この記事では 数学を愛する会 さんがツイートしていた問題
55⁹⁰と99!どちらが大きい?
— 数学を愛する会 (@mathlava) February 28, 2021
についてまあまあ綺麗な解答が思い付いたのでそれについて解説していきます。
まず$55,90,99$という数字を見たとき
$$55=\sum^{10}_{k=1}k,\quad90=9\cdot10,\quad99=9\cdot(10+1)$$
だなあと思ってなんとなく$n=10$として
$$55^{90}=\l(\sum^n_{k=1}k\r)^{9n}=\l(\frac{n(n+1)}{2}\r)^{9n},\quad 99!=(9(n+1))!$$
と書き直してみたらふとスターリングの公式
$$n!=\sqrt{2\pi n}\l(\frac{n}{e}\r)^ne^{r_n}\quad
\l(\farc{1}{12n+1}< r_n<\frac{1}{2n}\r)$$
が思い浮かびました。これを使うと
$$\l(\frac{n(n+1)}{2}\r)^{9n}\cdot\frac{1}{(9(n+1))!}
=\bigg(\frac{n\cdot e}{2\cdot9}\bigg)^{9n}\cdot\l(\farc{e}{9(n+1)}\r)^9\cdot\frac{e^{-r_{9(n+1)}}}{3\sqrt{2\pi(n+1)}}$$
と、まあまあなんとかならないでもない形になったのでこれを評価していきます。
上式を
\begin{align}
A&=\bigg(\frac{n\cdot e}{2\cdot9}\bigg)^{9n}\cdot\l(\farc{e}{9(n+1)}\r)^9\\
B&=\frac{1}{3\sqrt{2\pi(n+1)}}\\
C&=e^{-r_{9(n+1)}}
\end{align}
の三つに分けて評価していきます。
\begin{eqnarray}
\l(\frac{n\cdot e}{2\cdot9}\r)^{n}\cdot\farc{e}{9(n+1)}
&=&\l(\frac{10e}{18}\r)^{10}\cdot\farc{e}{99}
\\&>&\l(\frac{10\cdot2.718}{18}\r)^{10}\cdot\farc{2.7}{99}
\\&>&(\l(\frac{27}{18}\r)^{10}+10\l(\frac{27}{18}\r)^9\frac{0.18}{18})\frac{3}{110}
\\&>&\l(\frac32+\farc1{10}\r)\frac{3^{10}}{2^9\cdot110}
=\frac{2^4}{10}\cdot\frac{59049}{56320}
>\frac{2^4}{10}
\end{eqnarray}
と評価できるので、これを$9$乗することで
$$A>\l(\frac{2^4}{10}\r)^9=\frac{2^6(2^{10})^3}{10^9}>\frac{64(10^3)^3}{10^9}=64$$
となる。
$$B=\frac{1}{3\sqrt{22\pi}}>\frac{1}{3\sqrt{25\cdot4}}=\frac1{30}$$
と評価できる。
$e^{-x}>1-x$より
$$C>\exp\l(-\frac1{12\cdot99}\r)>1-\frac{1}{12\cdot99}>1-\frac12=\frac12$$
と評価できる。
以上より
$$\l(\frac{n(n+1)}{2}\r)^{9n}\cdot\frac{1}{(9(n+1))!}>\frac{64}{30\cdot2}>1$$
すなわち
$$55^{90}>99!$$
を得る。