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高校数学問題
文献あり

等比数列と倍数にまつわる整数の問題〈解答アリ〉

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$$\newcommand{beku}[1]{\displaystyle\overrightarrow{\vphantom{b}\mbox{$#1$}}} \newcommand{bekutoru}[1]{\displaystyle\overrightarrow{\vphantom{b}\mbox{#1}}} \newcommand{bm}[1]{\boldsymbol{#1}} \newcommand{bunsuu}[2]{\dfrac{\,\lower.44ex{#1}\,}{\,\raise.10ex{#2}\,}} \newcommand{Deg}[0]{^{\circ}} \newcommand{dsqrt}[1]{\displaystyle\sqrt{\,#1\,}} \newcommand{gauss}[1]{\left[\mkern1mu {#1}\mkern1mu\right]} \newcommand{kaku}[1]{\angle\mbox{#1}} \newcommand{kumiawase}[2]{\mathord{{}_{#1}\kern-.12em{}\text{C}_{#2}}} \newcommand{mdot}[0]{\!\cdot\!} \newcommand{sankaku}[1]{\triangle \mbox{#1}} \newcommand{suuretu}[1]{\left\{#1\right\}} \newcommand{tsqrt}[1]{\textstyle\sqrt{\,#1\,}} \newcommand{zyunretu}[2]{\mathord{{}_{#1}\kern-.12em{}\text{P}_{#2}}} $$

$n$を正の整数,$p$を奇数の素数とし,$k$$p$で割った余りが$1$である自然数とする。また自然数$N$$$ N=1+k+k^2+\dots+k^{n-1} $$
と定める。このとき$N$が持つ素因数$p$の個数と$n$が持つ素因数$p$の個数は等しいことを示せ。

例えば$n=54=2\cdot \bm{\color{#909}3^3}$$p=3$$k=7$としますと,$$ N=2^3\cdot \bm{\color{#909}3^3}{\scriptsize \cdot 19\cdot 37\cdot 43\cdot 109\cdot 811\cdot 1063\cdot 2377\cdot 117307\cdot 2583253\cdot 1628413557556843} $$
と素因数分解されますので,$N$$n$はいずれも$3$$3$回割り切れることが分かります。

問題 1 における$p=2$のとき

$n$を正の整数とし,$k$$\bm 4$で割った余りが$1$である自然数とする。また自然数$N$$$ N=1+k+k^2+\dots+k^{n-1} $$
とする。このとき$N$が持つ素因数$2$の個数と$n$が持つ素因数$2$の個数は等しいことを示せ。

例えば$n=48=\bm{\color{#909}2^4}\cdot3$$k=5$としますと,$$ N=\bm{\color{#909}2^4}{\scriptsize \cdot 3^2\cdot 7\cdot 13\cdot17\cdot31\cdot313\cdot601\cdot11489\cdot390001\cdot152587500001} $$
となります。

$\,$

解答案

問題1の解答例

$p$を素数とし,$n$$p$で“きっかり”$s$回割れるとする。このとき$n$$n=hp^s$と表せる($h$$p$と互いに素)。このとき,$$ N=\bunsuu{1-k^{hp^s}}{1-k} $$
である。右辺の分子はさらに次の形に因数分解できる。$$ 1-k^{hp^s}=\left(1-k^{p^s}\right)\left(1+k^{p^s}+k^{2p^s}+\dots+k^{(k-1)p^s}\right) $$
$k\equiv1\pmod p$なので,$$ 1+k^{p^s}+k^{2p^s}+\dots+k^{(k-1)p^s}\equiv \underbrace{1+\dots+1}_{h}\equiv h\pmod p $$
である。$h$$p$は互いに素だから,$1+k^{p^s}+k^{2p^s}+\dots+k^{(k-1)p^s}$$p$で割り切れない。よって$$ \bunsuu{1-k^{p^s}}{1-k} $$
$p$で何回割り切れるかを考えればよい。次の等式を利用する。$$ {\color{red}(*)}\quad \bunsuu{1-k^{p^s}}{1-k}=\prod_{j=1}^s \left\{1+\left(k^{p^{s-j}}\right)+\left(k^{p^{s-j}}\right)^2+\dots+\left(k^{p^{s-j}}\right)^{p-1}\right\} $$
ここで$p$は奇数の素数で,$k\equiv1\pmod p$だったので,$k^{p^{s-j}}$はある整数$q_j$を用いて$k^{p^{s-j}}=pq_j+1$と表される。${\color{red}(*)}$式の因数を書き換えると,$$ 1+(1+pq_j)+(1+pq_j)^2+\dots+(1+pq_j)^{p-1} $$
となっている。この式を展開して整理すると,次のようになる。$$ {\color{red}(\#)}\quad p+\underbrace{\kumiawase{p}{p-2}(pq_j)+\kumiawase{p}{p-3}(pq_j)^2+\cdots+(pq_j)^{p-1}}_{\color{blue}\spadesuit } $$
$\color{blue}\spadesuit$部分については$p^2$で割り切れるので,${\color{red}(\#)}$はきっかり$p$で割り切れる。従って${\color{red}(*)}$はきっかり$p$$s$回割り切れることになり,これは$N$$p$$s$回割り切れることに等しい。

問題2の解答案【前半は問題1と同様の議論】

問題1の解答案において,$$ {\color{red}(*)}\quad \bunsuu{1-k^{p^s}}{1-k}=\prod_{j=1}^s \left\{1+\left(k^{p^{s-j}}\right)+\left(k^{p^{s-j}}\right)^2+\dots+\left(k^{p^{s-j}}\right)^{p-1}\right\} $$
までの議論は$p=2$であっても同様である。この${\color{red}(*)}$$p=2$においては,$$ {\color{red}(*)}\quad \prod_{j=1}^s \left(1+k^{2^{s-j}}\right) $$
と書き表せる。また$k\equiv1\pmod4$とすると,$k^{2^{s-j}}\equiv1\pmod 4$となる。従って${\color{red}(*)}$式は,$$ \prod_{j=1}^s \left(1+4M_j+1\right)\qquad (M_j\in\mathbb Z) $$
と表され,$2+4M_j$$2$の倍数だが$4$の倍数でないため,${\color{red}(*)}$$2$できっかり$s$回で割り切れる。よって$N$$2$できっかり$s$回割り切れる。

この問題は自分が高校生の頃に考えた問題です。答案では,${\color{red}(*)}$式にセンスが光りました。割り切れる回数を考察するために因数分解を行うという発想は普通ですが,${\color{red}(*)}$式のように一見自明でない因数分解によって解決できた爽快感は,今でも記憶に残っています。

追記

コメントにて delta 様から,類題を見たことがある旨を教えてくださいました。 近畿大学理学部数学コースのイベント記事 内のpdf,及びコメントのURLから閲覧が可能です。

参考文献

投稿日:2021620
OptHub AI Competition

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投稿者

ぱるち
ぱるち
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数学屋さんをしています。代数,数論系に興味があり,今は楕円曲線と戯れています。Mathlogは現実逃避用という噂もあります。@f_d00123

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