JMO2017予選9
の並べ替えについて、となるの個数をとする.すべての並べ替えについてを足し合わせた値を求めよ.
この問題を級数の力で解こうと思います。
まず、予備知識の解説をします。(知っている方は飛ばしてください)
(完全順列,モンモール数)
の順列のうち、についてとなるものを完全順列と言う。
また、完全順列の個数をモンモール数と言い、で表す。(とする)
(私も最近まで完全順列とモンモール数が同じものだと思っていましたが実は違うみたいです)
を書き並べてみるととなります。
モンモール数については次の性質が成り立ちます。
(3)だけ証明します。
(3の証明)
をみたす順列の集合をとおく。
有限集合の要素の個数をで表す。
包除原理より、
となる。
ここで、(はすべて異なる)について考える。
の元についてはが成り立ち、他の値については制限が無いので、そのようなは個の元の並べ替えから個である。
また、この形の項はの中からを選ぶため(順番が異なるものも同じとして数える)、その個数は個である。
よって、
が導かれた。
本題に入ります。
の代わりにとして計算します。()
の順列の集合をとします。
このとき、求めるべき値はです。
の元のうちとなるものの個数を考えると、となるの選び方が通り、残りの個についてはとなる必要があるのでその個についての値の組は通りとなり、個数はとわかります。
これより、
となります。
求めやすそうな形になってきましたが、もう少しいじります。
としておきます。
以下、を求めていきます。(負の整数に対してとします)
を級数の係数として表すことを考えます。
先ほど証明した式を使うと、となるので、
また、となるので、
とできます。
これで、両辺の係数を比較することでがわかりました。
よって、
であり、答えはとなります。