初めましてごきげんようみなさま.
フラワと申します!
今回記事書くのは初ですので拙いところ多々あると思いますが大目に見てくだされば幸いです.
(先に断っておきますが$n$は2以上の整数です.まあ$0$入れたら謎概念なので.あと$n=1$は自明なので.何のことやらわからない方は後々わかるはず.)
今回のテーマは相加平均と相乗平均の大小関係です.
皆さん最もよくご存じの形は,
すべての$a,b\geq0$に対し,
$$
\frac{a+b}{2} \geq \sqrt{ab}$$ が成り立ち,等号成立条件は$a=b$
だと思います.
実はこれ数字3つでも同じように成り立ちます.
すべての$a,b,c\geq0$に対して,
$$
\frac{a+b+c}{3} \geq \sqrt[3]{abc}$$が成り立ち,等号成立条件は$a=b=c$
文字が2個から3個に,数字の2を3に換えた感じですね.
ではここで一つの疑問(というか予想)
$a_{k}(k=1,2,\cdots,n)$が全て$0$以上で$\displaystyle\frac{1}{n} \sum_{k=1}^{n}a_{k} \geq \sqrt[n]{\prod_{k=1}^{n}a_{k}}$であり
等号成立条件は,$a_{1}=a_{2}= \cdots =a_{n}$
である.
実はこちらも成立するんですね.
今回のゴールはこれを示していくことになります!
$\sqrt{a}$は2乗して$a$になる数ですが,$\sqrt[n]{a}$は$n$乗して$a$となる数です.
$$
\begin{aligned}
\sum_{k=1}^{n}a_{k}=a_{1}+a_{2}+a_{3}+ \cdots +a_{n}
\\
\prod_{k=1}^{n}a_{k}=a_{1} \times a_{2}\times a_{3}\times \cdots\times a_{n}
\end{aligned}
$$
定理1は皆さん証明おさえていると思います.(おさえてなかったらチャレンジするもよし!!!今回の証明法を使って証明してみるもよし!!!)
定理2(3つver)の証明についてはいろんな証明があると思いますが,一般的な証明法は別サイトや参考書等を参照ください.
今回は$n$個で成り立つ証明につながるような証明をしていこうと思います!
(今回3で理解できれば勝負終了!勝ったようなものです!3が大変かもしれませんが頑張ってついてきてくれると嬉しいです!)
すべての$a,b,c\geq0$に対して,
$$
\frac{a+b+c}{3} \geq \sqrt[3]{abc}$$が成り立ち,等号成立条件は$a=b=c$
$a,b,c$のいずれかが$0$のときは$abc=0$で,$a,b,c\geq0$から当然成り立つので,以下では$a,b,c$がいずれも$0$でないもの,即ち
$$a,b,c\gt0$$
として考える.
(また,$a=b=c$のとき,当然等号成立なことはわかるとおもうので今回は割愛.)
$a=b=c$ではないものとして考える.
つまり,
$$\frac{a+b+c}{3}\gt \sqrt[3]{abc} $$
を示せばよい.
$$\frac{a+b+c}{3}=A$$とおく.($a,b,c$の平均を$A$とおいた)
$a=b=c$ではないので,$a,b,c$の全てが$A$と等しいというわけではない.(部分否定)
まず重要なことが,$A$が平均ということを踏まえると,平均より上の数が存在すれば下の数も必然的に存在するということ.$a,b,c$どれが上でも下でもよいので,(よく対称性より,と言ったりします.)$a\gt A$,$b\lt A$としましょう.($c$については今段階どちらでもよいです.)
$a+b+c$の値が変わらないように次のように文字の置き換えを行う.
$\begin{eqnarray}
\left\{\begin{array}{l}
x=A \\\
w=a+b-A
\end{array}\right.\end{eqnarray}$
とすると和は変化しない.($x+w+c=a+b+c$,のように)
問題は積がどう変化したかだ.
$abc$と$xwc$の大小を比較すると,
$xwc-abc=c(xw-ab)$で,$c\gt0$から,$xw-ab$の正負を考えればよい.
以下囲い枠は$xw-ab$の式変形
$xw-ab=A(a+b-A)-ab =Aa+Ab-A^{2}-ab$
(与式)$=a(A-b)+A(b-A)=a(A-b)-A(A-b)=(A-b)(a-A)$
つまり,$xw-ab$を変形すると,$(A-b)(a-A)$となるのです.
ここで証明はじめのことを思い出すと,$a\gt A$,$b\lt A$という条件を課しましたので,$(A-b)$と$(a-A)$はともに正の数ですね.
よって,$(A-b)(a-A)$$\gt 0$ となり,$xwc-abc=c(xw-ab)$$\gt 0$
(ちなみに,$A$と$a$,$A$と$b$の大小関係が仮に逆でもどちらも負の数になり,その掛け算は結局正になります.)
つまり$xwc\gt abc$が成り立つ.$\cdots①$
さて今度はまた同様に,
$x,w,c$に対して同じことを考えてみよう.
