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【必勝法】ウサギと猟犬

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ウサギと猟犬とは、任天堂のゲーム『世界のアソビ大全51』に収録されたボードゲームの一種です。
ここではこのゲームに関する定理、必勝法を記述します。
(必勝法と言いながら未解決なことをお詫び申し上げます。)

【リンク】
Nintendo Switch | 任天堂
世界のアソビ大全51 収録ゲーム
Amazon 世界のアソビ大全51

ルール説明

ウサギと猟犬 盤面 ウサギと猟犬 盤面
上記の盤面を用意する。
※文字は説明のために置いたものであり、ゲームでは非表示

ルール
  1. プレイヤーを2人用意し、ウサギ、犬を操作するプレイヤーを決定する。
  2. 犬を上図のA、D、Iに配置し、ウサギをHに配置する。
    向きは、犬はDからH方向、ウサギはHからD方向に向ける。
    ※ウサギをランダムに配置するルールもあるが、ここでは考慮しない。
  3. 先攻、後攻を決める。
  4. プレイヤーがコマを1マス動かし、プレイヤーのターンを交代する。
  5. ウサギは線でつながったマスを自由に移動できる。
    犬は縦移動ができるが、後ろに下がることはできない。
    また、犬は同じマスに2つ以上配置することはできない。
    (例えば、ウサギはFから8方向に移動が可能だが、犬はFから、F→B、F→C、F→Gは移動できるが、F→A、F→E、F→Iは移動できない。)
ウサギの勝利条件
  1. A、D、Iのいずれかのマスに移動したとき。
  2. 前方に犬が1匹もいないとき。
    (すべての犬がウサギの真横または後方にいる。)
  3. ウサギ、犬のターンが合計30ターン経過したとき。
犬の勝利条件

次のターン、ウサギが動けなくなったとき。
つまり、犬が勝利する盤面は上下対称を同一視すると2パターンあり、

  1. 犬がA、F、CかつウサギがBにいるとき。
  2. 犬がC、G、KかつウサギがHにいるとき。

定理

ウサギ中心定理

ウサギがFにいるかつウサギのターンのとき、前方に少なくとも犬が3匹いなければウサギの勝利

ウサギと猟犬 盤面 ウサギと猟犬 盤面

ウサギがFにいるとし、ウサギのターンとする。

  1. ウサギの前方に犬がいない場合
    この時点でウサギの勝利
  2. ウサギの前方に犬が1匹いる場合
    犬がAにいない場合、ウサギはF→Aとすると勝利
    犬がAにいる場合、ウサギはF→Iとすると勝利
  3. ウサギの前方に犬が2匹いる場合
    A、E、Iにおいて、犬がいないマスが必ず1マス存在し、そのマスをXとすると
    ウサギF→Xとすると勝利

1.2.3.から、ウサギの前に犬が3匹いなければウサギの勝利

犬の勝利条件定理

ウサギは自身が敗北しないような最善手で行動した場合、犬は犬の勝利条件1.で勝利することはない。

ウサギと猟犬 盤面 ウサギと猟犬 盤面

以下、犬がA、D、I、ウサギがHにいる場合、(A,D,I|H)と表記する。

犬の勝利条件1.となる盤面を想定し、矛盾を導く。

犬の勝利盤面を(A,F,G|B)とする。
その1つ前の盤面を(A,F,G|X)とすると、ウサギX→BとなるマスXは存在しない。
よって、犬のターンにより盤面(A,F,G|B)が作られたことがわかる。

  1. (A,F,G|B)の1つ前の盤面を(X,F,G|B)と仮定する。
    1-1. X=Dのとき
      (D,F,G|B)の1つ前の盤面でウサギはA→Bと移動する必要があるが、ウサギはAにいる時点で勝利するため矛盾。
    1-2. X=Eのとき
      1-1.と同様に矛盾。
  2. (A,F,G|B)の1つ前の盤面を(A,X,G|B)と仮定する。
    2-1. X=Eのとき
      (A,E,G|B)の1つ前の盤面でウサギはF→Bと移動する必要があるが、ウサギが最善手で動くと「ウサギ中心定理」により、ウサギはFにいる状態からウサギが勝利する移動が存在するため矛盾。
    2-2. X=I、X=J、X=K、X=Gのとき
      2-1.と同様に矛盾。
  3. (A,F,G|B)の1つ前の盤面を(A,F,X|B)と仮定する。
    3-1. X=Hのとき
      (A,F,H|B)の1つ前の盤面でウサギはC→Bと移動する必要があるが、ここでC→Gと移動すれば、犬の勝利条件1.があてはまることはなくなる。
    3-2. X=Gのとき
      (A,F,G|B)の1つ前の盤面でウサギはC→Bと移動する必要があるが、ここでC→Hと移動すれば、犬の勝利条件1.があてはまることはなくなる。

(上下対称の場合は省略)

1.2.3.から、ウサギは自身が敗北しないような最善手で行動した場合、犬は犬の勝利条件1.で勝利することはない。

対面の移動による犬の敗北定理

ウサギと犬が最善手で行動した場合、下図のHの位置に犬が移動した時点で、犬は敗北する。

ウサギと猟犬 盤面 ウサギと猟犬 盤面

例えば、犬1=A、犬2=D、犬3=I、兎=Hの時
(A,D,I|H)と表記する

「犬の勝利条件定理」より、ウサギと犬が最善手で犬が勝利する盤面は(C,G,K|H)のみ。
しかし、ルールにより犬は後ろに下がることができないので、Hに犬がいると(C,G,K|H)とすることができず、犬の勝利が不可能となり、犬は敗北する。

ウサギ、犬が両者とも最善手で動いた場合、必ずウサギが勝利する。

斜め移動数予想

カウンタ$n \in \mathbb{Z}/2\mathbb{Z}$を以下のように定義する。

  1. 先攻がウサギ⇒$n=1$
  2. 先攻が犬⇒$n=0$
  3. ウサギまたは犬のどちらかが斜め移動した場合、$nに+1$する操作を行う。

このとき「犬の勝利⇒$n=0$」が成り立つ
(これは対偶「$n=1$⇒犬は勝てない」を意味する。)

証明に挑戦しましたが、できませんでした。
申し訳ありません。(´;ω;‵)

投稿日:2021324
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あーく
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使える数学、面白い数学の分かりやすい解説を心がけています。

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