と書き直してみたらふとスターリングの公式
$$n!=\sqrt{2\pi n}\l(\frac{n}{e}\r)^ne^{r_n}\quad \l(\farc{1}{12n+1}< r_n<\frac{1}{2n}\r)$$
が思い浮かびました。これを使うと
$$\l(\frac{n(n+1)}{2}\r)^{9n}\cdot\frac{1}{(9(n+1))!} =\bigg(\frac{n\cdot e}{2\cdot9}\bigg)^{9n}\cdot\l(\farc{e}{9(n+1)}\r)^9\cdot\frac{e^{-r_{9(n+1)}}}{3\sqrt{2\pi(n+1)}}$$
と、まあまあなんとかならないでもない形になったのでこれを評価していきます。

評価

 上式を
\begin{align} A&=\bigg(\frac{n\cdot e}{2\cdot9}\bigg)^{9n}\cdot\l(\farc{e}{9(n+1)}\r)^9\\ B&=\frac{1}{3\sqrt{2\pi(n+1)}}\\ C&=e^{-r_{9(n+1)}} \end{align}
の三つに分けて評価していきます。

$A$の評価

\begin{eqnarray} \l(\frac{n\cdot e}{2\cdot9}\r)^{n}\cdot\farc{e}{9(n+1)} &=&\l(\frac{10e}{18}\r)^{10}\cdot\farc{e}{99} \\&>&\l(\frac{10\cdot2.718}{18}\r)^{10}\cdot\farc{2.7}{99} \\&>&(\l(\frac{27}{18}\r)^{10}+10\l(\frac{27}{18}\r)^9\frac{0.18}{18})\frac{3}{110} \\&>&\l(\frac32+\farc1{10}\r)\frac{3^{10}}{2^9\cdot110} =\frac{2^4}{10}\cdot\frac{59049}{56320} >\frac{2^4}{10} \end{eqnarray}
と評価できるので、これを$9$乗することで
$$A>\l(\frac{2^4}{10}\r)^9=\frac{2^6(2^{10})^3}{10^9}>\frac{64(10^3)^3}{10^9}=64$$
となる。

$B$の評価

$$B=\frac{1}{3\sqrt{22\pi}}>\frac{1}{3\sqrt{25\cdot4}}=\frac1{30}$$
と評価できる。

$C$の評価

 $e^{-x}>1-x$より
$$C>\exp\l(-\frac1{12\cdot99}\r)>1-\frac{1}{12\cdot99}>1-\frac12=\frac12$$
と評価できる。

結論

 以上より
$$\l(\frac{n(n+1)}{2}\r)^{9n}\cdot\frac{1}{(9(n+1))!}>\frac{64}{30\cdot2}>1$$
すなわち
$$55^{90}>99!$$
を得る。

投稿日:2021228
更新日:512

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投稿者

子葉
子葉
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主に複素解析、代数学、数論を学んでおります。 私の経験上、その証明が簡単に探しても見つからない、英語の文献を漁らないと載ってない、なんて定理の解説を主にやっていきます。 同じ経験をしている人の助けになれば。最近は自分用のノートになっている節があります。

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