ここで,$a,b,c$と$x,w,c$は総和も文字数も変化していないのでその平均も変化しない.
$$\frac{x+w+c}{3}=A$$
$x+w+c$の値が変わらないように次のように文字の置き換えを行う.
$\begin{eqnarray}
\left\{\begin{array}{l}y=A \\\ z=y+c-A\end{array}\right.\end{eqnarray}$
とすると和は変化しない.($x+y+z=x+w+c$)
以前と同様に,$xwc$と$xyz$の大小を比較すると,
$xyz-xwc=x(yz-wc)$で,$x=A\gt0$から,$yz-wc$の正負を考えればよい.
先ほどと同様にして,(先ほどの式変形と全く同じことをします.)
$yz-wc$を変形すると,$(A-w)(c-A)$となります.
ここで,$w,c$は,$A$より$w$が大きいなら$c$は$A$より小さいし,その逆もしかり.(理由は$A$が平均ということを踏まえると,平均より上の数が存在すれば下の数も必然的に存在するからですね.また$x$は平均そのものであることも踏まえましょう.)
$xyz-xwc=x(A-w)(c-A) \geq0 $が成り立ちます.
よって, $xyz-xwc\geq 0$から,$xyz\geq xwc$$\cdots②$
また,$x=y=A$であり,$\frac{x+y+z}{3}=A$から,$x=y=z=A$である.
$①,②$をまとめると,
$$
xyz\geq xwc \gt abc$$が成り立ちます.
これらはすべて正の数であり,3乗根をとってもその大小関係は変化しないので,
$\sqrt[3]{xyz}$$\geq \sqrt[3]{xwc} \gt \sqrt[3]{abc} $
$x=y=z=A$より,$xyz=A^{3}$となり,
$A= \sqrt[3]{A^{3}} =\sqrt[3]{xyz}$$\gt\sqrt[3]{abc} $
つまり,$A\gt \sqrt[3]{abc} $
$$A=\frac{a+b+c}{3}\gt \sqrt[3]{abc} $$
となり,題意は示された.
以上が相加相乗3個verになりますが,少し長かったですね,ちょっとだけ休憩がてらまとめましょうか.
ことの本質は,$a,b,c$という文字がありますが,これらの和が一定の場合,
それぞれの値がバラバラな値であるよりも,同じ値であった方が,その積は大きいということになります.
概略は
和が等しい3組$(a,b,c),(x,w,c),(x,y,z)$について,
組$(a,b,c)$と,それよりも最低一つは平均と同じ値が多くなった($a$をとにかく$A$に置き換えてみた)ような組$(x,w,c)$の積をそれぞれ比較してみると後者の方が大きいことが分かった.
組$(x,w,c)$と,それよりも最低一つは平均と同じ値が多くなった($w$を$A$に置き換えてみた)ような組$(x,y,z)$の積をそれぞれ比較してみると後者が前者以上であることが分かった.
つまり,$(a,b,c)$と,$(x,y,z)$では後者の方が積は大きい.
また,$(x,y,z)$はすべてが平均のとき,つまり,$x=y=z$である,から,$(a,b,c)$の平均と同じ値(等号成立条件)であった.
このようにして,和が変化しないように平均に近づけていけばその積は大きくなることが分かりましたね!
さてここからが本題です!
これを何度も繰り返せば$n$で一般化できそうじゃないですか?
ここまで理解できればあと少しもうひと踏ん張り!
では早速行きましょう.
以下を示す.
$a_{k}(k=1,2,\cdots,n)$が全て$0$以上で$\displaystyle\frac{1}{n} \sum_{k=1}^{n}a_{k} \geq \sqrt[n]{\prod_{k=1}^{n}a_{k}}$であり
等号成立条件は,$a_{1}=a_{2}= \cdots =a_{n}$
である.
証明
$0$以上の$a_{k}(k=1,2, \cdots n)$について,最低一つ$0$が存在するとき,総和は$0$以上であり,その積は$0$となるので,題意を満たす.
以下$1$以上$n$以下の任意の整数$k$に対して$a_{k}≠0$として考える.
また,その平均値を$A$即ち,
$\displaystyle \frac{1}{n} \sum_{k=1}^{n}a_{k}$$=A$とし,
$a_{k} (k=1,2, \cdots n)$のうち$A$と等しくないものの個数を$l$個とする.
$(Ⅰ)$ $l=0$のとき
総和総積共にAであり,等号成立.
$(Ⅱ)$ $l>0$のとき
(このとき自明に,$n \geq 2$である.)
$A$は平均であるから,$a_{i}>A$,$a_{j}< A$なる$1$以上$n$以下の相異なる整数$i$,$j$が存在する.(言葉で言うならAが平均だからAより大きいものがあれば小さいものも必要,逆も然りと言うこと)
以降そのような$i$と$j$を用いる.
ここで以下の操作を上記のような$i$,$j$が存在する限り続けることを考える.
