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自己紹介・記録解説
文献あり

わたしの好きな数学の〇〇

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$$\newcommand{masecDon}[2]{\hbox{$\displaystyle\prod$}\hspace{-1.3em}\hbox{$\displaystyle\coprod_{#1}^{#2}$}\hspace{-0.885em}\bullet} \newcommand{masecGF}[5]{G_{#2}^{#1}\!\left(\genfrac{}{}{0pt}{}{#3}{#4}\,\biggr|\,#5\right)} \newcommand{masecHyp}[5]{{}_{#1}F_{#2}\!\left(\genfrac{}{}{0pt}{}{#3}{#4}\,;\,#5\right)} \newcommand{masecRePro}[2]{\hbox{$\displaystyle\prod$}\hspace{-1.3em}\hbox{$\displaystyle\coprod_{#1}^{#2}$}} $$

はじめに

稀に好きな定理とか公式とかを答えるタイミングがやってきて, 思い出すために毎度過去のツイートをさかのぼることにならないように, ここへまとめておくことにしました.
なんかの自己紹介でもこの記事へのリンクを貼ればよいということにもなりますしね!

好きな数

レムニスケート周率

$$\varpi=\frac{\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)^2}{2\sqrt{2\pi}}=2.6220575542\cdots$$

$\Gamma(z):$ガンマ関数

上記の11桁は暗記しています. 一方の円周率$\pi$は35桁($3.1415926535897932384626433832795028$)覚えているので悔しいです.
まだ記録更新してません(2026/02/11時点).

余談

積分表示での共通点

円周率もレムニスケート周率も「〇〇周率」ですが, それらにはちゃんと似た側面があります. 両方の値の積分表示にはそれぞれこのような表示があります:

\begin{align*} \pi&=2\int_0^1\frac{dx}{\sqrt{1-x^2}}\\ \varpi&=2\int_0^1\frac{dx}{\sqrt{1-x^4}} \end{align*}

そっくりですよね. どちらも広義積分ですが, 円周率のほうは高校数学の知識で計算を理解できます. 一方, $x$の指数を$2$から$4$に変えただけで難易度が豹変し, 初等関数で答えが出ない積分になってしまいます. その証拠に, レムニスケート周率はガンマ関数で表されていました.

レムニスケートという図形

次に, 「レムニスケート周率」というぐらいですから当然「レムニスケート」という図形が存在します. 方程式は,
$$ r^2=a^2\cos(2\theta)$$
または
$$(x^2+y^2)^2-2a^2(x^2-y^2)=0$$
となり, グラフはこのようになっています:

レムニスケートのグラフ レムニスケートのグラフ

この図形において$a=1$としたときの周の長さが$\varpi$となります. ちなみに囲まれている部分の面積は$2a^2$です.

記号

$\varpi$」は$\pi$の異体字で, 「ファイ」に$\phi$$\varphi$があるのと同じです. $\LaTeX$では「\varpi」で出せます.

好きな式とその値

これは, 不思議な見た目と美しさを兼ね備えているところが好きな式です.

$$\lim_{n\to\infty}\frac{!n}{n!}=e^{-1}$$

$!n$というのはモンモール数というものであり, $n$個の要素の完全順列の総数です. 式での表現は次のようになります:

モンモール数

$$ !n=n!\sum_{k=0}^n\frac{(-1)^k}{k!}\qquad(n\geq 0)$$

この表示と, $e^x$のマクローリン展開より, 簡単に先ほどの極限が求まりますね.

好きな問題

$\sum$の珍しい使い方

(1)
$$\lim_{n\to\infty}\sum_{k=2n+1}^{3n}\frac{1}{k}$$
(2)
$$\lim_{n\to\infty}\sum_{k=0}^{3n-1}\frac{1}{2n+k}$$

中学生のころにこの問題に出会い, 高校生になって先生に質問するまで数年間ずっと気になり続けた謎だったので, わかったときはとても嬉しかったのを覚えています.

解答・解説
(1)
そのままでも見えてくるものはないので, $\sum$を展開します.
$k$$2n+1$から$1$ずつ増えていって, 最終的に$3n$になればいい」ので,
$$\sum_{k=2n+1}^{3n}\frac{1}{k}=\frac{1}{2n+1}+\frac{1}{2n+2}+\cdots+\frac{1}{2n+n}$$
となります. つまり,
$$=\sum_{k=1}^n\frac{1}{2n+k}$$
と書き直すことができますね.

そしたらあとは$\displaystyle\frac{1}{n}$をくくりだして区分求積です. 答えは$\displaystyle\ln\frac{3}{2}$となります.

