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はさみうちの原理を使わないと解けないって誰が決めつけたんだ!

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こんにちは半額です。
本日は数3頻出の、分数型漸化式のはさみうちの原理による解法に一石を投じたいと思います。実は特別なことをしなくても一般項が出せるんです!
例として、以下の問題を用意しました。

$xy$座標において,
$O$を原点,円$C$:$x^2+y^2=1$,点$A(1,0)$と定め,円$C$上に$\angle AOP_1=θ_n$となるよう第$1$象限に点$P_1$をとる.
いま自然数$n$に対して,$\angle AOP_n=θ_n(0<θ<\frac{π}{2})$となる円$C$上の点$P_n$における円$C$の接線と$y$軸との交点を$Q_n$,直線$AQ_n$と円$C$との$A$でない交点を$P_{n+1}$とする.
$sinθ_1=\frac{π}{6}$,$a_n=\frac{1}{sinθ_1}$であるとき,
(1)$a_{n+1}$$a_n$で表せ.

(2)$$\lim_{n \to \infty}a_n$$の値を求めよ.

(3)$$S_n= \sum_{k=1}^{n}(a_k-\frac{1}{a_k})$$ とする. $$\lim_{n\to\infty}S_n $$を求めよ.

(1)は本題ではないので簡潔に。

(1)$P_n$における円$C$の接線の方程式は
$xcosθ_n+ysinθ_n=1$(…$l$とおく).
$l$$y$軸との交点は,$x=0$を代入して,
$y=\frac{1}{sinθ_n}=a_n$ $ \therefore Q_n(0,a_n)$
よって直線$AQ_n$の方程式は,$y=-a_nx+a_n$(…$m$とおく).
$m$と円$C$との$A$でない交点は
$P_{n+1}(\frac{a_n^2-1}{a_n^2+1},\frac{2a_n}{a_n^2+1})$
他方,$P_{n+1}(cosθ_{n+1},sinθ_{n+1})$と表せることから,
$sinθ_{n+1}=\frac{2a_n}{a_n^2+1}$
$\therefore a_{n+1}=\frac{1}{2}(a_n+\frac{1}{a_n})$

(2)ですが、まずは正攻法から。
特性方程式を解くと、極限値が1と予想できます。

(2)$a_{n+1}-1$
$=\frac{(a_n-1)^2}{2a_n}$
$=\frac{1}{2}(1-\frac{1}{a_n})(a_n-1)$
$0<θ_n<\frac{π}{2}$より,$0< sinθ_n<1$

ゆえに$a_n-1>0$かつ$\frac{1}{2}(1-\frac{1}{a_n})<\frac{1}{2}$であるから,
$0< a_n-1<\frac{1}{2}(a_{n-1}-1)<(\frac{1}{2})^{n-1}\cdot(a_1-1)$

$$\lim_{n \to \infty} (\frac{1}{2})^{n-1}\cdot(a_{1}-1)=0$$ であるから,はさみうちの原理により
$$\lim_{n\to\infty}(a_n-1)=0$$
$$\therefore \lim_{n\to \infty}a_n=1$$

それでは本題…の前に(3)を済ませておきますね。少し発想力が必要です。

(3)$a_n-a_{n+1}=\frac{1}{2}(a_n-\frac{1}{a_n})$
$a_n-\frac{1}{a_n}=2(a_n-a_{n+1})$
$$\lim_{n\to \infty}S_n=\lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^{n}2(a_k-a_{k+1})$$
$=2(a_1-1)$
$=2(\because a_1=\frac{1}{sin\frac{π}{6}}=2) $

お待たせいたしました。お待たせしすぎたかもしれません。
では、本題の漸化式$a_{n+1}=\frac{1}{2}(a_n+\frac{1}{a_n})$を解いていきましょう。

$a_{n+1}-1=\frac{(a_n-1)^2}{2a_n}$

$a_n-1=b_n$とおくと,$b_{n+1}=\frac{b_n^2}{2(b_n+1)}$
$b_n=a_n-1>0$より,$\frac{1}{b_{n+1}}=\frac{2}{b_n}+\frac{2}{b_n^2}$

$ \frac{1}{b_n}=c_n$とおくと,$c_{n+1}=2c_n^2+2c_n$
$c_{n+1}+\frac{1}{2}=2(c_n+\frac{1}{2})^2$

$c_n+\frac{1}{2}=d_n$とおくと,$d_{n+1}=2d_n^2$
$$\log_2d_{n+1}=1+2\log_2d_{n}$$
$\log_2d_n=e_n$とおくと,
$e_{n+1}=1+2e_n$
$e_{n+1}+1=2(e_n+1)$
$e_{n}+1=2^{n-1}(e_{1}+1)$

ここで,
$e_1$
$=\log_2d_1$
$=\log_2(c_1+\frac{1}{2})$
$=\log_2(\frac{1}{b_1}+\frac{1}{2})$
$=\log_2(\frac{1}{a_1-1}+\frac{1}{2})$
$=\log_23-1$
であるから,

$e_n=2^{n-1}\log_23-1$
$d_n=2^{2^{n-1}\log_23-1}$
$=\frac{1}{2}\cdot 3^{2^{n-1}}$
$c_n=\frac{1}{2}\cdot 3^{2^{n-1}}-\frac{1}{2}$
$=\frac{1}{2}(3^{2^{n-1}}-1)$
$b_n=\frac{2}{3^{2^{n-1}}-1}$
$\therefore a_n=\frac{2}{3^{2^{n-1}}-1}+1$

よって

$$\lim_{n\to\infty}a_n=1$$

となり、同様の結果が得られました。
少々煩雑ですが、全て高校で学習する基礎的な解法の連続なので、漸化式の練習にはもってこいだと思います。

はさみうちのやり方がわからないときに、ゴリ押しの解法のひとつとして頭の片隅に潜ませておいていただければ幸いです。
それではまた。人生に、数学の視点を!

投稿日:227
更新日:38

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