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個人的に好きな整数問題を解説してみた。

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今回扱っていく問題

ある素数をp、ある自然数をnとしたとき、以下の問に答えよ。

(1)n³+1=pを満たす組(n,p)をすべて求めよ
(2)n³+1=p²を満たす組(n,p)をすべて求めよ
(3)n³+1=p³を満たす組(n,p)が存在しないことを示せ (島根大・改題)

〈着眼点〉

・a³+b³の因数分解は
(a+b)(a²-ab+b²)…※

☆これは当然できるようにしてください。
整数問題以外でも使う重要な公式です。

・素数p^n(nは自然数)の約数は、
 1,p,p²,p³…p^n-1,pⁿのみ…※※

☆素数の重要な性質です。これと因数分解
の相性はとても良いので、活用していきましょう。

(解説での※、※※はそれぞれ上2つの事を指すとします。)

〈解説〉

(1)
※から、左辺を因数分解して、
(与式の左辺)=(n+1)(n²-n+1)…①
ここで、※※から、組(n+1,n²-n+1)は
(n+1,n²-n+1)=(1,p),(p,1)しかない。

なので、
(i)n+1=1のとき
(ii)n^2-n+1=1のとき で場合分けする。

(i)n+1=1のとき
n+1=1、すなわちn=0を①に代入すると、
式は、(0+1)(0²-0+1)=1となる。
しかし、1は素数でないので、(i)は不適。

(ii)n²-n+1=1のとき
n²-n+1=1、すなわちn²-n=0。
この式の解はn=0,1である。
しかし、n=0は(i)で不適だったので、
n=1を①に代入すると
(1+1)(1²-1+1)=2×1=2
これは素数なので、適する。
よって、n³+1=pとなる組(n,p)は
(n,p)=(1,2)のみである。■

(2)
与式の左辺は(1)と変わらないので、
①を用いる。
ここで、※※より、組(n+1,n²-n+1)は
(n+1,n²-n+1)=(1,p²),(p,p),(p²,1)しかない。

なので、
(i)n+1=1のとき
(ii)n²-n+1=1のとき
(iii)n+1=n²-n+1のとき で場合分けをする。

しかし、(i),(ii)は(1)より、
(n+1,n²-n+1)=(1,p²),(p²,1)とならないことが分かっているので、(iii)のみを調べればよい。

(iii)n+1=n²-n+1のとき
n+1=n²-n+1。式を変形して
n²-2n=0。 この方程式の解はn=0,2である。
しかし、n=0は(1)より、不適

よって、n=2を①に代入すると、
(2+1)(2²-2+1)=3×3=9
これは、素数である3の2乗なので、適する。
よって、n³+1=p²となる組(n,p)は
(n,p)=(2,3)のみである。■

(3)
与式を
p³-n³=1 と変形する。

このとき、左辺を因数分解すると
(p-n)(p²+pn+n²)=1 となる。

ここで、p>0,n>0で、両方とも負の数ではないので、
p-n=1
p²+pn+n²=1とならなければならない。

しかし、p≧2,n≧1なので
p²+pn+n²≧7である。<

よって、p²+pn+n²=1となることはない。

よって、n³+1=p³を満たす組(n,p)が存在しない。

〈個人的にここ好きポイント〉
  • 典型的な素数と因数分解を絡めた良問。大学受験生ならば一度は触っておくべき。

  • (1)から(2)への誘導が華麗。誘導に乗らなくてもよいが、計算が減って非常に解きやすくなる。

  • しかし、(1),(2)は(3)の誘導になっていないという罠。「脳死で誘導を置いてやると思うな」という作問者からのメッセージを読み取る能力の有無を確かめられる。

因数分解、素数、最小値の比較等、
整数問題に慣れて来た方にオススメの良問です。

みなさんも良い整数ライフを(^^)/

投稿日:2021118

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投稿者

数弱ですが、個人的に好きな受験問題や定理、思いついたものだったりを書いていきます

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