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ライプニッツ級数とその改良

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この記事では、ライプニッツの公式

0n(1)n2n+1=π4

を導出し、またより強い近似式を導きます。内容は簡単めです。余談ですが、この級数は僕が積分に興味を持つきっかけになった級数なので思い出深い(?)です。ちゃんと証明したのは最近ですが...()

ライプニッツの公式の証明

まず、Xについての恒等式
X2n(1X)1+X=X2n((1+X)+2)1+X=X2n+2X2n1+X=X2n+21+X2(1(X)2n)1(X)=X2n+21+X2k=02n1(X)k
において、X=x2とおくと
x2n(1x2)1+x2=x4n+21+x22k=02n1(1)kx2k
となり、両辺をxで積分して
01x2n(1x2)1+x2dx=01x4ndx+0121+x2dx2k=02n101(1)kx2kdx=14n+1+π22k=02n1(1)k2k+1()
を得ます。左辺は明らかに正で、
()<01x2ndx=12n+10(n)
ですから、()についてnの極限を考えることでライプニッツの公式
0n(1)n2n+1=π4
を得ます。

より良い近似

ライプニッツの公式から、以下が分かります。

k=02n1(1)k2k+1<π4<k=02n(1)k2k+1

しかし、これは精度があまり良くなく、例えばn=1とすると
2.666<π<3.4666
しか得られません。ここで、()の左辺が正であることに注目してみると、
k=02n1(1)k2k+1+12(4n+1)<π4
が得られます。また同様にx2n+1(1x2)1+x2を積分することで
k=02n(1)k2k+112(4n+3)>π4
も得られます。
つまりライプニッツ級数のn項目までの和とn+1項目までの和の平均値と、π4との大小関係が交互に入れ替わる事を意味します。これは元のライプニッツ級数より収束が速く、例えばn=1とすれば
3.066<π<3.180
が得られます。

おわりに

今回使った方法で、メルカトル級数(0<n(1)n1n=ln2)についても同様の議論ができます(むしろライプニッツ級数よりも簡単)。しかしまだまだ収束は遅く、隣り合う項の平均値の平均値や、更にその平均値などに関する不等式の作り方を考えても面白そうです。最後まで読んでくださりありがとうございました。

追記
これ、一般的に絶対値が単調減少な交代級数で成り立ちますね...

投稿日:20211125
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便利
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引き算が苦手です

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