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小学生から始める線形代数超入門!

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小学生(しょうがくせい)から(はじ)める線形代数(せんけいだいすう)超入門(ちょうにゅうもん)

金魚(きんぎょ)何匹(なんびき)





問題(もんだい)

太郎(たろう)くんの金魚鉢(きんぎょばち)には、(あか)金魚(きんぎょ)が3(びき)(くろ)金魚(きんぎょ)が2(ひき)います。
さきほど、金魚(きんぎょ)すくいで(あか)金魚(きんぎょ)を1(ぴき)(くろ)金魚(きんぎょ)を3(びき)
ゲットしたので、さっそくドヤ(がお)金魚鉢(きんぎょばち)()れました。
さて、金魚鉢(きんぎょばち)(なか)金魚(きんぎょ)はそれぞれ何匹(なんびき)になったでしょう。

$$\begin{pmatrix}3\\2\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}1\\3\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}4\\5\end{pmatrix} $$

こたえ. (あか)金魚(きんぎょ)が4(ひき)(くろ)金魚(きんぎょ)が5(ひき)

[ポイント]

$\begin{array}{c} \textcolor{#f00}{●●●}&&\textcolor{#f00}{●}&&\textcolor{#f00}{●●●●}\\ \begin{pmatrix}\textcolor{#f00}{3}\end{pmatrix}&+&\begin{pmatrix}\textcolor{#f00}{1}\end{pmatrix}&=&\begin{pmatrix}\textcolor{#f00}{4}\end{pmatrix} \\[24pt] \textcolor{#f00}{●●●}&&\textcolor{#f00}{●}&&\textcolor{#f00}{●●●●}\\ ●●&&●●●&&●●●●●\\ \begin{pmatrix}\textcolor{#f00}{3}\\2\end{pmatrix}&+&\begin{pmatrix}\textcolor{#f00}{1}\\3\end{pmatrix}&=&\begin{pmatrix}\textcolor{#f00}{4}\\5\end{pmatrix} \end{array}$


赤黒(あかくろ)まとめてではなく、それぞれ()けて(かぞ)える問題(もんだい)です。
別々(べつべつ)(かぞ)えたいものはタテにならべてそれぞれ計算(けいさん)しましょう。

(くすり)どんだけ()むの?





問題(もんだい)

太郎(たろう)くんは仮病(けびょう)(わずら)ってしまい、病院(びょういん)()かされました。
どういうわけかお医者(いしゃ)さまから処方箋(しょほうせん)(わた)されたので、
しかたなく()きつけの薬屋さん(ドラッグストア)へ行くと、毎晩(まいばん)()(まえ)
(あか)いお(くすり)を4()(くろ)いお(くすり)を9()()むように()われ、
7日分(なのかぶん)()されました。もしこのお(くすり)を言いつけどおりに
()むと、全部(ぜんぶ)でそれぞれいくつずつ()むことになるでしょう。

$$\begin{pmatrix}4\\9\end{pmatrix}\times7=\begin{pmatrix}4\times7\\9\times7\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}28\\63\end{pmatrix} $$

こたえ. (あか)いお(くすり)を28()(くろ)いお(くすり)を63()

[ポイント]

仮病(けびょう)したばっかりにタイヘンなことになってしまいましたね。
ここでも別々(べつべつ)(かぞ)えたいものはタテにならべてそれぞれ計算(けいさん)しましょう。

それおはじきやない、ドロップや





問題(もんだい)

節子(せつこ)さんは昨日(きのう)、1(はこ)10()()りのドロップを3(はこ)もらいました。
そして今日(きょう)は1(はこ)()()のドロップを4(はこ)もらいました。
この2日間(かかん)で、節子(せつこ)さんはドロップを何個(なんこ)もらったでしょう。

$$\begin{pmatrix}10&5\end{pmatrix}\times\begin{pmatrix}3\\4\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}10\times3~+~5\times4\end{pmatrix}=50 $$

こたえ. 50()

[ポイント]

今回(こんかい)別々(べつべつ)にではなくまとめて(かぞ)える問題(もんだい)です。
ひとまとめに(かぞ)えたいのはドロップの(かず)で、そのような(かず)はヨコにならべて計算(けいさん)します。
ドロップの(はこ)(かず)についてはその合計(ごうけい)()かれているわけではなく、ひとまとめにしたドロップそれぞれがどれだけあるのかを(しめ)した(かず)なので、(はこ)(かず)はタテにならべて書いています。

 [まとめて(かぞ)えたい(かず)]$\times$[それぞれいくつずつ]

という順番(じゅんばん)()くのですが、大切(たいせつ)なのはこの2つを区別(くべつ)して(かんが)える把握力(はあくりょく)のほうで、表記(ひょうき)ルールは便宜上(べんぎじょう)(なら)わしにすぎません。ただしこれを区別(くべつ)せずフリーダムにしてしまうと、あとあともう(すこ)複雑(ふくざつ)計算(けいさん)をするときに(なに)をやってるのか混乱(パニック)()きがちなので、とりあえずはこの()(かた)()れておくのが無難(ぶなん)かも。

 もっとも、あまりこのトピックに()れると超算数警察(ちょうさんすうけいさつ)という秘密組織(ひみつそしき)にマークされちゃうらし$\cdots$おっと、(だれ)()たようですね。

それドロップと、おはじきや





問題(もんだい)

