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現代数学解説
文献あり

Hirsch 微分トポロジーの問題1.3.11、1.3.12

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問題1.3.11

 $P^{n-1}\subset P^n$を自然な方法で部分多様体とみる。このとき$P^{n-1}$は、任意の$C^1$級関数$P^n\to \mathbb R$の正則レベル集合として実現する事はできない。

 ヒントとして、正則レベル集合と部分集合としての$P^{n-1}$の分離性を比較してください、というものがあるので、これで比較します。
  !FORMULA[5][-1802580624][0]近傍の連結性 $P^{n-1}$近傍の連結性

 $f:P^n\to \mathbb R$を任意の$C^1$級関数とし、$f^{-1}(c)(:=N)$をその任意の正則レベル集合とする。
 いま、$N$の近傍$U$を十分小さくとると、$U\backslash N$は正則レベル集合の一般論により、$\{p\in U|f(p)>c\}$$\{p\in U|f(p)< c\}$の二つの成分に分解出来る。
 ところで、$N$の十分に小さい管状近傍$T$を取ると、$N$の“上側”の部分は$P^n$の同一視により“下側”にうつるため、$T\backslash N$が連結である事がわかる。(“上側”同士、“下側”同士の点が連結なのは自明)
 したがって、$(T\cap U)\backslash N$上でも連結であるが、これは先ほどの正則レベル集合の一般論と矛盾する。
 よって、$f$の正則レベル集合として、$P^{n-1}$は実現できない事がわかる。  

 以下の証明では、交点は必ず“横断的”に交わっていることとします。

問題1.3.12

(a)正整数$p$に対し、$0$を正則値に持つ多項式函数$f_p:\mathbb R^3\to \mathbb R$で、$f_p^{-1}(0)$が種数$p$の曲面であるものが存在する。
(b)$f_p$の最小次数を求めよ(未解決(?)のため省略)

(a)にはヒントとして、$F(x,y)=0$$R^2$内の$p-1$個の自己交点を持つ連結閉曲線である2変数多項式$F(x,y)$をとり、$F(x,y)^2+z^2-\epsilon^2$という形の関数を考える、というものがあります。
 つまり、図示すれば以下のような感じです。
!FORMULA[33][36643586][0]の場合 $p=3$の場合

 $\epsilon$を少し振動させると、図のように$F(x,y)=0$を囲うような閉曲線が出来るので、$z^2$を追加してあげれば、滑らかにこれらの閉曲線に沿った曲面が出来るという寸法です。
 想像しにくい場合は、自分で関数を描画して考えると良いです。(レムニスケートとか。)

(a)$p=0$の時は自明なものがあるので$p\geq 1$を考える。
$F(x,y)=0$$R^2$内の$p-1$個の交点を持つ連結閉曲線である2変数多項式$F(x,y)$をとる。$\epsilon>0$を、$\pm \epsilon$$F$の正則値となるようにとる。(Sardの定理より、そのような点が稠密に存在する事がわかる。)
 このとき正則値定理から、レベル集合$F^{-1}(\pm\epsilon)$は、滑らかな一次元多様体(特に、有限個の閉曲線の和)になる。
 いま、$G(x,y,z)=F(x,y)^2+z^2-\epsilon^2$とおく。
 このゼロ集合$S=G^{-1}(0)$は正則レベル集合であり、求める種数$p$の曲面になっている。
 実際、$\nabla G$を計算すると、$z\neq 0$$z$の微分が消えないので$\nabla G\neq 0$、かつ$z= 0$$F$$\pm \epsilon$で正則値となるように取っているので、やはり$\nabla G\neq 0$
 よって点$0$$G$の正則値であり、正則値定理より$S=G^{-1}(0)$$\mathbb R^3$の滑らかな閉曲面になっている。
 また、$G$の構成法により十分小さい$\epsilon$を取っていれば$F$の種数を引き継ぐので、その曲面が種数$p$である事もわかる。
 以上により$f_p$としてこの$G$を取れば良い。

参考文献

[1]
M.W.Hirsch(松本堯生(訳)), 微分トポロジー, p33
投稿日:19日前
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