この記事は,相加相乗平均の不等式(以下,AM-GM不等式)の証明を新たに知ったので,自分用メモとして書かれました.
この証明は,吉田洋一氏によります.
正の実数$a_1, a_2, \cdots, a_n$に対し,次が成り立つ.
$$\sqrt[n]{a_1a_2\cdots a_n}\leq\dfrac{a_1+a_2+\cdots+a_n}{n}$$
また,等号は$a_1=a_2=\cdots=a_n$のときに限り成立する.
$n$に関する数学的帰納法による.まず,$n=2$のときは,等号成立条件も含め既知とする.そこで$n=k$のときを仮定して,$n=k+1$の場合を証明する.
$x>0$の関数
$$f(x)=\left(\dfrac{a_1+a_2+\cdots+a_k+x}{k+1}\right)^{k+1}-a_1a_2\cdots a_k\cdot x$$
を考え,$f(x)\geq0$を示せばよい.
$f(x)$の導関数
$$f'(x)=\left(\dfrac{a_1+a_2+\cdots+a_k+x}{k+1}\right)^{k}-a_1a_2\cdots a_k$$
は$x$について単調増加である.したがって,もし$f'(x)\geq0$ならば$f(x)$は単調増加関数で,
$f(x)>f(0)=\left(\dfrac{a_1+a_2+\cdots+a_k}{k+1}\right)^{k+1}>0$
となる.
$f'(x)<0$としよう.$f'$の単調性と合わせると,方程式$f'(x)=0$はただ1つの正の解$x_0$を持つ.ところが,明らかに,
$$x_0=(k+1)\sqrt[k]{a_1a_2\cdots a_k}-(a_1+a_2+\cdots+a_k)$$
$$f(x_0)=a_1a_2\cdots a_k(a_1+a_2+\cdots+a_k-k\sqrt[k]{a_1a_2\cdots a_k})$$
である.したがって,帰納法の仮定によって,$f(x)\geq f(x_0)\geq0$となる.
等号が成立すると,とくに$f(x_0)=0$であるから,ふたたび帰納法の仮定を用いて,
$$a_1=a_2=\cdots=a_k=x$$
が得られる.