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エンタメ解説
文献あり

子供の時に遊んだ「アレ」の欠陥

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「アレしようぜ、アレ」

子供の時にやったと思います。

アレを分析したいと思います。

アレのルール

いい加減アレだと分からないので、名前を紹介します。

Wikipediaを参照すると「数字を増やす遊び」というごく普通のネーミングになっています。

いや、確かにそうなんだけども。

戦争・割り箸・マッチ・プラフィン・いちいち・指殺しとも呼ばれるそうですが、お好きな呼び方をしてください。

ちなみに僕は両人差し指を立てて「アレしようぜ」「コレしようぜ」で通ってました。

$$■基本ルール$$
$$・基本1対1で対戦します。複数人でバトルロワイアルもできますが、$$
$$ ここでは1対1のルールを前提とします。$$
$$・先攻後攻を決めた後、双方は両手の人差し指を突き出し、それを1とします。$$
$$ 人差し指と中指を立てたのを2、それに薬指を立てたものを3、それに小指を立てたものを4とします。$$
$$・プレイヤーは以下のいずれかの行動を行います。その後、相手のターンとなります。$$
$$ 1.攻撃$$
$$  mでnを攻撃するとm+nになります。$$
$$  例えば、1で1を攻撃すると2になり、1で2を攻撃すると3になります$$
$$ 2.分身$$
$$  片手が2以上の場合、好きな数をもう片方の手に分配できます。$$
$$・片手が5以上になるとその手は戦闘不能です。$$
$$ ぴったり5になると戦闘不能で、5を超えた場合は余った数にする$$
$$ というルールもありますが、ここでは前者を前提とします。$$
$$・両手が戦闘不能になったら負けです。$$

$$■オプション(あり、なしを選べます)$$
$$・分身のあり、なし$$
$$・復活$$
$$ 片手が2以上の場合、戦闘不能した片手を分身で復活させることができます。$$
$$・融合$$
$$ 分身時に片手を0にし、もう片方に足すことができます。$$
$$ ただし、融合によって戦闘不能になる場合はできません。$$
$$・交換$$
$$ 分身する時、左右の数を逆にすることを許します。実質パスです。$$
$$・再行動$$
$$ 分身した後に再行動できます。ありにすると友達を無くします。(理由は後述します。)$$
$$・6で戦闘不能$$
$$ 5で戦闘不能ではなく、6以上または6ぴったりで戦闘不能です。$$

小学生のときにやられたクソルール

以下、証明が出てきますが、盤面を行列で表すこととします。
$$ \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 3 \\ 1 & 2 \end{array} \right) \end{eqnarray} ←上が相手で下が自分です$$
また、右手と左手を入れ替えた以下の4つは同一視します。
$ \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} a & b \\ x & y \end{array} \right) \end{eqnarray}$$ \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} b & a \\ x & y \end{array} \right) \end{eqnarray}$$ \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} a & b \\ y & x \end{array} \right) \end{eqnarray}$$ \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} b & a \\ y & x \end{array} \right) \end{eqnarray}$

$$以下のクソルールの場合、先攻が勝つ$$
$$・分身あり$$
$$・融合あり$$
$$・再行動あり$$

相手を先攻とします。
(敢えて自分を先攻にしません。どうぞ屈辱を味わってください。)
$ \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 & 1 \\ 1 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 & 1 \\ 2 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}$
$ここで、1,2のどちらで攻撃するかで場合分けをします。$
$$1. 1で攻撃した場合$$
$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 & 1 \\ 2 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 1 \\ 2 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 3 & 0 \\ 2 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}(融合)→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 3 & 0 \\ 0 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}(再行動)→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 4 & 0 \\ 0 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 4 & 0 \\ 0 & 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}(YOU LOSE)$
$$2. 2で攻撃した場合$$
$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 & 1 \\ 2 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 3 & 1 \\ 2 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 3 & 1 \\ 0 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 3 & 2 \\ 0 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}(3に攻撃すると4となり、4で攻撃されて負けるので1に攻撃)→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 4 & 1 \\ 0 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}(分身)→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 4 & 1 \\ 0 & 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}(再行動)(YOU LOSE)$

