文系の方から「数学は暗記」という声がありますが、とんでもない。
確かに、ノートに$x^2+5x+6=(x+2)(x+3)$と書いて「わーい解けた」と喜んでも自分とっては意味がないと思います。
なぜなら、数学は目的ではなく、問題解決のための手段だからです。
問題を解決するために方程式を立て、解くのだからです。
もちろん、解決手段を持っていることに損はありません。
ある問題を解決した方法で、別の問題も解決できるかもしれないからです。
$1$つの手段で$2$つ以上の問題が解決できる、まさに一石二鳥となる可能性を秘めています。
包丁で肉を切ったり、野菜を切ったり、いろいろな食材を切るようなものです。
「数学は暗記」という人は、まるで調理器具を指しながら「これは包丁だ」「これはフライパンだ」と道具の名前を覚えるだけで、使い方を知らないようなものだと思います。
というわけで今回は因数分解の日常での利用法をご紹介します。
因数分解は主に時短テクニックに役立ちます。
あなたは今からカレーを作ります。
カレーを作る工程は以下の通りです。
この工程のままでは長いので、このように因数分解して省略します。
短くなりましたね。
数式で(無理矢理)書くと
$ジャガイモを切る + ジャガイモを鍋に入れる + まな板を洗う$
$+ ニンジンを切る + ニンジンを鍋に入れる + まな板を洗う$
$肉を切る + 肉を鍋に入れる + まな板を洗う$
$=(ジャガイモ + ニンジン + 肉)を切る + (ジャガイモ + ニンジン + 肉)を鍋に入れる$
$+ 3まな板を洗う$
数式上では$3$回まな板を洗っていますが、実際は$1$回でよいですよね。
あくまで考え方なので、細かい点は無視していただけると幸いです。
長いフランスパンが誕生したのは、効率よくサンドイッチを作るためという説があります。
それまでは丸いバゲットを切ってサンドイッチにしていたといいます。
$$・バゲットの場合$$
$$パンを6等分にする + 具を挟む$$
バゲットは小さいので、6等分が限界とします。
サンドイッチはパン2枚で1つ作れるので、6等分だとサンドイッチが3つ作れます。
サンドイッチを60個作る場合、この作業を20回行うので
$$20(パンを6等分にする + 6枚のパンで具を挟む)$$
$$=パン120枚 + 120枚のパンで具を挟む$$
$$=サンドイッチ60個$$
$$
$$
$$・フランスパンの場合$$
$$パンを20等分にする + 具を挟む$$
フランスパンは長いので20等分できるとします。
(実際に何等分できるかは不明ですが、バゲットよりは多く切れるでしょう。)
サンドイッチ60個作る場合
$$3(パンを20等分にする + 20枚のパンで具を挟む)$$
$$=パン120枚 + 120枚のパンで具を挟む$$
$$=サンドイッチ60個$$
このように、パンを長くすることで効率よくサンドイッチを作ることができたといいます。
さらに、丸いバゲットでは形を均等にするのが難しい一方、フランスパンでは、両端以外は大きさは均一になるという利点もありました。
何か分からないことを上司・先生に質問するとします。
質問してから疑問を抱くまでに長時間かかっていたなら許されますが、短時間で何回も聞かれると、質問された方はたまったものではありません。
しかもよくよく考えたら自己解決する問題もあるかと思います。
自分の考えをある程度まとめてから話しかけてあげてください。
$$3(疑問を抱く + 話しかける + 質問する)$$
$$=3疑問を抱く + 3話しかける + 3質問する$$
ここも数式上では3回話しかけていますが、話しかけるのは1回でいいですね。
ビートたけしこと北野武さんは、映画作りは因数分解だとおっしゃっています。
場所を移動するのに時間がかかるので、同じ場所を使うシーンをまとめて撮ってしまってから場所移動しよう、という考え方です。
$$A地点×シーン1の撮影 + B地点×シーン2の撮影$$
$$+ A地点×シーン3の撮影 + B地点×シーン4の撮影$$
$$+ C地点×シーン5の撮影$$
$$=A地点×(シーン1 + シーン3)の撮影 + B地点×(シーン2 + シーン4)の撮影$$
$$+ C地点×シーン5の撮影$$