0
現代数学解説
文献あり

ラマヌジャンの論文2:Sanjanaの問題について

153
0

はじめに

 この記事ではラマヌジャンの書いた論文"On question 330 of Professor Sanjana"を読んでいきます。
 タイトルの2という番号はハーディによる書籍"Collected Papers of Srinivasa Ramanujan"におけるナンバリングに準じています。ちなみに"Collected Papers"の全容については こちらのサイト こちらのサイト にて閲覧することができます。
 なお各命題の証明については論文で示されている式変形以外は自力で考案したものとなるので至らぬ点もあるかもしれませんがあしからず。

概説

 この論文の主題は
k=0(2k1)!!(2k)!!1(2k+1)n
という級数(ただし(1)!!=1とする)、ひいてはその一般化として
k=0(1a)k(1)k1(b+k)n
という級数の値を求めることにあります。
 ただし(x)kはポッホハマー記号
(x)k=x(x+1)(x+2)(x+k1)
としました。特に
(12)k(1)k=1232522k12123k=135(2k1)2462k=(2k1)!!(2k)!!
が成り立つことに注意しましょう。

補題

f(x)=k=0(1a)k(1)k1x+b+k
とおくと
f(x)=Γ(a)Γ(x+b)Γ(x+a+b)
が成り立つ。

f(x)=1x+b2F1(1a,x+bx+b+1;1)
と表せることと超幾何定理
2F1(a,bc;1)=Γ(c)Γ(cab)Γ(ca)Γ(cb)
に注意するとわかる。

σn=k=0(1(b+k)n1(a+b+k)n)
とおくと
logf(x)=logΓ(a)Γ(b)Γ(a+b)+n=1(1)nnσnxn
が成り立つ。

1Γ(x)=xeγxk=1(1+xk)exk
より
logΓ(x+c)Γ(c)=γxlog(1+xc)k=1(log(1+xc+k)xk)=γx+k=0(xk+1log(1+xc+k))=γx+k=0(xk+1+n=1(1)nn(c+k)nxn)
が成り立つことに注意すると
logf(x)=logΓ(a)Γ(b)Γ(a+b)+logΓ(x+b)Γ(b)logΓ(x+a+b)Γ(a+b)=logΓ(a)Γ(b)Γ(a+b)+k=0n=1(1)nn(1(b+k)n1(a+b+k)n)xn=logΓ(a)Γ(b)Γ(a+b)+n=1(1)nnσnxn
を得る。

主題

ϕ(n)=k=0(1a)k(1)k1(b+k)n+1
とおくと
ϕ(0)=Γ(a)Γ(b)Γ(a+b)
および
nϕ(n)=k=1nσkϕ(nk)
が成り立つ。

 ϕ(0)については補題1から
ϕ(0)=f(0)=Γ(a)Γ(b)Γ(a+b)
と求まる。また
f(x)=k=0(1a)k(1)kn=0(1)nxn(b+k)n+1=n=0(1)nϕ(n)xn
と展開できることに注意すると
f(x)=f(x)(logf(x))n=1(1)nnϕ(n)xn1=(n=0(1)nϕ(n)xn)(n=1(1)nσnxn1)=n=1(1)n(k=1nσkϕ(nk))xn1
が成り立つので、この両辺のxn1の係数を比較することで主張を得る。

k=0(2k1)!!(2k)!!1(2k+1)1=π2k=0(2k1)!!(2k)!!1(2k+1)2=π2log2k=0(2k1)!!(2k)!!1(2k+1)3=π348+π4(log2)2k=0(2k1)!!(2k)!!1(2k+1)4=π348log2+π12(log2)3+π8ζ(3)

 a=b=12において
ϕ(n1)=2nk=0(12)k(1)k1(2k+1)n=2nk=0(2k1)!!(2k)!!1(2k+1)nσn=2nk=0(1(2k+1)n1(2k+2)n)=2nk=1(1)n1kn
と表せるので
ψ(n)=ϕ(n)2n+1=k=0(2k1)!!(2k)!!1(2k+1)n+1η(n)=σn2n=k=1(1)k1kn
とおくと定理3から
ψ(0)=12Γ(12)Γ(12)Γ(1)=π2
および
nψ(n)=k=1nη(k)ψ(nk)
が成り立つ。
 あとは
η(1)=log2,η(2)=π212,η(3)=34ζ(3)
に注意するとわかる。

k=0(2k1)!!(2k)!!1(4k+1)1=Γ(14)242πk=0(2k1)!!(2k)!!1(4k+1)2=Γ(14)242ππ4k=0(2k1)!!(2k)!!1(4k+1)3=Γ(14)242π(π232+12β(2))k=0(2k1)!!(2k)!!1(4k+1)4=Γ(14)242π(5π3384+π8β(2))
ただしβはディリクレのベータ関数
β(s)=k=0(1)k(2k+1)s
とした。

 上と同様にa=12,b=14において
ψ(n)=ϕ(n)4n+1=k=0(2k1)!!(2k)!!1(4k+1)n+1β(n)=σn4n=k=0(1)k(2k+1)n
とおくと
ψ(0)=14Γ(12)Γ(14)Γ(34)
および
nψ(n)=k=1nβ(k)ψ(nk)
が成り立つので、あとは倍数公式から
Γ(14)Γ(34)=2πΓ(12)
が成り立つことと
β(1)=π4,β(3)=π332
と求まることに注意するとわかる。

参考文献

[1]
S. Ramanujan, On question 330 of Professor Sanjana, Journal of the Indian Mathematical Society, 1912, 59-61
投稿日:20241231
更新日:20241231
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

子葉
子葉
1066
259867
主に複素解析、代数学、数論を学んでおります。 私の経験上、その証明が簡単に探しても見つからない、英語の文献を漁らないと載ってない、なんて定理の解説を主にやっていきます。 同じ経験をしている人の助けになれば。最近は自分用のノートになっている節があります。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中