OMC037から外部ツールが禁止になりました。もう我々の頼みの綱であったWolframalphaやGeogebraやOEISやC++は使えず、使えるのは公式から与えられた電卓とアナログツールとWebから独立した資料(と翻訳ツール)のみになってしまいました。しかし、それでも出来ることはあるはずです。今回はそんな記事です。
OMC公式電卓
には$x^2,x^3$ボタンしかありません。
$n^m$乗を高速に計算したいとき、どうすればよいでしょうか。
$3^{16}$を高速に計算しよう
普通に$3\times3\times3\times3\times ...$とやってると面倒くさい上に、どこまで掛けたか分からなくなります。こんな時は$x^2$乗ボタンを$4$回押せば$(((3^2)^2)^2)^2$となって簡単に求まります。
半端な数だった場合どうすれば良いでしょうか。
$3^{23}$を高速に計算しよう
この場合は$23$を$2$進法で表して桁が$1$になっている時のみ$\times 3$して調整します。$23=10111_{(2)}$なので、$((((1\times3)^2)^2\times 3)^2\times 3)^2\times 3$とすれば良いです。
$3^{0_{(2)}}→3^{1_{(2)}}→3^{10_{(2)}}→3^{100_{(2)}}→3^{101_{(2)}}→3^{1010_{(2)}}→3^{1011_{(2)}}→3^{10110_{(2)}}→3^{10111_{(2)}}$という風に桁を上から入力するイメージです。
$ \sqrt[7]{3} = 3^\frac{1}{7}$を高速に近似しよう
さっきの方法と同じように$\frac{1}{7}$を$2$進法で表します。$\frac{1}{7}=0.001001001...$です。
OMC公式電卓には$\sqrt{}$ボタンもあるのでそれを利用します。
$3^{0_{(2)}}→3^{1_{(2)}}→3^{0.1_{(2)}}→3^{0.01_{(2)}}→3^{0.001_{(2)}}→3^{1.001_{(2)}}→3^{0.1001_{(2)}}→3^{0.01001_{(2)}}→3^{0.001001_{(2)}}→3^{1.001001_{(2)}}...$という風に近似できます。
$\times 3$$√$$√$$√$を繰り返して押せばよいことが分かります。循環節を考えて正しい位置から取り出さないと変な値が出てしまうので注意しましょう。
$e$を近似しよう
$1.0001^{10000}$を計算しましょう。$10000=10011100010000_{(2)}$です。
この方法でOMC公式電卓を使い計算すると$2.71814592682439$と出て来ました。Wolfram alphaで計算すると、$1.0001^{10000}=2.7181459268252248640376...$らしいです。OMC公式電卓は有効桁数$15$桁までで動作するらしいので若干誤差はありますが十分良い結果だと思います。$ \sum_{k=1}^{∞}\frac{1}{k!} $なんて知らない。
Geogebraは禁止されましたが、アナログなツール(コンパスや定規)は使用することが許されています。これらを使えば人力でGeogebraのような事ができそうです。
早速問題を解いてみましょう。
早速人力で図を書いてみましょう。この図は与えられた情報だけでは確定しません。そんな時は特殊な図を書きましょう。今回は$E$が$AC$上にあるような図を書くといい感じになります。図を書いて測ってみると$BP=2.49$くらいだとわかりました。$BP^2=6.2001$です。ここから近い分数を探していきます。まず逆数をとって$0.1612877...$とします。ここで事前に用意しておいた分数がソートされた表を取り出します。
この図で$0.1612877...$に近くて尚且つ分母が適切であるものを提出します。
7提出でCA出来ました。個人的には10提出までは合法だと思います。
人力Geogebra出来るかもしれない問題(未検証)
OMC016C
OMC030F
2021年8月15日時点ではそろばんの使用が認められています。公式電卓は微妙に使いにくいし、OMCではたまに理不尽計算ゲーが飛んでくることがあるので、使った方が速い人は使ってもいいと思います。残念ながら筆者はそろばんが出来ないのでもう書くことがありません。
エスパーとは問題の答えを予想し、未証明でCAを取る行為の事を指します。エスパーは高度でなければ外部ツールを必要としません。問題の脆弱性をついてwriterをギャフンと言わせましょう。(逆にwriterはできるだけギャフンと言わせられないように問題を作りましょう。)
OMCでは答えは必ず非負整数になります。複数解が生まれる場合は答えが非負整数になるように調整されているはずです。
答えの唯一性が使える場面として一番大きいのは図が確定しない幾何です。
例えば、先ほど触れたOMC015-Cでは、図が一意に定まりません。例えば$DE//AB$という条件を加えれば簡単になります。(計算はちょっとつらい)
エスパーが通るか通らないかを考えるにあたって正解率は重要です。
OMC032-Dは正解率が$8$割を超えており、エスパーが通りそうに見えます。実際、この問題は何回も実験すれば法則性が見え、それがそのまま通用します。
一方で、OMC017-Eは正解率が$3$割を切っています。おそらく$7$割の人はエスパーをして失敗したという事です。この問題はwriterによる悪質な罠(想定誤解法)が多く仕掛けられており、エスパーすることは容易ではありません。一見エスパー出来そうな問題でも、順位表を見てまともに解くという判断をしたほうがいい場合があります。
エスパーを正しく使いこなせば1000点問題をCAするのも夢ではありません!
OMCは競技数学の「競技」の要素が強いです。この記事では「競技」の部分を取り上げました。「競技」の部分に光がもっと当たるようになるといいですね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。