(2)
次も同様に展開します. 前問の後半に出てきた形と似ていますね.
$$\sum_{k=0}^{3n-1}\frac{1}{2n+k}=\frac{1}{2n}+\frac{1}{2n+1}+\cdots+\frac{1}{3n}+\frac{1}{3n+1}+\cdots+\frac{1}{5n-1}$$
しかし今度はひと工夫しないといけません.
いくつかのカタマリに分けられそうなのがわかるでしょうか? $k=0$がスタートのときは$n-1$で終われば都合がいいというところから,
$$=\sum_{k=0}^{n-1}\frac{1}{2n+k}+\sum_{k=0}^{n-1}\frac{1}{3n+k}+\sum_{k=0}^{n-1}\frac{1}{4n+k}$$
となって, あとは区分求積で解けます. 答えは$\displaystyle\ln\frac{5}{2}$になります.


整数問題

整数の問題ってそれだけで大体かっこいい気がします. わたしだけですかね?

次を満たす自然数の組$x,\ y,\ z$をすべて求めよ.
$$\frac{1}{x}+\frac{1}{y}+\frac{1}{z}=1\qquad(x\leq y\leq z)$$

解答・解説
\begin{align*} x\leq y\leq z\ \Longleftrightarrow\ \frac{1}{x}\geq\frac{1}{y}\geq\frac{1}{z} \end{align*}
だから,
\begin{align*} 1=\frac{1}{x}+\frac{1}{y}+\frac{1}{z}\leq\frac{1}{x}+\frac{1}{x}+\frac{1}{x}=\frac{3}{x}\ \Longleftrightarrow\ x\leq 3 \end{align*}
ここまでの過程もすごい好きです. これ考えたひと天才, って感じです.

(1) $x=1$のとき
\begin{align*} \frac{1}{1}+\frac{1}{y}+\frac{1}{z}=1\ \Longleftrightarrow\ y+z=0 \end{align*}
$y,\ z$は自然数なので, これを満たす$y,\ z$は存在しません.

(2) $x=2$のとき
\begin{align*} \frac{1}{2}+\frac{1}{y}+\frac{1}{z}=1\ \Longleftrightarrow\ yz-2y-2z&=0\\ (y-2)(z-2)&=4 \end{align*}

不定方程式を解くと, $y\leq z$に注意して, $(y,z)=(3,6),\ (4,4)$となります.

(3) $x=3$のとき
\begin{align*} \frac{1}{3}+\frac{1}{y}+\frac{1}{z}=1\ \Longleftrightarrow\ 2yz-3y-3z&=0\\ (2y-3)(2z-3)&=9 \end{align*}
同じく不定方程式を解くと, $(y,z)=(3,3)$となります.

よって, (1)~(3)より$(x,y,z)=(2,3,6),\ (2,4,4),\ (3,3,3)$が答えとなります.

整数問題その2

これは有名な超難問です.

これらがすべて平方数($\in\mathbb{Q}$)となるような正の有理数の組$x,y,z$をひとつ求めよ.
$$ x^2\pm(x+y+z)$$
$$ y^2\pm(x+y+z)$$
$$ z^2\pm(x+y+z)$$

「平方数($\in\mathbb{Q}$)」に注意してください. 多くの場合, 平方数は自然数のものを指しますが, 今回は例えば$\displaystyle\frac{4}{9}=\left(\frac{2}{3}\right)^2$も平方数だと言えるということです.

解答・解説
解答は引用させてください......[1]
 直角3角形(直角をはさむ2辺が$a$$b$, 斜辺が$c$)では, $c^2=a^2+b^2$
 ゆえに, $c^2\pm 2ab=(a\pm b)^2$
 そこで, 面積が等しい3つの3角形(下図)を用います(なぜそうなるかはすぐにわかります)。
面積が等しい三つの三角形 面積が等しい三つの三角形
\begin{align*} (58k)^2\pm \underline{2\cdot 42\cdot 40}k^2&=(42\pm 40)^2k^2\\ (74k)^2\pm \underline{2\cdot 70\cdot 24}k^2&=(70\pm 24)^2k^2\\ (113k)^2\pm \underline{2\cdot 112\cdot 15}k^2&=(112\pm 15)^2k^2 \end{align*}
アンダーライン部分はどれも$3360$(面積が等しい3角形を使ったので当然)
 $x+y+z=3360k^2,x=58k,y=74k,z=113k$とおけば題意は満たされる。
 これらより,
\begin{align*} 3360k^2=58k+74k+113k&=245k\\ \therefore\quad k&=\frac{7}{96} \end{align*}
したがって, $\displaystyle(x,y,z)=\left(\frac{203}{48},\frac{259}{48},\frac{791}{96}\right)$


整数の問題その3

1990 IMO 問3

$\displaystyle\frac{2^n+1}{n^2}$が整数となるような$1$より大きい整数$n$を全て求めよ.

