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差分を用いて冪級数を変形する

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今回は、GRKONさんのツイートを元にして、差分を用いた冪級数の変形を行います。結果的に、二項係数入りの無限級数が求まります。
Δananの差分an+1anを表すものとし、Δkank階差分とします。

z0でも1でもない複素数とし、0<nanznが収束するとき

0<n(Δan)zn=0<n(an+1an)zn=a1+0<nan(zn1zn)=a1+1zz0<nanzn0<nanzn=z1z(a1+0<n(Δan)zn)()=0<nk(Δn1a1)(z1z)n+(z1z)k0<n(Δkan)zn
最後の式変形では、()をk回繰り返し適用しました。
ここで、an=1nとしてみましょう。差分を計算すると、
Δan=1n+11n =1n(n+1)Δ2an=1(n+1)(n+2)+1n(n+1)=2n(n+1)(n+2)Δkan=(1)kk!(n+k)!(n1)!=(1)kn(n+kn)
となるので、
0<nznn=0<nk(1)n1k(z1z)k+(z1z)k0<nznn(n+kn)
となります。

ここで、kの極限を考えると(この操作には既にオイラー変換という名前が付いていたらしいですね。しかしもう記事を書き始めてしまったので知らないことにします)、Re(z)12かつ|z|<1で右辺の第二項は0に収束し、
ln(1z)=0<n(1)n1n(z1z)n=ln(1z1z)=ln(1z)

なんと元に戻りました!!!!嬉しい!🤪

これでは嬉しくないので、少し別の変形をしてみます。問題は高階差分の初項しか使えないことなので、初項以外も使えるように工夫します。
()より、
0<nanzn=z1z(a1+Δa1z+z0<nΔan+1zn)=0<nkz2n1(1z)n(Δn1an+Δnan)+z2k1(1z)k0<nΔkan+kzn

ここで、先程と同様に、an=1n,Re(z)12,|z|<1のとき、kとして
0<nznn=0<nz2n1(1z)n((1)n1n(2n1n)+(1)nn(2nn)z)=0<nz2n1(1z)n(1)n1n(2nn)(2z)
z=12とすれば
ln(12)=320<n2n22n1(1)n1n(2nn)
つまり

0<n(1)n1n2n(2nn)=ln23

を得ます。差分からこの級数が求まるとは思っていませんでした。

おまけ

同様にしてこんな級数も作れます。
ln3ln25=0<n(1)n1n6n(2nn)0<nznn=0<nz3n2(1z)n((1)n1(2n1)(3n22n1)+(1)n(2n1)(3n12n1)z+(1)n2n(3n2n)z2)=0<nz3n2(1z)n(1)n1(2n1)(3n1n)(3n1nz2n13nz2)ln2=0<n(1)n4n1(2n1)(3n1n)(731112n)=0<n(28n11)(1)n14n1(2n1)(3n1n)12n3ln2=0<n(28n11)(1)n14nn(2n1)(3n1n)

(3nn)などが入った級数も積分計算をせずに作れて面白いですね。最後まで読んでくださりありがとうございました。

投稿日:20211124
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