節子(せつこ)さんは昨日(きのう)、10()()りのドロップにオマケで
おはじきが1()だけ(はい)ってる(はこ)を3(はこ)もらいました。
そして今日(きょう)は5()()りのドロップにオマケで
おはじきが2()(はい)ってる(はこ)を4(はこ)もらいました。
この2日間(かかん)で、節子(せつこ)さんはドロップとおはじきを
それぞれいくつずつもらったことになるでしょう。

$$\begin{align}\begin{pmatrix}10&5\\1&2\end{pmatrix}\times\begin{pmatrix}3\\4\end{pmatrix}=&\begin{pmatrix}\begin{pmatrix}10&5\end{pmatrix}\times\begin{pmatrix}3\\4\end{pmatrix}\\\begin{pmatrix}~~1&2\end{pmatrix}\times\begin{pmatrix}3\\4\end{pmatrix}\end{pmatrix}\\[4pt] =&\begin{pmatrix}\begin{pmatrix}10\times3~+~5\times4\end{pmatrix}\\\begin{pmatrix}~~1\times3~+~2\times4\end{pmatrix}\end{pmatrix}\\[4pt] =&\begin{pmatrix}50\\11\end{pmatrix}\quad \end{align}$$

こたえ. ドロップを50()とおはじきを11個

[ポイント]

まとめて(かぞ)えたい(かず)が2種類(しゅるい)あって、それぞれについて計算(けいさん)する問題(もんだい)です。
さきほどの問題(もんだい)を2回にわけてそれぞれ計算(けいさん)するだけなので()ちついて(かんが)えれば大丈夫(だいじょうぶ)。もしどうしても()からなくなってしまったら問題(もんだい)2と問題(もんだい)3を復習(ふくしゅう)してみましょう。

どんだけ()べるの?





問題(もんだい)

メニューに、ハンバーガー1()とナゲット3()(エー)セットと、
ハンバーガー2()とナゲット5()(ビー)セットがありました。
太郎(たろう)くんは(エー)セットを2つと(ビー)セットを4つ()べ、
節子(せつこ)さんは(エー)セットを5つと(ビー)セットを3つ()べたのですが、
いったい二人(ふたり)はハンバーガーとナゲットをそれぞれ何個(なんこ)ずつ
()べたのでしょう。

$$\begin{align}\begin{pmatrix}1&2\\3&5\end{pmatrix}\times\begin{pmatrix}2&5\\4&3\end{pmatrix}=&\begin{pmatrix}\begin{pmatrix}1&2\end{pmatrix}\times\begin{pmatrix}2\\4\end{pmatrix}&\begin{pmatrix}1&2\end{pmatrix}\times\begin{pmatrix}5\\3\end{pmatrix}\\\begin{pmatrix}3&5\end{pmatrix}\times\begin{pmatrix}2\\4\end{pmatrix}&\begin{pmatrix}3&5\end{pmatrix}\times\begin{pmatrix}5\\3\end{pmatrix}\end{pmatrix}\\[4pt] =&\begin{pmatrix}\begin{pmatrix}1\times2~+~2\times4\end{pmatrix}&\begin{pmatrix}1\times5~+~2\times3\end{pmatrix}\\\begin{pmatrix}3\times2~+~5\times4\end{pmatrix}&\begin{pmatrix}3\times5~+~5\times3\end{pmatrix}\end{pmatrix}\\[4pt] =&\begin{pmatrix}10&11\\26&30\end{pmatrix}\quad \end{align}$$

こたえ.

 太郎(たろう)くんはハンバーガーを10()とナゲットを26()

 節子(せつこ)さんはハンバーガーを11()とナゲットを30()

[ポイント]

これまでの問題(もんだい)総決算(そうけっさん)一人(ひとり)ひとりそれぞれに別々(べつべつ)(かぞ)えたいものがあるので、(すこ)しややこしい問題(もんだい)ですね。
ハンバーガーとナゲットをそれぞれ何個(なんこ)という(かず)についてはこれまでどおりタテに()いてますが、太郎(たろう)くんと節子(せつこ)さんそれぞれが(なん)セットずつ()べたのかという(かず)(くみ)はまとめて(かぞ)えたいというワケではないのにヨコにならべてますよね。というのも、こっちまでタテにしてしまうとタテがタテに2つならぶことになって()にくくなってしまうんです。こういうときもヨコにならべて()くので、混同(こんどう)しないようにね。

このような計算(けいさん)では [まとめて(かぞ)えたい(かず)] と [それぞれいくつずつ] の(ちが)いを区別(くべつ)できることがとても大事(だいじ)なので、キチンと意味(いみ)理解(りかい)しながら計算(けいさん)するように(こころ)がけましょう。

おうちのかたへ


ベクトル、行列、基底$\cdots$ 難しい言葉なんて使わなくても、線形代数の基礎的な考え方ならば日常に溢れています。小学生にはまだ早い、ムリだ、などと言うのは、もしかしたら抽象的な説明や専門用語の多用、計算手順の丸暗記という形でしか教えられない大人側の都合にすぎないのかも知れません。

これからは機械学習の時代。四則演算に慣れてしまった早熟気味なお子様に、それとなくでも線形代数の基本的な概念・捉え方に触れさせ、将来本格的に学ばれるときの布石を作ってさしあげてはいかがでしょうか。


$\cdots$なあんてね(*´∀`*)

コンセプトに合わせてなんかそれっぽいこと書いてみたら期せずしてガチな内容になってしまいオチが迷子に(笑)
投稿日:202134
更新日:212

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投稿者

https://mathlog.info/articles/323         数学を愛する会 副会長 COO CTO       ガラパゴ数学 開拓者             猫舌・甘党・薄味派

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