よって、再行動は封印した方が良いと思います。

何だよ再行動って。

初めて見た時「え?僕の番でしょ?何やってんの?AI2回行動?」ってなりましたよ。

ドラクエのキラーマシンかよ。

分身なしルール

分身なしの場合、味気がなくなります。

$$分身なしルールの場合、後攻が勝つ$$

$$相手の先攻とします。$$
$ \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 & 1 \\ 1 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 & 1 \\ 2 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 1 \\ 2 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}$
$$1. 2で2を攻撃されたとき$$
$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 1 \\ 2 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 1 \\ 4 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 0 \\ 4 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 0 \\ 0 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}(1を攻撃されたら4で攻撃してこちらの勝ち)→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 3 & 0 \\ 0 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 3 & 0 \\ 0 & 4 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & 0 \\ 0 & 4 \end{array} \right) \end{eqnarray}(YOU WIN)$
$$2. 2で1を攻撃されたとき$$
$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 1 \\ 2 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 1 \\ 2 & 3 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & 1 \\ 2 & 3 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & 1 \\ 3 & 3 \end{array} \right) \end{eqnarray}(3を攻撃されたら4で攻撃してこちらの勝ち)→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & 4 \\ 3 & 3 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & 4 \\ 0 & 3 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & 0 \\ 0 & 3 \end{array} \right) \end{eqnarray}(YOU WIN)$
$$3. 1で2を攻撃されたとき$$
$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 1 \\ 2 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 1 \\ 3 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & 1 \\ 3 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & 1 \\ 3 & 2 \end{array} \right) \end{eqnarray}(3を攻撃されたら4で攻撃してこちらの勝ち)→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & 4 \\ 3 & 2 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & 4 \\ 0 & 2 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & 0 \\ 0 & 2 \end{array} \right) \end{eqnarray}(YOU WIN)$
$$4. 1で1を攻撃されたとき$$
$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 1 \\ 2 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 1 \\ 2 & 2 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 3 \\ 2 & 2 \end{array} \right) \end{eqnarray}$
$$4-1. 2で攻撃されたとき$$
$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 3 \\ 2 & 2 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 3 \\ 4 & 2 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & 3 \\ 4 & 2 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & 3 \\ 0 & 2 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & 0 \\ 0 & 2 \end{array} \right) \end{eqnarray}(YOU WIN)$
$$4-2. 3で攻撃されたとき$$
$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 3 \\ 2 & 2 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 3 \\ 0 & 2 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 0 \\ 0 & 2 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 2 & 0 \\ 0 & 4 \end{array} \right) \end{eqnarray}→$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & 0 \\ 0 & 4 \end{array} \right) \end{eqnarray}(YOU WIN)$

なので、分身はあった方が面白いと思います。

終わらないゲーム

先ほど分身なしを紹介したのですが、分身はあったはあったで困ることがあります。

$$以下のルールの場合、後攻は負けない$$
$$・分身あり$$
$$・復活あり$$
$$・交換あり$$

$$以下の手順を考える$$
$$1.自分は後攻なので、片手に必ず2が存在するので分身する$$
$$2.相手は1しかないので、分身を繰り返すと、こちらの両手の合計は1ずつ増えていく$$
$$3.両手の合計が6になる$$

$$・3.時点で4と2のとき$$
$$4.3と3に分身する$$
$$5.相手の攻撃で4と3になる$$
$$6.両手の数を交換する$$
$$7.4を攻撃された場合、分身し、2.へ戻る$$
$$ 3を攻撃された場合、8.へ進む$$
$$8.こちらは4と4、相手は1と1になるので、1を攻撃し、戦闘不能にする$$
$$9.4を攻撃されるが、もう片方の4で残った相手の1を攻撃し、勝利$$

$$・3.時点で3と3のとき$$
$$4'.4と2に分身する$$
$$5'.4を攻撃された場合、1.へ戻る$$
$$ 2を攻撃された場合、5.へ進む$$

よって、このルールでは後攻は負けない

まあ、先攻のプレイイングによってはゲームも終わらないのですが。

まとめ

$$・再行動はやめた方がいい$$
$$・分身はあった方がいい$$
$$・分身ありの場合、ルールによっては後攻が有利になるので、$$
$$ ルールのバランスは考えよう$$

この記事を書いてる途中「復活」とか「融合」とかゲームに出てきそうな名前を思い付いたのですが、突き詰めていけばちゃんとしたゲームになりそうですね。

ただしクソルール、テメーはダメだ。

参考文献

投稿日:2021527
OptHub AI Competition

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あーく
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