操作
$m$回の操作を行った数列$\{a_{n}^{(m)}\}$ を
$a_{k}^{(m)} (k=1,2, \cdots n)$とし,
$\{a_{n}^{(0)}\}$を$a_{k}(k=1,2, \cdots n)$とする.
数列$\{a_{n}^{(m)}\}$ の和を変えないように$A$と異なる$a_{i}^{(m)},a_{j}^{(m)}$を次のように置き換える操作をし,数列$\{a_{n}^{(m+1)}\}$ を作る.
$$
\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
a_{i}^{(m+1)}=A\\
a_{j}^{(m+1)}=a_{i}^{(m)}+a_{j}^{(m)}-A\\
a_{k}^{(m+1)}=a_{k}^{(m)} (k≠i,j)
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
$$
$$
a_{k}^{(m)}(k=1,2, \cdots n), a_{k}^{(m+1)}(k=1,2, \cdots n)
$$
のそれぞれの総積を
$P_{m},P_{m+1}$とする.
$$
P_{m+1}-P_{m}=(\prod_{k=1}^{n}a_{k}^{(m+1)})-(\prod_{k=1}^{n}a_{k}^{(m)})=(a_{i}^{(m+1)}a_{j}^{(m+1)}-a_{i}^{(m)}a_{j}^{(m)})X
$$
ただし,$\displaystyle X= \frac{1}{a_{i}^{(m)}a_{j}^{(m)}} \prod_{k=1}^{n}a_{k}^{(m)}$($i$と$j$の項を除いた積)であり,$X>0$
(与式)$=(A-a_{i}^{(m)})(a_{j}^{(m)}-A)X>0 $ $(∵ A-a_{i}^{(m)}<0 \land a_{j}^{(m)}-A<0 \land X>0)$
即ち,$P_{m}< P_{m+1}$が成り立つ.$\cdots①$
1回の操作によって$a_{i}^{(m)}$が$A$となるので,値が$A$となる項は最低一つ増える.
(操作は高々$n$回と言っても良いが,厳密には$n-1$回であることを示しておく)
$n-1$個の項がAとなったとき,残りの項の値を$y$とすると,$\frac{1}{n}{(n-1)A+y}=A \Longleftrightarrow y=A (n \geq2)$
よって操作は高々$n-1$回で終了する.そのとき$z$回目で終了するとすると,$P_{z}$が$A^{n}$であり,$①$より,
$$
P_{0}< P_{1}< \cdots < P_{z}=A^{n}
$$
となるので,$P_0< A^n$が成り立つ.
つまり,
$\displaystyle\frac{1}{n} \sum_{k=1}^{n}a_{k}= A= \sqrt[n]{A^{n}} >\sqrt[n]{P_0}=\sqrt[n]{\prod_{k=1}^{n}a_{k}}$
が成り立つ.
以上より,$(Ⅰ),(Ⅱ)$を合わせて.
$\displaystyle\frac{1}{n} \sum_{k=1}^{n}a_{k} \geq \sqrt[n]{\prod_{k=1}^{n}a_{k}}$であり
等号成立条件は,$a_{1}=a_{2}= \cdots =a_{n}$
が成り立つ. $\cdots◾️$
以上が証明になります.
如何でしたでしょうか!!!
書き方が下手で分かりにくい点もあるかもしれませんがそこはご了承していただけますと幸いです!
ではこの証明を少しだけまとめます!
まとめ.
平均$A$と違う値があるとき,それは$A$より大きい値も小さい値も存在することを意味する.(これは利用して次の大小関係を示すのに利用できた.)
$A$からのズレを総和を変えない(平均を$A$から変えない)ように無理やり$A$に近づける数列を新たに作ったとき,その数列の積は元の数列の積より大きいことが言えた.
では数列の積に関して,
それを繰り返して行けば単調増加性を示しているので増加し続け,その操作を可能な最大回数行った時が当然最大となる.
その最大と言うのが全て平均になったときである.またそれは等号成立であった.
と言う流れでした!
この証明の面白いところが所謂高級とされるものを使っていないのではないかなと言うところです!
(私の知っている証明ですが)数学的帰納法も少し変則的な使い方してる気がしますし.倍々帰納法とか少し難しくないですか!?
それに比べるとこの「総和が変わらないように置き換えを行う」という点さえ抑えれば試験でも書けるかもです!
(記述するとしたら態々ここまで丁寧に数列の定義をした操作をせずとも,簡単に数列$\{b_{n}\}$を使って一回置き換えの例を見せてこれを繰り返して,って書けば結構点は取れるのかなと思ったりしてます!)
世の中には既出なのかもですが私は今までに見たことない証明で,もっと広まっても良いのかなって思います!(文系でも証明できるし!)
皆さんも有名定理や不等式等の自分なりの示し方を試してみると面白いかも知れませんね!
では私からは以上です.
ここまでめげずに読み切ってくれた皆様,ありがとうございます.
そして,本当にお疲れさまでした!
皆さまの日常に,良き数学の彩りがあらんことを.それでは,ごきげんよう.
(もしかしたら作問解説をいつかする可能性も?)