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乗法的微積分における分数階微積分学

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はじめに

こんにちは。今日は乗法的微積分を分数階微積分学にもっていきたいと思います。

乗法的積分について

乗法的積分では次が成り立ちます。

乗法的積分の式

$$\prod_{}^{}\sqrt[dx]{df(x)}^{dx}=Cf(x)$$

乗法的積分と普通積分の変換

$$\prod_{}^{}f^*(x)^{dx}=\exp( \int_{}^{}\ln f{(x)}dx)$$

反復積分に関するコーシーの公式

$$ f^{-n}(x)= \int_{a}^{x} (x-t)^{n-1}f(t)dt $$
普通積分では分数階微積分の式を作るためにこちらを導入しました。
乗法的積分でも似たような式が作れるか予想を立てたいと思います。

式の予想

乗法的積分と普通積分の変換、指数、対数の関係を利用して…

乗法的積分版コーシーの公式

$$g^{-n}(x)=\exp{( \frac{1}{(n-1)!} \int_{a}^{x}(x-t)^{n-1}\ln f(t)dt)}$$

証明

数学的帰納法でいきます。
$n=1$を代入すると、
$$ g^{-1}(x)=\exp{( \int_{a}^{x}\ln f(t)dt)} $$
乗法的積分と普通積分の変換の式(定理$2$)になるため、成立します。
続いて、$n=k$のとき成立すると仮定します。
$n=k+1$のとき、$x$について微分します。
$$ \frac{d}{dx}\ln{(g^{-k-1}(x))}=\frac{d}{dx}\frac{1}{k!} \int_{a}^{x}(x-t)^k\ln f(t)dt $$
ライプニッツの法則
$$\frac{d}{dx} \int_{a}^{x}f(x,t)dt=f(x,x)+ \int_{a}^{x} \frac{ \partial }{ \partial x }f(x,t)dt$$
を利用し、
$$\frac{d}{dx}\ln{(g^{-k-1}(x))}= \frac{1}{k!}(0+\int_{a}^{x}k(x-t)^{k-1}\ln f(t)dt$$
$$ =\frac{1}{(k-1)!}\int_{a}^{x}(x-t)^{k-1}\ln f(t)dt $$
となるので、
$$ \frac{d}{dx}\ln{(g^{-k-1}(x))}=\ln{(g^{-k}(x))} $$
つまり、
$$ \exp(\frac{d}{dx}\ln{(g^{-k-1}(x))})=g^{-k}(x) $$
ここで、乗法的微分の変換の式を利用します。

乗法的微分と普通微分の変換

$$\sqrt[dx]{df(x)}=\exp{( \frac{d}{dx}\ln f(x))}$$

$$\sqrt[dx]{dg^{-k-1}(x)}=g^{-k}$$
よって、全ての正の整数$n$について成り立つことが証明されました!

ガンマ関数に置き換える

予想の式の階乗をガンマ関数に置き換えると、
$$ g^{-n}(x)=\exp{( \frac{1}{\Gamma(n)} \int_{a}^{x}(x-t)^{n-1}\ln f(t)dt)} $$
これでガンマ関数を実数や複素数に広げることにより、$n$も複素数に広げることができます!

試しにやってみる

では、$e^x$$2$$1/2$階積分してみましょう。
$1$回目:
$$ g^{-1/2}(x)=\exp{( \frac{1}{\Gamma(1/2)} \int_{0}^{x}(x-t)^{-1/2}tdt)} $$
$t=xu$と置換して、$(dt=xdu)$
$$ =\exp{( \frac{1}{\sqrt{\pi}} \int_{0}^{1} (x-xu)^{-\frac{1}{2}}(xu)xdu} $$
$$ =\exp{( \frac{x^{\frac{3}{2}}}{\sqrt{\pi}} \int_{0}^{1}u {(1-u)}^{-\frac{1}{2}}du)} $$
ベータ関数の定義
$$ B(a,b)= \int_{0}^{1} t^{a-1} (1-t)^{b-1}dt $$
より、
$$ \exp{( \frac{x^{\frac{3}{2}}}{\sqrt{\pi}}B(2, \frac{1}{2}))} $$
ベータ関数とガンマ関数の変換の式
$$ B(a,b)= \frac{\Gamma(a)\Gamma(b)}{\Gamma(a+b)} $$
より、
$$ \exp{( \frac{x^{\frac{3}{2}}}{\sqrt{\pi}} \frac{\Gamma(2)\Gamma(\frac{1}{2})}{\Gamma(\frac{5}{2})})} $$
$$ =\exp{( \frac{x^{\frac{3}{2}}}{\sqrt{\pi}} \frac{1\cdot\sqrt{\pi}}{\frac{3}{4}\sqrt{\pi}})} $$
$$ =\exp{( \frac{4x^{\frac{3}{2}}}{3\sqrt{\pi}})} $$
$2$回目:
$$ g^{-1}(x)=\exp{( \frac{1}{\sqrt{\pi}} \frac{4}{3\sqrt{\pi}} \int_{0}^{x}t^{\frac{3}{2}}(x-t)^{-\frac{1}{2}})} $$
$t=xu$と置換して、
$$\exp{(\frac{4}{3\pi}\int_{0}^{x}(xu)^{\frac{3}{2}}(x-xu)^{-\frac{1}{2}}xdu)}$$
$$=\exp{(\frac{4x^{2}}{3\pi} \int_{0}^{1}u^{\frac{3}{2}}(1-u)^{-\frac{1}{2}})}$$
$$ = \exp {(\frac{4x^{2}}{3 \pi}B{( \frac{5}{2}, \frac{1}{2})})} $$
$$ =\exp{(\frac{4x^{2}}{3\pi}\frac{\Gamma(5/2)\Gamma(1/2)}{\Gamma(3)})} $$
$$ =\exp{(\frac{4x^{2}}{3\pi}\frac{\frac{3}{4}\sqrt{\pi}\sqrt{\pi}}{2})} $$
$$ =\exp{(\frac{x^{2}}{2})} $$
$1$階積分:
$$ g^{-1}(x)=\exp{( \int_{}^{}xdx )} $$
$$ =\exp{(\frac{x^{2}}{2})} $$
$2$つの式が一致しました!

おわりに

乗法的微積分に分数階微積分を導入することができましたね!複数の世界を繋ぎ合わせるといった行為は数学界ではよくあるものです。世界が広がっていく感覚は楽しいですね!ここまで読んでいただきありがとうございました。

投稿日:22時間前
更新日:1秒前
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