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高校数学解説
文献あり

人間の性格をベクトルで表してみる

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ベクトルは、複数の要素を一つの値として記述するのに便利です。

ポケモン

ポケモンのステータスは、HP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さの5つから成り立っています。

それぞれh,a,b,c,d,sとしてベクトルで表すと

$$ \vec{P} = h\vec{H} + a\vec{A} + b\vec{B} + c\vec{C} + d\vec{D} + s\vec{S} $$

$ = \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} h \\ 0 \\ 0 \\ 0 \\ 0 \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $+$ $\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 \\ a \\ 0 \\ 0 \\ 0 \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $+$ $\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 \\ 0 \\ b \\ 0 \\ 0 \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $+$ $\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 \\ 0 \\ 0 \\ c \\ 0 \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $+$ $\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 \\ 0 \\ 0 \\ 0 \\ d \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $+$ $\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 \\ 0 \\ 0 \\ 0 \\ 0 \\ s \end{array} \right) \end{eqnarray}$

$$ = \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} h \\ a \\ b \\ c \\ d \\ s \end{array} \right) \end{eqnarray} $$

$$(h,a,b,c,d,s \in \mathbb{N})$$

BIG5

心理学では、BIG5という要素があります。

人間は開放性、誠実性、外向性、協調性、精神不安定性、という5つの要素から成り立っているという考え方です。
現在最も信憑性のある性格診断として心理学だけではなく、様々な分野の研究にも使われています。

先ほどのポケモンのように、人間をBIG5で表します。

各ステータスを、それぞれo,c,e,a,nとすると

$$ \vec{H} = o\vec{O} + c\vec{C} + e\vec{E} + a\vec{A} + n\vec{N} $$

$ = \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} o \\ 0 \\ 0 \\ 0 \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $+$ $\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 \\ c \\ 0 \\ 0 \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $+$ $\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 \\ 0 \\ e \\ 0 \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $+$ $\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 \\ 0 \\ 0 \\ a \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $+$ $\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 \\ 0 \\ 0 \\ 0 \\ n \end{array} \right) \end{eqnarray} $

$$ = \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} o \\ c \\ e \\ a \\ n \end{array} \right) \end{eqnarray} $$

$$(o,c,e,a,n \in \mathbb{N})$$

一次独立と一次従属

ポケモンのステータスや、BIG5は一次独立です。

一次独立の定義はこちら

$$\vec{a}_0,...,\vec{a}_nが一次独立 ⇔$$
$$\sum_{i=0}^{n}c_i \vec{a}_i = \vec{0} ⇒ c_i = 0 (0 \le ∀i \le n)が成り立つ$$

例えば、

$\vec{b} = c_1\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $+$ $c_2\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 \\ 1 \end{array} \right) \end{eqnarray} (c1,c2 \in \mathbb{R})$

とすると、$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$,$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 \\ 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}$は一次独立です。

ちなみに、この$\vec{b}$は、$c_1,c_2$をうまく設定することで、xy平面のあらゆるベクトルを表現できます。

逆に、一次独立でない場合を一次従属と言います。

一次従属のベクトルは、一次独立のベクトルで書き換えることができます。

例えば、以下のような場合は一次従属です。

$\vec{b} = c_1\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $+$ $c_2\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 \\ 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $+$ $c_3\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 \\ 1 \end{array} \right) \end{eqnarray} (c1,c2,c3 \in \mathbb{R})$

とすると、$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$,$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 \\ 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}$,$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 \\ 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}$は一次従属です。

一次従属の特徴は「あれ?こいつなくてもよくね?」というベクトルが存在することです。

例えば

$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 \\ 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $=$ $\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $+$ $\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 \\ 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}$

なので、$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 \\ 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}$がなくても$\vec{b}$は表せますよね。

もしくは

$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $=$ $\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 \\ 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}$ $-$ $\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 \\ 1 \end{array} \right) \end{eqnarray}$

として、$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 1 \\ 0 \end{array} \right) \end{eqnarray}$を排除しても良いです。

このように、一次独立を探すということは、表すベクトルの数が最小になるようなベクトルたちを見つけるということです。

この一次独立の要素を基底と言ったりします。

BIG5は基底か

例えば性格診断テストで、人間の性格を「8つに分類」「16種類に分類」「9つに分けられる!」など色々あります。

「結局人間の性格は何種類あんねん」と言いたくなりますが、最終的にはBIG5の5要素の組み合わせで表せそうです。

BIG5の5つの要素を組み合わせたりして、8つだったり、16個だったり、9つだったりするわけです。

この時、人間の性格はBIG5が基底となり、他の性格診断で出た性格はBIG5の一次従属となるわけです。

例えば、16種類あるという性格診断をし、結果が「芸術家タイプ」だとします。

この「芸術家タイプ」の特性は、BIG5では開放性、協調性に当たると推測されます。

開放性は、想像力、新しい物を受け入れる能力、適応力、知能の高さを表します。

協調性は、他人を思いやる傾向、他人をいたわる傾向、などを表します。

すると、この「芸術家タイプ」は、開放性が高く協調性が低い、といえます。

他の性格もこのBIG5で表せそうです。

※もちろん、診断方法によってはBIG5では表せないこともあると思います。
また、人間を表す要素はIQなど他にもありますが、BIG5では5つの要素となっています。

まとめ

$$・複数の要素はベクトルで表す$$
$$・人間の性格は5つの要素で表せる$$
$$・要素はできるだけ少ない方がよい$$
$$(参考に、人間が覚えられる不規則な文字列は普通は7つまで)$$

余談

今回のテーマは、本当はもっと広い範囲で「ベクトルの使い方」にしようかと思ったのですが、真っ先に思いついたのがポケモンとBIG5だったので、人間の性格について掘り下げてみました。

他には例えば、プロジェクトを売上と工数を要素にして

$$\vec{P} = \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} s \\ t \end{array} \right) \end{eqnarray} (s:売上,t:工数 \in R^+)$$

とすると、$効率 = \frac{s}{t}$と表せたり、1人が抱える複数のプロジェクト$\vec{P}_i$に対して、一人が使える時間は240時間まで、とか考えたのですが、他のベクトルの使い方が思いつかなかったため、お蔵入りにさせていただきます。

また機会があれば紹介しようと思います。

ここまで読んでくださり、暇じ...いえ、なんでもありません。

ありがとうございました!

参考文献

投稿日:202177
OptHub AI Competition

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あーく
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