IMO2021の6番で本番に思いついた解答が想定解と若干違うので解説します。最初に解答を書いて、そのあとお気持ちを少し書きます。問題については
http://www.imo-official.org/problems.aspx
を見てください。
証明
背理法を使う。すなわち、でありと仮定して矛盾を導く。
のとき、を満たすであって、少なくも一つは0でないようなものが存在する。
と置く。この時、より、となる。一方、の選び方は通りある。なので、鳩ノ巣原理より、となるであって、となるものが存在する。と置けば、は条件を満たす.
とし、とする。条件より、であって、を満たすものがとれる。上の補題のようににをとると、となる。ここでとなる最大のをと置く。すると、となる。左辺の絶対値は以上だが、右辺は以下なので矛盾。よってとなる。
気持ち
実験をしてみる:
例えばだと、となり、とならないといけないが、これは不可能。
同様に、とすると、が必要だが、より、やのようなペアが存在しなくなる。ゆえに、はの形しかありえない。しかし、がの並び替えの時、であり、であり、であり、なので、これは不可能。ゆえに、が必要になる。
このように、そもそもの時点でかなり作るのが厳しいことが分かる。なぜなら、この時点で次数の都合上、に非自明な関係式ができるようになってしまうからだ。ただし、当然係数の関係式は当然あるので、上の補題のように係数を抑える必要がある。その係数をで抑えるためには、ではなく、が必要なんだなと察しがつく。
次に補題を証明することを考えると、係数にが許される場面でを線形結合で作りたい、ということで
https://yukicoder.me/problems/no/1017
や
http://www1.tmtv.ne.jp/~koyama/papers/Japanese/prime.pdf
が思い浮かぶ。このように鳩ノ巣論法+差分をとれば今回も証明できる。
追記(2023/11/14):この補題1, siegelの補題の証明とやってることがほぼ同じですね. (この場合はが非負なのでよりstrictにとれる)
https://integers.hatenablog.com/entry/2017/06/25/150000
をみてたらでてきてびっくりしました.