これは「マスターデーモン」と呼ばれている問題です.この問題の解答は長いので割愛します.

名前が好きだというのも少しはありますが, シンプルに値を求める問題で文章が短いのに, 導出がとても大変で長くなるというものが好きです. まさに数学のおもしろいところです.

フェルマーの最終定理のような問題はちょっと大がかりすぎるかな, とは思ってしまいますが.

好きな公式

$$\sec^2x+\csc^2x=\sec^2x\csc^2x$$

この式は自力で見つけたので気に入ってます. 当初は計算ミスを疑いました.
念のため言っておくと, $\displaystyle\sec x=\frac{1}{\cos x}, \csc x=\frac{1}{\sin x}$です.

証明
ただ計算するだけですが.
\begin{align*} \text{(L.H.S.)}&=\frac{1}{\cos^2 x}+\frac{1}{\sin^2 x}\\ &=\frac{\sin^2 x+\cos^2 x}{\sin^2 x\cos^2 x}\\ &=\frac{1}{\sin^2 x}\cdot\frac{1}{\cos^2 x}\\ &=\text{(R.H.S.)} \end{align*}

好きな定理

二年生の夢 (Sophomore's Dream)

\begin{align*} \int_0^1\frac{1}{x^x}dx&=\sum_{n=1}^\infty\frac{1}{n^n}\\ \int_0^1x^xdx&=-\sum_{n=1}^\infty(-n)^{-n} \end{align*}

証明
\begin{align*} x^{-x}=e^{-x\ln x}=\sum_{n=0}^\infty\frac{(-x\ln x)^n}{n!}=\sum_{n=0}^\infty\frac{(-x)^n\ln^nx}{n!} \end{align*}
両辺を$0$から$1$まで積分します. もし$\int$$\sum$を交換してもいいなら,
\begin{align*} \int_0^1x^{-x}dx&=\int_0^1\sum_{n=0}^\infty\frac{(-x)^n\ln^nx}{n!}dx\\ \int_0^1\frac{1}{x^x}dx&=\sum_{n=0}^\infty\frac{(-1)^n}{n!}\int_0^1x^n\ln^nx\,dx \end{align*}
右辺の積分は$\ln x=-t$と置換すると,
\begin{align*} (\text{R.H.S.})=\sum_{n=0}^\infty\frac{(-1)^{2n}}{n!}\int_0^\infty t^ne^{-(n+1)t}dt. \end{align*}

さらに$\displaystyle t\longmapsto\frac{t}{n+1}$とすれば,
\begin{align*} &=\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{n!}\frac{1}{(n+1)^n}\int_0^\infty t^{n}e^{-t}\frac{dt}{n+1}\\ &=\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{n!}\frac{1}{(n+1)^n}\int_0^\infty t^{n}e^{-t}\frac{dt}{n+1}\\ &=\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{n!}\frac{1}{(n+1)^{n+1}}\int_0^\infty t^ne^{-t}dt \end{align*}
残った積分はガンマ関数なので,
\begin{align*} &=\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{n!}\frac{n!}{(n+1)^{n+1}}\\ &=\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{(n+1)^{n+1}}\\ &=\sum_{n=1}^\infty\frac{1}{n^n} \end{align*}
$\displaystyle\frac{1}{(n+1)^{n+1}}\leq 1$より, $\displaystyle\int_0^1\left|\frac{(-1)^n}{n!}x^n\ln^n x\right|\,dx<\infty$がわかるので, フビニ・トネリの定理より$\int$$\sum$の交換前後は等しいといえます.

よって$\displaystyle\int_0^1\frac{1}{x^x}dx=\sum_{n=1}^\infty\frac{1}{n^n}$.
もう一つも同様に示すことができます.

好きな証明

調和級数の発散

\begin{align*} \sum_{n=1}^\infty\frac{1}{n}=\frac{1}{1}+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\cdots=\infty \end{align*}

これの証明の1つがとてもエレガントで気に入っています.

\begin{align*} \textrm{(L.H.S.)}&=\frac{1}{1}+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\frac{1}{4}+\frac{1}{5}+\frac{1}{6}+\frac{1}{7}+\frac{1}{8}+\cdots\\ &>\frac{1}{1}+\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\frac{1}{8}+\frac{1}{8}+\frac{1}{8}+\cdots\\ &=1+\frac{1}{2}+\frac{1}{2}+\frac{1}{2}+\cdots\\ &=\infty \end{align*}
追い出しの原理より, 左辺は発散します.

参考文献

[1]
小野田博一, 数学難問BEST100, 153, p.91
投稿日:2021518
更新日:7日前
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投稿者

数学科出身の中でも最弱

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