式を中央揃えにできないのですかね?少し気持ち悪いですがご了承いただきたい.
こちら先に制作したpdf.
$\large{\text{Latex.ver}}$
先日,弊校数研であった山川先生の講義での問題の別解法について軽く書き留める.
$i = \sqrt{-1}$,$e = \text{ネイピア数}$ とする.
$-1\leq x \leq 1$を満たす任意の実数$x$に対して,次が成り立つ.
$\arccos x + \arcsin x = \frac{\pi}{2}$
オイラーの定理$(e^{ix} = \cos x + i\sin x)$より,次のような事実が成り立つ.
\begin{align*}
\cos x = \frac{e^{ix} + e^{-ix}}{2} ,\quad \sin x = \frac{e^{ix} - e^{-ix}}{2i} \quad.
\end{align*}
これらの逆関数を求めたい.$y=\cos x, y=\sin x$とおくと,それらの逆関数は
\begin{align*}
x = \frac{e^{iy} + e^{-iy}}{2} (0 \leq y \leq \pi, -1 \leq x \leq 1), \quad x = \frac{e^{iy} - e^{-iy}}{2i} (-\pi/2 \leq y \leq \pi/2, -1\leq x \leq 1) \quad.
\end{align*}
であり,これらを$y$について解くと,
\begin{align*}
y = \arccos x = -i \log (x\pm i\sqrt{1-x^2}), \quad y = \arcsin x = -i \log (ix \pm \sqrt{1-x^2}) \quad .
\end{align*}
逆関数が定義されるとき,その写像は全単射であるはずなので,$+,-$のいずれかが不適当である.が,この符号には意味があり,$+$は$\cos y,\sin y$に,$-$は$\cos(\pi - y),\sin (\pi - y)$に対応していると考えると合理的である.
また,$y=\arccos$のとき,オイラーの定理より,$\cos y = x, \sin y = \sqrt{1 - x^2}$が成り立つ.$\sin$も同様である.あとは簡単であり,
\begin{align*}
\arccos x + \arcsin x &= -i \log (x + i\sqrt{1-x^2}) + -i \log (ix + \sqrt{1-x^2})\\
&= - i \log i \\
&= - i \log e^{\frac{\pi i}{2}}\\
&= \frac{\pi}{2}
\end{align*}
である.ちなみに,$\log (-1) = \pi i$.
$\cos$(cosine)が$\sin$(sine)の双対として$\pi/2 - \theta$ であることを考えると,自明なのことかもしれない.
指数関数,対数関数が複素数集合で十分に成り立つ理由はここでは誤魔化させてもらう.詳しくは高木解析
概論,杉浦解析入門 1, 2 や複素解析の本を参照されたい.